HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > スマトラ 第22報(インドネシア)
財団法人日本ユニセフ協会




 

インドネシア

 面積の広いアチェ州は、被災においても二つの地域に分けられます。一つは州都であるバンダアチェがある地域で、過去に例のないほどの惨状が見られ、深刻な被災状況はかなり広く伝えられました。そしてもう一つは、海岸沿いにある遠隔の山村地域で、比較的に被害があまり知られていない場所です。ユニセフは、両方の地域の子どもに一人も洩れなく援助が届くように活動してきました。主な成果としては、深刻な疫病の発生を予防し、子どもたちを学校へ戻すために全力で活動し、文字通り州の全ての地域へ学習教材や物資の配布したことを挙げることができます。

アチェの子どもたちの緊急的なニーズと長期的なニーズの両方に対処することが、ユニセフの活動の核となる原則です。ユニセフは今後も継続して、保健や安全な飲み水の提供、教育などの基本的なサービスを、一時的にキャンプ生活を強いられている家族に届ける活動を支援します。同時に、恒久的な校舎の建設、診療所の設置、水と衛生に関する基本システムの計画作りを通して、地域コミュニティ回復のための土台づくりもしています。いくつかのプロジェクトは既に実施中です。新たに開かれた学校や診療所では、活気が少しずつ戻りつつあり、子どもたちやその家族にとっての希望となっています。

アチェの復興には時間がかかります。しかし、ユニセフは復興までの長い旅路の一端を担って、その一歩一歩を支援していきます。

子どもの生存

 津波の直後に、ユニセフは医療物資の配布を開始し、その後の子どもたちへの基本的な健康面でのケアを支援しつづけてきました。この大規模な支援によって、1,113,494人の15歳以下の子どもがはしかの予防接種を受け、493,699人の子どもがビタミンAの補給を受け、26,040人の妊婦が鉄分の錠剤の提供を受け、199,924人の女性と子どもがマラリアの感染を防ぐために殺虫処理された蚊帳を提供されました。ユニセフはまた、アチェの11の地域に14台の救急車を提供し、2,000人の助産婦に仮設キャンプで安全な出産をするための研修や物資の支援を行いました。ユニセフは今、アチェの人々がかつてないほど高いレベルのケアを受けられるように、新たに村の診療所建設を支援しています。更に、インドネシア国外からポリオが侵入し蔓延することが懸念されるために、大規模なポリオ予防キャンペーンを開始しました。

水と衛生

 ユニセフとそのパートナーは、2つの恒久的な水処理施設と5つの可動式水処理施設を修復し、9台のタンカーを提供し、376,600人の人々に清潔で安全な水を提供しました。また、224,325個の衛生キットを避難キャンプや仮設住宅に住む個人や家族に配布し、1,439人の人々に良い衛生習慣を教えるトレーナーとして研修しました。

子どもの保護

 ユニセフは地域のパートナーと協力し、避難キャンプでの学習やカウンセリング、遊び場を提供する21の特別子どもセンターを開設し、運営しています。約20,000人の子どもが、トラウマに対処することを目的に作られたゲームやレクリエーションに参加しました。ユニセフとパートナーは、家族と離れ離れになってしまった2,242人の子どもたちの身元を登録し、376人の子どもを家族と引き合わせました。子どもたちを暴力や虐待から保護するために、140人の女性警察官が地域で研修を受け、配置されています。

教育

 津波が起きてから数週間で、ユニセフは学校への通学を可能にし、遠隔地域も含めた全被災地域の83万人の子どもたちに教科書やその他の学習教材を配布しました。津波から一年後には、100以上の仮設または準耐久性の学校が開校し、引き続き、別の100校の開校も完了する予定です。既に避難民のために591の仮設学習センターが避難キャンプ、モスク、コミュニティセンター、その他の場所に設置されています。ユニセフは、1,110人の小学校の代用教員と400人の子どもケアワーカーに対する6ヶ月間分の給与を負担し、4,000人の子どもが就学前教育を受けられるようにしました。また、避難所に住む555,200人が教育を受けられるように、6940個の「スクール・イン・ア・ボックス(教材セット)」やその他学習教材を配布したほか、349,200人の子どもがチームスポーツやゲームに参加できるように4,365のレクリエーションキットも配布しました。

課題

  • 数万の家族が未だキャンプ生活を強いられている中、全ての地域に安全な水と衛生サービスを確保することは、きれいな水が貴重な必需品である地域では大変なことです。一つの解決策は、ユニセフが建設している各学校に安全な水供給システムを設置することです。
  • 大規模な採用と研修プログラムにも関わらず、ヘルスワーカーと教師の数が依然不足しています。津波で約2,000人の教師が行方不明になったといわれています。
  • 復興のスピードは緩やかです。津波でそれまでの生活を失った多くの家族が、未だ支援に頼って生活しているからです。
  • 200以上の組織・団体・個人が複数の復興プロジェクトで活動するのを調整するのは、依然として大きな課題です。

以前より良い状態へ

 ユニセフは地域の教育担当者や被災地域のコミュニティと密接に協力して、数百の仮設校舎を建設しています。学校は「子どもに優しい学校」基準にのっとり、地震から守る強固な基盤を持ち、男女別のトイレを設置し、身体の不自由な生徒が通いやすくなるよう改善し、より良い教室と運動場の提供を実施しています。ユニセフはまた、家族と離れ離れになった子どもたちへのケアシステムを開発するためにインドネシア政府を支援しています。

支出の内訳

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