HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > スーダンダルフール 地域緊急支援2006/12/15
財団法人日本ユニセフ協会




ダルフールの現状に関するユニセフ声明 

【2006年12月15日】

スーダン・ダルフールでは、女性と子どもをめぐる状況が悪化している。13,000人あまりの人道支援関係者の尽力によって、栄養不良や病気の発生、民間人の強制移動などがかろうじてくい止められている状況である。

人道支援団体からの大規模な資金投入により、2004年半ば以降、急性栄養不良の発生率と死亡率は全体として減少してきた。しかし緊急レベルに近い危険な状態は続いている。国連とスーダン政府が共同で今年実施した調査「ダルフールの食糧保全と栄養に関する緊急調査」では、栄養不良の人の割合が増え始めていることがわかっている。現在、人口の70%以上が食糧の不足を訴えている。また、はしかのワクチン接種など生命にかかわる対策活動が十分に行われておらず、感染の発生を予防できるレベルに達していない。地域を限定して行われた他の6つの調査では、5才未満児の5人にひとりが急性栄養不良の状態に陥っているという結果が出た。

人道支援活動関係者にとっても、危機に晒されている人びとに接触することが日増しに困難になっている。2006年5月以降、ユニセフはパートナーとして共に活動している複数のNGOから、23件の事件の報告を受けている。これらのNGOでは、治安悪化のため、ダルフール地方からのスタッフ撤退を余儀なくされている。人道支援関係者の撤退の結果、先月だけでもおよそ70万人が非常に困難な状況に置かれたままだと国連は見積もっている。

影響を受けているのはNGOだけではない。2006年7月、西部ダルフール地方にある水供給公社(ユニセフのパートナーで、すべてのコミュニティに清潔な飲料水とトイレなどの衛生施設を提供している)のスタッフ3人が、国内避難民のキャンプで仕事中に殺害された。また10月には同じ会社のスタッフ9人が、人道支援関連の調査中に南部ダルフール地方で武装グループに誘拐され、そのうちの5人はいまだ行方不明のままである。「ダルフールの食糧保全と栄養に関する緊急調査」で見られた注目すべき進展のひとつが、これらのスタッフたちの熱意と献身によって、今年になって清潔な飲料水を利用できる人が大幅に増加したということであった。人道支援関係者に対する攻撃や暴力、脅迫は、ダルフール全体の人道支援活動を弱体化させ、子どもや女性の生命を危険にさらすことになる。

また、女性と子どもの権利全体がひどく侵害されている。当該地域へのアクセスが難しくなるにつれ、人道支援関係者がこのような権利の侵害を監視し、報告することが極めて難しくなってきている。ダルフールが無法地帯になっていることも、緊急に対処せねばならない。

ダルフール和平協定には、子どもの権利保護について詳細な条項が含まれていたが、今この間にも子どもたちが殺され、傷つけられ、虐待されている。最近の例を挙げてみると、一カ月ほど前、北部ダルフール地方にあるメリットという村への武装攻撃で、4人の子どもが殺害された。11月末には西部ダルフール地方のジャベル・ムーンで同じような攻撃があり、女性2人と子ども2人が死亡している。8月には南部ダルフール地方の複数の村々が襲撃され、その後ブラムでも連続的な攻撃の結果、11人の子どもの死亡が確認された。現地へのアクセスが困難なため、正確な数字は把握できないが、実際にはもっとたくさんの子どもが殺害されていると思われる。8月に発表された国連事務総長の「スーダンにおける子どもと武装紛争に関する報告書」でも、紛争当事者の両サイドの武装グループで子どもを兵士に勧誘・誘拐している事実が報告されている。

女性と女の子の誘拐や性的暴力、レイプなどは常時報告されている。たとえば11月の第2週には、南部ダルフール地方にある国内避難民キャンプの近くで、2人の少女(13才と14才)がレイプされた。同じ週に6人の女性が武装した男たちに連れ去られた。脱出できたのはそのうちの一人だけである。

子どもたちに昔から安全だと考えられてきた場所(学校など)でさえ、今は危なくなっている。北部ダルフール地方では先月、学校のそばで起きた爆発により2人の子どもが負傷した。また同地方で先週、12才の生徒が街頭で武装した男に撃たれて亡くなった。やはり同じ週には、武装した民兵が女子校に押し入り、少女たちや女教師を脅して学校を占拠した。

人道支援活動は、それに関わる人に資金があり、また現地へのアクセスが可能だったからこそ続けられてきた。しかし、今の状況が長く続けば支援活動は継続できず、その結果、もっと多くの母親と子どもたちが苦境におかれ、命を落とすことになる。

国際社会、スーダン政府、そしてダルフールの紛争にかかわるすべての紛争当事者は、何百万人もの女性や子どもが不必要な苦難に直面するのを防ぐ共同責任を負っている。多くの命が失われる前に、この危機にすみやかに対処する政治的解決策を見出すことがぜひとも必要なのである。

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