メニューをスキップ
HOME > 世界の子どもたち > ストーリーを読む

世界の子どもたち

経済危機…教育面悪化の一途
<ラオス>

 97年に起きたアジアの通貨危機は、社会主義国家ラオスをも容赦なく襲った。ラオスの通貨・キップの価値は5年前の2割近くまで下落、政府の財政事情は悪化し、社会サービス、特に教育に対する支出の不足が伝えられている。旧宗主国フランスが植民地時代にとった「愚民政策」の影響から、そもそも教育制度の整備は遅れており、今回の経済危機が追い討ちをかけた格好だ。

ラオス人は概して教育熱心である。それは90%を超える小学校第一学年の就学率が証明している。ところが近くに小学校が無い、教員の質が悪い、カリキュラムが実生活に合わない、家事手伝いが忙しいなどの理由で、48%の児童が義務教育期間の第五学年修了前に中退してしまう。

政府の支出は村のレベルまではなかなか行き届かない。ボリカムサイ県ナンパー村の地域小学校では、2−3人がおさがりの教科書を共有する窮状であり、新入生の留年率は5割を超える。その子どもたちの将来の夢の多くが「医者になること」。しかしその門戸は極端に狭い。

中等教育の整備の遅れから、ラオス全体の中学校進学率は25%と低く、また高等学校は四大都市にしか設置されておらず、その第三学年は首都ビエンチャンの高校でのみ履修可能である。その高等学校を優秀な成績で卒業して初めてラオス唯一の医科大学に進むことができる。

ユニセフは、ラオスの将来を担う子どもたちが教育の機会を奪われることを防ぐために、教員の再訓練、カリキュラム改訂の支援、学校間の教材・教具共有の促進、小学校の無い村における家庭教育の普及などの活動を行っている。計画実施のパートナーであるラオス政府に対しても教育の重要性を強く訴えている。

経済事情を理由に手をこまねいているわけにはいかない。子どもたちの成長は経済環境の安定を待ってはくれないのだ。未来を支える子どもたちから教育の機会が奪われることは、ラオスの将来にとって大きな痛手であることは間違いない。

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る