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ユニセフ協会からのお知らせ

6月12日は「児童労働反対世界デー」
女の子に学ぶチャンスを!
児童労働問題の解決には、女の子の就学率の向上が鍵

【2009年6月12日】

© 日本ユニセフ協会/Kaneko

6月12日は「児童労働反対世界デー」です。ユニセフは、この日、この問題に取り組む様々な組織や団体と共に、児童労働の引き金となる根本的な貧困問題の解決を訴えています。児童労働問題の解決のために現在なされている様々な取り組みで効果的な成果を上げるためには、特に、貧しく農村部に暮らす女の子に、質の高い教育の機会を提供することが鍵なのです。

今世界で児童労働に従事する女の子は、推定1億人。その多くは、男の子と同じような労働に従事しています。そのため、女の子たちは、時に男の子より厳しい苦難に耐え、男の子以上の危険に晒されているのです。さらに、女の子たちは、男の子以上に最悪の形態の児童労働を強いられる傾向があります。そうした労働は、多くの場合、一般の人の目に触れることはありません。工場の壁の後ろや広大な田畑の中、あるいは自分たちの家の中に閉じ込められているのです。

「多くの女の子たちが、男の子と同様に、農業に従事したり工場で働いたりしています。しかし、女の子たちは、自分の家やその他のどんなところでも、家事を無報酬で長時間手伝っています。男の子達よりも大きな負担を負っているのです。」ユニセフ本部で子どもの保護事業を統括するスーザン・ビゼルは話します。「あまり理解されていないのは、他人の家で家事を手伝うということが、女の子たちをさらなる危険やリスクに晒しているということです。」

© 日本ユニセフ協会

女の子を学校へ通わせるか否か。家庭がそうしたことを決める背景には、文化的あるいは社会経済的な要因が存在します。また、特に思春期の女の子たちには、学校までの通学路の安全性や十分な飲料水や衛生施設(トイレ)が学校にあるか否かということも影響しているのです。

国際労働機関(ILO)は、「最悪の形態」の児童労働として、児童買春、子どもの人身売買、子どもを兵士として強制的に徴用すること、買春やポルノ製造目的の子どもの利用、提供、そして不法行為またはそれに類似した行為への子どもたちの斡旋、提供を挙げています。

ILOが2004年に発行した児童労働についての最新の報告書によると、安全、健康、発達を脅かす危険な仕事に従事している子どもたちは、世界で1億2600万人。そして、学校に通っていない子どもの大多数は、女子、孤児、少数民族の子どもたち、ストリートチルドレンのような搾取されている最も弱い立場の子どもたちだと伝えています。

© 日本ユニセフ協会/Kaneko
エサカンの金鉱で働く姉妹とアグネス・チャン日本ユニセフ協会大使。2009年5月視察に訪れたブルキナファソにて。

「教育は、子どもたちに安全な環境を提供しますが、家族の中で男の子と女の子のどちらか一方しか学校に通わせることができない場合、しばしば女の子は教育の機会を失ってしまいます。」「貧しいコミュニティの子どもたちの就学率の改善、児童労働に従事する子どもたちや社会から孤立した子どもたちのための柔軟で適切な教育を提供するための資金の確保、そして、初等教育の授業料免除は、子どもたちが働く状況を改善させるために必要な対策です。」(ビゼル子どもの保護事業担当官)

2000年、ユニセフは、イケアやインド政府と協力し、インドにおける児童労働の根本的な原因となっている問題への取り組みをスタートしました。この取り組みは、インドの東ウッタルプラデシュ州の500の村で実施され、学校に通っていない8万人の子どもたちに教育の機会を提供しました。イケアとユニセフは、ウッタルプラデシュ州の金属品製造地域、アンドラプラデシ州の木綿・綿の実地域などのより多くの村でも、こうした支援を実施してゆく予定です。

こうして近年達成された就学率の向上や児童労働の減少。しかし、こうした進展に、昨今の世界的な経済危機が深い影を落としています。多くの国々が、「普遍的初等教育の提供」というミレニアム開発目標を達成している一方で、他の多くの国々、特にサハラ以南のアフリカ諸国では、初等、中等教育への就学率は依然低いままです。

また、初等教育と中等教育における男女間格差の是正も、未だに世界的に大きな課題として残っています。ユニセフは、女の子を含む全ての子どもたちに教育の権利があることを強調しています。教育を受けた女の子たちは、貧困状態を脱する可能性も高くなります。また、将来、自らの子どもにも教育の機会を提供する傾向があり、ついては、未来の子どもたちを児童労働の脅威から守る重要な役割も果たすのです。

今年の11月20日、「子どもの権利条約」は、採択20周年を迎えます。

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