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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

「アフリカの角」地域の子どもたちの状況がさらに悪化

【2008年9月5日 ナイロビ発】

アフリカの角地域を次々に襲う干ばつ、食糧価格の高騰、紛争など複合的な危機の被害を受けてきた子どもたちが、今また食糧や飲料水、医薬品の不足により深刻な影響を受けている。

農村部の乾燥地域に住む子ども300万人が、命の危険に晒され、病気や長期にわたる栄養不良に苦しめられている。深刻な被害を受けた1,400万人以上の大多数が子どもであり、その数は今も増加している。

専門家は、すぐにこの危機への対応策が講じられなければ、アフリカの角一帯でさらに数百万人の子どもとその家族が犠牲になると予測している。しかし、このような深刻な現状にもかかわらず、支援活動は進んでいない。

ユニセフ東部・南部アフリカ地域事務所のペール・エンゲバック所長は次のように述べた。「この重大な局面で必要なのは国の強いリーダーシップである。また、もっと多くの国際的な支援を緊急に動員しなければならない。子どもとその家族に危険が迫っており、早急な支援が強く求められている。」

長年にわたる紛争地域が干ばつに見舞われ、とりわけソマリア中南部およびエチオピアのソマリ地域は深刻な状態である。政治停滞の影響により、住民たちのニーズに対応できないばかりか、救援活動の妨げにさえなっている。救援ワーカーらはアフリカの角のあちこちで政府官僚からの妨害を受け、意図的に武装グループの標的にされているという情報も頻繁に報告されている。

「治安の問題が域内の多くの場所で人々のニーズに応えるのを難しくする主な原因となっている。」エンゲバック所長は、世界的な穀物価格の高騰とともにアクセスの欠如が課題であることを強調した。

干ばつで最も大きな被害を受けた国の中には、食糧価格がこの8ヶ月間に200%上昇したところもあり、多くの世帯が穀物を買えない状況である。また価格の上昇によって、人道支援団体も緊急時に対応するための必要十分な穀物の購入が難しくなっている。ガソリン価格の高騰(ソマリアでは300〜1,000%上昇)により、安全な地域の人々でさえ、食物や飲料水の配送が滞っている状態である。

「活動と資金調達が連携して行なわれなければ、今回の危機はアフリカの角地域一帯の人々に取り返しのつかない悪影響をもたらし、域内の国々がミレニアム開発目標に向けて前進するための見通しも立たなくなるだろう。」エンゲバック所長はこのように締めくくった。

エチオピアでは最新の推計が間もなく発表されるが、被害者数が460万人から大幅に増加するものと懸念されている。現在、エチオピアの子ども7万5,000人が栄養不良のための食事療法を必要としている。

子どもの急性栄養不良に非常に効果が高い栄養補助食品でエチオピア国内でも生産されているプランピー・ナッツは、高い需要があるものの供給がそれに追いついていない状態である。ユニセフは調達する支援を行っているが、年末までに追加資金が必要である。

ソマリアでは、緊急支援を必要とする人の数が1月以降77%も急激に上昇し、現在320万人にのぼっている。ソマリアへの物資の80%が届く港町モガディシュで治安が悪化していることは、救援活動に大きな影を投げかけている。

国連は、ソマリアでの治安維持に約1,000万米ドルが必要であると推計している。10月には、ユニセフは子どもの保健キャンペーンを実施する予定で、150万人の5歳未満児を対象にはしかの予防接種、ビタミンAの投与などの保健対策活動が行なわれる。その目的は、状況の悪化のなか子どもの死亡者数の増加を食い止めることである。

子どもの急性栄養不良の増加は、エリトリアの一部やウガンダのカラモジャ地方などでも見られ、重度の栄養不良児は7,500人、中度の栄養不要児は3万5,000人いる。ウガンダでは急性栄養不良率15%以上の地域がいくつかあるが、この数値はWHOによる危険値を超えている。カラモジャ地方では70万人以上が十分な食糧を入手できないと推定される。

ケニアでは、約134万人が食糧不足の影響を受け、その内訳は乾燥および半乾燥牧畜地域の住民が84万人、その他は、今年はじめの政治暴動による避難民である。ケニアの北部および東部にある干ばつで疲弊した地域の9万5,000人以上の5歳未満児と妊娠中および授乳中の女性が栄養不良に陥っており、そのうちの1万人が重度の栄養不要である。学校を中途退学した子ども、家族のために収入を得ようと買春にかかわる女の子などに関する報告件数も増加している。

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