HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > スマトラ 第22報(インド)
財団法人日本ユニセフ協会




 

インド

 津波で亡くなった、あるいは行方不明となった18,045人のうち、約3分の1は子どもたちでした。最も被害が大きかったのはタミルナドゥ州で、およそ8千人が被害に遭いました。

ユニセフとインド政府、その他のパートナー団体は、予防接種・基礎保健サービスの復旧・水の供給・衛生状態の改善を通じて、子どもたちの命を守り、健康を守るという共通の目標に向かって、協力し活動してきました。津波復興プログラムによって20万人以上の子どもたちに対して、教育水準の向上を目指しています。数千人の子どもが心理社会的なケアを受け、子どもたちの生活に安定をとりもどすことにも現在焦点が当てられています。

子どもの生存

 ユニセフは、インドで津波の影響を受けた地域にある935の病院と保健センターに医療物資と医療器具を配布し、1,641人の医者・看護士・地域のヘルスワーカー・ボランティアに対して新生児や幼児の病気に対処に関する研修を行いました。また、9,688の児童ケアセンターに医療器具や物資を提供しました。ユニセフとそのパートナーは、タミルナドゥ州とアンダマンやニコバル諸島の572の島々にわたって、103,629人の子どもにはしかの予防接種と、ビタミンAカプセルの配布を行いました。ユニセフによって2万張の蚊帳と蚊の防虫剤が配布され、また、蚊の繁殖を抑制する取り組みの支援によって、アンダマンとニコバル諸島における津波後のマラリアの件数は減少しました。

水と衛生

 ユニセフは、緊急給水システムを復旧し、170,424人に対して水を供給することができました。被災地では衛生施設が建設され、避難所や学校へ水を供給したり、ユニセフから衛生教育研修を受けたボランティアが地域で普及を行った結果、水や衛生状態が改善され、病気の件数が減少しました。タミルナドゥ州では、ユニセフは92の避難所で衛生状態をモニタリングし、25,000人の教師・児童・保護者に衛生習慣についての研修を行いました。その内300人の女性は、低コストのトイレの建設と手押し式ポンプの修理法についての訓練も受けました。アンダマンとニコバル諸島では、400の雨水貯水装置の導入と4台の給水タンカーの提供によって、安全な水を供給できる能力が向上しました。アンドラプラデシュ州では、700の手押しポンプが2005年12月までに新しいものへ交換される予定です。

子どもの保護

ユニセフは3,500人の教師・ボランティア・教育担当者への心理社会的技術に関する研修を支援し、全被災地域の94,500人の子どもたちが心理社会的なケアの支援を受けました。アンドラプラデシュ州では、地域主体での防止を目的とした人身売買撲滅行動計画作りを支援しました。タミルナドゥにある362の被災地域では、子どもを自分達自身で守るための監視委員会の強化を計りました。アンドラプラデシュとアンダマンとニコバル諸島、ケララでは、被災した子ども、特に片親または両親を亡くした子どもたちをモニターする追跡システムとデータベースの構築を支援しました。

学校へ戻ろう

 最も被害を受けた地域に住む約20万人の子どもたちに「質の高い教育パッケージ」が導入され、子どもたち中心の教育法を通して学習成果を向上させる方法について、教師が研修を受けました。多くのコミュニティが今、学校の運営に関わり始めています。2005年末までに、アンドラプラデシュとタミルナドゥの1,333の学校に学校備品が提供され、アンダマンとニコバルでは津波で失われた備品に関して145の学校で新しいものが配布されることになっています。

課題

  • 仮設避難所の混雑や、トタン屋根による暑さ、モンスーン期に対する下水能力の不足による夏場の不快な状態を解決するために対応がとられていますが、このことが仮設住宅に住むアンダマンとニコバルの46,000人とタミルナドゥの19,000世帯に現在も不安を与え続ける要因となっています。
  • 子どもたちに心理的ケアを提供するためのユニセフと活動するキーパートナーの人員が不足しており、適切な数のスタッフが必要です。

災害前よりも更に良い状態へ

 インドにおける津波の被災地域でのユニセフの活動は、子どもたちや女性への地域保健サービスの支援、乳幼児ケアと食事のとり方についてのヘルスワーカー研修、良い栄養や基本的な衛生習慣に関する被災家族へのカウンセリングなど、多岐に渡っています。安全な飲み水の確保、適切な衛生についても支援が実施されています。ユニセフはまた、子どもたちを搾取や虐待から保護するための地域密着型のシステム強化、若者の間でのHIV/エイズの意識向上、HIV母子感染予防のために、活動しています。

支出の内訳

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