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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

アンゴラ:『幸せのレシピ』 子どもの命と健康を守る12の秘訣

【2013年4月1日 アンゴラ発】

ボランティアの方々が家を一軒一軒回り、『幸せのレシピ』を配って歩いています。このレシピには、子どもの命を守るために家庭でできる12の秘訣が紹介されています。

西アフリカに位置するアンゴラ。ルアンダ州キランバ・キアシェのカンティント地区では、朝早くから、マリア・イサベルさんが、地区の家庭を一軒一軒訪ね、『幸せのレシピ』を紹介して回っています。

厳しい暑さの中、イサベルさんは笑顔でこの活動に当たっています。彼女の仕事は、1日に2軒の家庭を訪問すること。1ヵ月あたり、15世帯の家庭を各2回ずつ訪れています。

高い5歳未満死亡率

© UNICEF Angola/2013
『幸せのレシピ』を読む親子。この冊子は、ユニセフの支援を受け、アンゴラ政府発行。子どもの主な死亡原因となっている病気を防ぎ、子どもの発達を促す12の生活習慣が紹介されています。

アンゴラの5歳未満児死亡率は、過去10年の間に著しく減少。2000年から2011年の間に、出生1,000人当たり199人から158人と、20.6パーセントもの削減が見られました。しかしながら、アンゴラは、いまだに5歳未満児死亡率が世界で最も高い国のひとつです。アンゴラ政府は、予防接種やマラリア、はしか、下痢性疾患の治療といった、子どもたちの命を守る支援を含む基礎保健分野の行政サービスの拡充を図っています。

しかし、こうした行政の取り組みだけでは、問題の解決は困難です。各家庭でできる、シンプルで効果的な予防法も並行して普及される必要があります。

ユニセフ・アンゴラ事務所のコエンラード・バノーメリンゲン代表は次のように話します。「乳児死亡の半数以上は、マラリアや下痢性疾患、呼吸器感染症といった感染症によるものです。こうした疾患は、家庭でも実践できる簡単な生活習慣を実践すれば予防できるのです」

食事前などの適切なタイミングで石けんを使って手洗いをすることや、殺虫剤処理済みの蚊帳の中で眠ること、また、生後6ヵ月間の完全母乳育児を実践することいったことの重要性を知らない母親は少なくありません。

また、こうした命を守る習慣の普及と共に、出生登録や早期幼児教育といった、子どもの発達を促進するために必要な取り組みが行われる必要もあります。

幸せのレシピ

© UNICEF Angola/2013
ボランティアの方々が、家を一軒一軒回り、『幸せのレシピ』を配って回っている。

地域の人々の参加も得て制作した『幸せのレシピ』は、子どもの主な死亡原因となっている病気を予防し、乳幼児の心身の発達を促す12の智恵を紹介した啓発教材です。イサベルさんはじめボランティアの方々は、コミュニティの人々にこうした知識を広めるための研修も受けています。

ユニセフの支援で実施されているこの啓発活動は、アンゴラ政府の施策の一つとして実施され、地元の教会が中心的役割を担っています。

「病院は、いつも病気の子どもで溢れています。予防可能な原因で、毎日子どもたちが命を落としているのです。ですから私たちは、子どもの育て方に関するお母さん方の理解を深め、乳児死亡率削減のために活動しているのです」イサベルさんはこう説明します。

イサベルさんは、活動の成果を目の当たりにしていると言います。「私が訪ねると、コミュニティの人々はいつも温かく出迎えてくれます」「みなさん、知識を得ていくにつれて、ますます私を信頼してくださっています。『幸せのレシピ』から得ているアドバイスは、子どもたちの輝く未来を確かなものにする重要なものと認識されているのです。時には、私が訪問しないときでも、彼らの方から連絡をよこしてきたり会いに来たりして、子どもたちの保健や福祉の問題に助言を求められることもあるんです」

よりよい生活

イサベルさんとは別のボランティアさんの訪問を受けたマダレナ・パウリノさんは、そのボランティアさんから、娘さんたちの出生登録証を受け取りました。「今日、娘たちが出生登録されました。これで、娘たちは学校に行ったり、仕事をしたりすることができます。今までより良い生活を送ることができるようになりました」パウリノさんは誇らしげにこう話すと、私たちに出生登録帳を見せてくれました。

娘たちの出生登録のために、パウリノさんは生まれて初めて故郷を離れ、400キロ離れた出生登録を行っている場所に向かわなければなりませんでした。

「出生登録の重要性を知り、娘たちに出生登録を受けさせなければと一念発起。まず私自身を登録させる必要があり、そのために、あらゆる努力を惜しみませんでした。子どもたちには、普通の市民としての権利を手にしてほしいのです」と、パウリノさん。「私は出生登録されていなかったので、学校に通うこともできませんでした。子どもには、こんな経験はさせたくありません」

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