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公益財団法人日本ユニセフ協会
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シリア緊急募金 第154報
レバノン:
激しい冬の嵐でさらなる緊急事態に
ユニセフ、緊急保健チームや移動式診療所を配備

【2015年2月11日 ベイルート(レバノン)発】

レバノンのベッカー高原に避難するシリア難民の女の子。
© UNICEF Lebanon/2015/Haidar
レバノンのベッカー高原に避難するシリア難民の女の子。

シリア難民の中年の女性がくつを脱ぎ、小さな焚火で足を温めています。その横では、夫が焚火に手を近づけながらこすり合わせ、暖をとっていました。近くには、なかなか乾かない洗濯物が、凍えつくような風に揺られています。

レバノン東部のベッカー高原にあるテント居住区に身を寄せるシリア難民たちは、吹雪や激しい雨風、洪水などを伴う厳冬を、なんとか乗り越えようとしています。

この厳しい環境に身を置く幼い子どもたちは、風邪や熱、下痢、呼吸器感染症などにかかる危険がとても高くなっています。

標高900mに位置するベッカー高原にあるテント居住区で暮らしている4人の幼い子どもの母親、アワッシュさんは、子どもたちを風邪などの病気から守りたいと話していました。

「子どもたちが病気にかかってしまったので、移動式診療所に連れて行きます。病院に行くお金はありません。診療所ができて、とても助かっています」(アワッシュさん)

移動式診療所

テント居住区に身を寄せるシリア難民たちは、交通費などの費用を賄うことが難しく、公立の保健所や病院に子どもたちを連れて行くことが困難な状況です。

ユニセフは、シリア難民の人々が基本的な保健ケアを受けられるようにするため、21の移動式診療所を開設しました。

各テント居住区のテント内に設置されたユニセフが支援する移動式診療所は、現地パートナー団体によって運営されており、公衆衛生省から派遣された医師、2人の看護師、助産師、予防接種投与者によって治療ケアが行われています。

激しい冬の嵐で緊急事態に

レバノンのベッカー高原で、テントの雪下ろしをするシリア難民の男の子。
© UNICEF Lebanon/2015/Haidar
レバノンのベッカー高原で、テントの雪下ろしをするシリア難民の男の子。

激しい冬の嵐を受け、シリア危機への支援としてレバノンで2年間行われてきた移動式診療所の取り組みに対する支援を強化しています。

「雪や嵐で、深刻な緊急事態に陥っています。シリア難民への支援を行うため、テント居住区を訪れています」と、公衆衛生省のゼイン・エル・ディン・サード医師が語ります。

エル・ディン・サード医師は、1カ所のテント居住区で1日約95人の患者の診察を行っています。ほとんどが上気道感染症にかかった乳児や子どもたち、母親たちだといいます。

緊急保健チーム

移動式診療所に加えて、今年最も激しい冬の嵐のなか、数人の医師や看護師で構成される緊急保健チームが派遣されました。

看護師は次から次へとテントを訪れ、治療を行う女性医師の補助や患者のケアを行っています。この緊急保健チームは女性の医師や看護師を居住区に派遣することで、診察用のテントを設置する必要なく、住民のテントを訪れて女性や子どもたちを診察することができます。

ベッカー高原で、子どもを診察する医師。
© UNICEF Lebanon/2015/Romenzi
シリア難民たちが基本的な保健ケアを受けられるように移動式診療所が設置されたベッカー高原で、子どもを診察する医師。

「呼吸器感染症や気管支炎、へんとう腺、下痢などを患っています。さらなる合併症を引き起こさないようにするためにも、医師による治療が必要です」と、公衆衛生省のファティマ・ムサイ医師が話しました。

必要なとき、そばにいる

緊急保健チームは、雪や凍結、洪水で現場へのアクセスが困難になっているにもかかわらず、吹雪のなか、勇敢に立ち向かっています。

「冬の嵐に見舞われ、居住区に辿り着くことがとても困難でした。雪が降り、電気は止まってしまいました。テントの外や中に多くの水たまりができていました」と、ムサイ医師が過去10年で最も激しい吹雪に見舞われたときの様子を思い出しながら語ります。

「何よりも大切なことは、私たち保健チームが、必要なときにそばにいることなのです」と、ムサイ医師は笑顔で話しました。

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