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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

出産から1時間以内の授乳、乳児死亡率の削減に効果

【2007年7月26日】

© UNICEF/HQ06-1809/Josh Estey

開発途上国で起こる新生児死亡の多くは、出産後ただちに母乳を与えることで防ぐことができる——世界母乳育児週間が8月1日から始まるにあたって、ユニセフはこのように訴えた。

医学雑誌『Pediatrics(小児科学)』に掲載されたガーナの研究によると、出産当日に母乳を与えることによって、新生児死亡の16%を防ぐことができることが示されている。この比率は、生まれてから1時間以内に母乳を与えた場合、22%にまで高まる。2007年の世界母乳週間では、この母乳育児の早期開始がテーマとして取り上げられている。

© UNICEF/HQ05-2131/Giacomo Pirozzi

「子どもの死亡の3分の1を超える割合が、生後1カ月の間におこっている」。ユニセフ事務局長、アン・M・ベネマン氏は語った。「母乳を早くから与えることで、乳児は必要不可欠な栄養素を与えられ、死にいたる病気から守られる。そして、成長と発達が促進されるのだ」。

この問題は特にサハラ以南のアフリカで重要な意味をもっている。サハラ以南のアフリカは、乳児死亡率が世界でもっとも高い地域だからだ。新生児のおよそ10%は1歳になる前に死亡するが、新生児死亡のほとんどは自宅で起こっている。1990年以来、生後6カ月までの完全母乳育児率は2倍以上になり、30%に達した。しかしこれは同時に、いまだに何十万人もの子どもたちが病気や死の危険にさらされていることを意味する。

ユニセフでは、生後6カ月までの完全母乳育児を実施することによって、毎年130万人の5歳未満児の死を防ぐことができると推定している。「家庭やコミュニティにいる女性に手を差し伸べることが非常に重要である」と、ベネマン事務局長は述べた。

ユニセフが支援するコミュニティを中心とした総合保健ケアには、母乳育児の促進が含まれている。ユニセフは、各国政府やコミュニティ、パートナー機関とともに、乳児への栄養補給に関する国の法制化を支援するとともに、出産前後のケアの促進、および新しく母親になる女性に対するコミュニティレベルの支援の強化に取り組んでいる。

 

「赤ちゃんにやさしい病院」として、日本国内の5施設が新たに認定
——母乳育児に関するシンポジウムが開催されます

2007年、「赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital)」として、国立病院機構弘前病院、産科婦人科クメクリニック(鹿児島県いちき串木野市)、パルモア病院(神戸市)、かみや母と子のクリニック(糸満市)、国立病院機構九州医療センターの5施設が新たに認定を受けます。今回の認定により、日本国内の「赤ちゃんにやさしい病院」は計48施設となります。

「赤ちゃんにやさしい病院」は世界保健機関(WHO)とユニセフが母乳育児推進のために認定している産科施設。「母乳育児成功のための10か条」を実践し、母乳育児に積極的に取り組んでいる施設に対して認定されるものです。

母乳育児を成功させるための10か条

  1. 母乳育児の方針を全ての医療に関わっている人に、常に知らせること
  2. 全ての医療従事者に母乳育児をするために必要な知識と技術を教えること
  3. 全ての妊婦に母乳育児の良い点とその方法を良く知らせること
  4. 母親が分娩後30分以内に母乳を飲ませられるように援助をすること 
  5. 母親に授乳の指導を充分にし、もし、赤ちゃんから離れることがあっても母乳の分泌を維持する方法を教えてあげること
  6. 医学的な必要がないのに母乳以外のもの水分、糖水、人工乳を与えないこと
  7. 母子同室にすること。赤ちゃんと母親が1日中24時間、一緒にいられるようにすること
  8. 赤ちゃんが欲しがるときは、欲しがるままの授乳をすすめること
  9. 母乳を飲んでいる赤ちゃんにゴムの乳首やおしゃぶりを与えないこと
  10. 母乳育児のための支援グル−プ作って援助し、退院する母親に、このようなグル−プを紹介すること

8月1日から始まる世界母乳週間に先駆けて、7月28日(土)と29日(日)、日本母乳の会主催、ユニセフ等後援のシンポジウム、「第16回 母乳育児シンポジウム 〜 地域で支える母乳育児」が開催されます。

詳しくはイベントカレンダー、または日本母乳の会のホームページをご覧ください。

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