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公益財団法人日本ユニセフ協会
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シリア緊急募金 第156報
レバノン:
シリア難民の子どもたちへ冬服を提供
バーコード入り引換券で迅速・正確な配布が可能に

【2015年2月14日ベイルート(レバノン)発】

冬服キットを受け取ったシリア難民の女性や子どもたち。
© UNICEF Lebanon/2015
冬服キットを受け取ったシリア難民の女性や子どもたち。

レバノン国内で支援を必要としているシリア、レバノン、パレスチナ難民たち。今年、ユニセフ・レバノン事務所はその子どもたち計47万8,000人に、厳しい冬の寒さを乗り越えるための支援を提供しています。支援には、子ども用の冬服13万人分、家庭用の毛布や防水シート、そして計1,150万米ドル相当に及ぶ、洪水被害の影響を軽減させるための物資や衣服、暖房用燃料の引換券などが含まれます。

* * *

雪で覆われた、レバノンのベッカー高原にある非公式テント居住区。凍えるような寒さの中、停車したトラックの周りを囲んでいるのは、支援を待ちわびていたシリア難民の人々や子どもたちです。

両親たちは、支援物資の引換券を何としても手に入れようと、我先にと手を伸ばしています。引換券には正確に、そして効率的に支援物資を配布するためのバーコードが印字されています。これはユニセフによって初めて実用化された画期的なシステムで、バーコードを読み取ることで、各家庭に必要な支援物資の数を正確に把握することができるだけでなく、子どもの年齢に合わせて物資を正しく配布することが可能となります。

冬用キットは0歳〜14歳の各年齢で分けられており、それぞれの年齢に合った冬用コートやマフラー、毛糸の帽子、手袋、上着、ズボン、暖かい下着、靴下、長靴が入っています。

標高の高い地域に建てられた薄いテント内での生活を強いられる子どもたちにとって、寒さをしのぐための支援物資は必要不可欠です。レバノンはこの冬、過去数年で最も激しい吹雪に襲われたほか、何度も冬の嵐に見舞われています。

テントで越す、初めての冬

バーコード入りの引換券を渡すスタッフ。
© UNICEF Lebanon/2015/Ramzi Haidar
バーコード入りの引換券を渡すスタッフ。

4人の幼い子どもをもつ母親のアワッシュさんは4箱の支援物資を受け取って両手にバランスよく抱え、自宅のテントまで雪に覆われた道を帰っていきました。

レバノンに身を寄せて7カ月となるアワッシュさん一家にとって、初めてテントで越す冬となります。

「シリアから避難しなくてはいけない状況に陥ってしまいました。ここはとても寒く、子どもたちには辛い生活です」と、アワッシュさんが話します。

シリア難民たちは吹雪や荒々しい風、激しい雨をしのぐにはあまりにも頼りない造りであるテントでの生活を強いられており、積雪の重さや強風で、屋根が崩れ落ちてくるのではないかと不安を募らせています。

雪が降り続く中、アワッシュさんの夫は長男と一緒に、スコップを片手にテントの屋根に登り、定期的に屋根から積もった雪を下さなくてはなりません。

「雪下ろしをしなければ、屋根が雪の重さで崩れ落ちてしまうのです」と、アワッシュさんが話します。

支援で何とか生活をつなぐ

タブレット端末にシリア難民の家族の情報を入力するスタッフ。
© UNICEF/NYHQ2014-3212/Haidar
タブレット端末にシリア難民の家族の情報を入力するスタッフ。入力された家族構成や所在地などは、UniSupplyを通じて登録される。

テントの家賃は月130米ドルですが、現在アワッシュさん一家には働き手が一人もいません。60歳の夫は年齢のせいもあり、仕事に就くことができていません。そして長男はまだ、7歳です。一家は国連やパートナー団体からの支援を得て、なんとか生活しています。

「支援がなければ、希望さえも失っていたでしょう。雪が降り続く中、子どもたちが安全に暮らせるようにすることが何よりも大切です。この厳しい環境に耐えられるような服は持っていなかったので、冬用キットの支援は本当にありがたいです」

子どもたちは冬用キットの箱を開け、ビニール袋の音をガサガサ立てながら、中に入っている服を物色しています。11カ月のアマニちゃんは、このビニール袋の音が気に入ったようです。

冬の間も子どもたちが安全で暖かい環境で生活できるようにすることを最優先課題とし、ユニセフは現地のパートナー団体を通じて、高地での生活を強いられているシリア難民の子どもたちに支援を提供しています。

新しい技術で支援を迅速に、正確に提供

支援物資の配布作業の効果と正確性を高めるため、ユニセフ・レバノン事務所は、“UniSupply”と呼ばれるアプリを開設しました。このアプリを使用することで、ユニセフやパートナー団体が、現場で必要とされている服のサイズや冬用キットを受け取った世帯数や子どもの人数をリアルタイムに確認することができます。また、テント居住区の居住状況や支援物資の配布状況を確かめることもできるのです。

厳しい状況下、この技術を利用することで今までより迅速に、そしてニーズに正確に応える支援を行うことが可能となりました。

このような前進の一方で、さらなる支援が必要とされているのも事実です。

「ユニセフは最も困難な立場に置かれている子どもたちを支援するため、冬服キットを配布し、すべての学校に燃料の提供を行っています。厳しい冬はまだ終わっていません。依然として、支援が届けられていない地域や子どもたちがおり、緊急に支援が必要とされています」と、ユニセフ・レバノン事務所代表のアンナマリア・ローリーニが語ります。

冬用キットはアメリカ合衆国国務省からの資金提供により、また、“UNISupply”は、日本政府や日本のみなさまのご支援で実施が可能となりました。子どもたちへのご支援に心から感謝申し上げます。

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