メニューをスキップ
HOME > 特集:栄養不良 > 各国のストーリー:インドネシア
財団法人日本ユニセフ協会
【母乳:各国のストーリー】インドネシア
母乳育児で子どもを守る
死亡原因のグラフ
フィリーノくん、2歳。 生まれてからずっと病気を繰り返し、栄養不良に苦しんでいます。

© UNICEF Myanmar
フィリーノくん、2歳。 生まれてからずっと病気を繰り返し、栄養不良に苦しんでいます。

お母さんに抱かれ、ニコニコ笑っている茶色い瞳の男の子、フィリーノ。 この日はいつになく 元気な様子です。 屈託のない笑顔を見ているだけでは想像できないと思いますが、 フィリーノは栄養不良におちいっています。

フィリーノはたったの2歳。 生まれたころから身体が小さく、発熱、肺炎、インフルエンザ、 下痢性の病気など、いろんな病気を繰り返しています。 地元の病院でたびたび治療を 受けていますが、フィリーノは相変わらず、病弱です。

「すべてのお金をフィリーノの治療にあてています。 でも、もうお金は底をつきました。 でもこの子を助けてあげなきゃ。フィリーノが元気になるためだったら、サラ金業者からだってお金をかります。だってそれしか方法はないでしょう?」フィリーノの母親、カルティナさんは話します。

フローレス島の多くの子どもたちが、フィリーノのように栄養不良におちいっています。そして同じ数だけのお母さんたちが、カルティナさんと同じ思いをしています。

貧困、不十分な食生活・・・・。フローレス島はインドネシアでも5歳未満の子ども死亡率が高く、 とりわけ乳幼児の死亡率はほかと比べることができないほど高いのです。

乳幼児の命を守りたい!

乳幼児の死亡率がこれほどまでに高いのは、フローレス島で母乳育児が普及していないということがあげられます。 母乳には赤ちゃんが生きていく上で必要な栄養素やホルモンが含まれています。 赤ちゃんを下痢性の病気や感染症から守ります。生後6ヶ月間、お母さんの母乳だけで育った子どもは、そうでない子どもと比べて、予防可能な病気で命を落とす確率は圧倒的に低くなります。 しかし、不幸なことに、この島ではこれまで母乳育児の伝統はありません。 いいえ、この島だけの話ではありません。インドネシア全土でも、母乳育児を実践しているお母さんたちはわずか14%にとどまっています。

お産婆さんのノアさん。4ヶ月の双子の赤ちゃんのお母さんに正しい母乳の与え方を教えている。

© UNICEF Indonesia/2006/Estey
お産婆さんのノアさん。4ヶ月の双子の赤ちゃんのお母さんに正しい母乳の与え方を教えている。

「母乳育児を普及させて、幼い子どもの命を守りたい。」 ユニセフとインドネシア政府はこの願いを一つにし、母乳育児の普及を目指すキャンペーンを実施しました。

キャンペーンのスポークスパーソンは、ユドヨノ大統領夫人です。 インドネシア全土で、直接市民に話しかけ啓蒙活動を行いました。 また宗教指導者やメディアを利用して、メッセージを発信し続けました。

お産婆さんたちの知恵

ユニセフは、お産婆さんたちへの研修を行いました。お産婆さんたちが、 妊婦さんや若いお母さんたちに、母乳育児の大切さをもっと丁寧に上手に教えてほしいとの願いからです。 お産婆さんたちは、出産を迎える女性にとって、頼りになる良きアドバイザーであり、彼女たちの教えはとても影響力があるからです。

「お母さんたちの母乳育児への意識はどんどん高まっています。 栄養満点の母乳を与えることで赤ちゃんは健康に育つということをみんなが理解しはじめています。」 ユニセフの研修を受けた フローレス島のお産婆さん、ノアさんは語ります。

子どもに希望あふれる人生を

4ヶ月の双子の女の子を持つお母さん、ユスティナさんも完全母乳育児を実践するようになりました。 ユスティナさんは双子の赤ちゃんに優しくほほえみかけています。そして誇らしげに こう話します。「見て下さい、この子たちの元気そうなこと! 子どもと一緒に母乳育児を楽しんでいるわ。 それに、粉ミルクを買わなくていいので、その分食べ物を買えるわ。」

母乳育児によって、子どもたちは希望のある人生を歩むことができます。 母乳の栄養をもらった赤ちゃんは健やかな子ども時代を過ごすことができるからです。

<< 前のストーリーへ

キーワードページへ戻る

次のストーリーへ >>

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る