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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

パラグアイ
水不足に悩む村に雨とユニセフがもたらす「安全な水」

【2007年11月12日 パラグアイ・ナザレス発】

© UNICEF video
パラグアイの半乾燥地域に住む人々は、特に乾季は、この写真の子のように、村から遠く離れた水源まで長時間歩いて、水を汲んでこなくてはなりません。そうして得られる水も、おおくは、飲料に適さない汚れた水なのです。

パラグアイの半乾燥地域にある多くの村々と同じように、ナザレスにも、雨季の11月から3月までは雨が降り続きます。この時期は、安全な飲み水がたっぷりと確保できます。

しかし、雨季の時期が終わってしまうと、村人たちは、遠く離れた水源まで長時間歩いて水を汲みにいくか、あるいは、汚染されている可能性のある近所の水溜りの水を利用しなければなりません。

ディグノ・ボガリンさんは、電気も水も通っていない質素な木造の一間しかない家に、妻と、5人の子どもと暮らし、家の横にある小さな畑で採れる作物で生計を立てています。世界中の26億人を超える数の人々と同様、ボガリンさん一家も、トイレすらない生活を強いられています。

不衛生な飲料水から発生する病気

「この村の一番の問題は、飲み水と病気です」。重度の下痢性疾患で子どもを亡くしたことがあるボガリンさんは、さらに続けます。「十分な水がないので、とても心配です。かつて、薬品を使って水をきれいにする方法を教えてくれた人たちがいました。でも今は、その薬品も手に入りません。だから私たちは、汚い水を飲むしかないのです。それで病気になってしまうのです。」

ボガリンさんの子どもたちは、毎日何時間も歩いて、池まで水を汲みに行きます。その池には、様々な動物も水を飲みにやってきます。この水を飲んで、こどもたちは、よく病気になってしまいます。これは、この地域の多くの人々がかかえている問題です。

飲料水の貯蔵という解決法
© UNICEF video
一年を通して安全な飲料水を提供できるように、ユニセフ・パラグライ事務所は、雨水を貯蓄する装置を提供しました。

ユニセフは、子どもたちの命を奪っているこの問題を解決するために、この地域に、雨季の間に貯めた水を、乾季に利用できるようにする簡単なシステムを提供しました。

屋根や樋(とい)に落ちた雨水を、長いパイプで一箇所に集め、地下に掘った井戸に貯められます。貯められた水は、簡単な手動式ポンプで、必要な時に汲み出されます。ユニセフは、これまでに、このシステムを20箇所に設置。現在、パラグアイ政府と協力し、他の地域への設置も進めています。


幼い子どもたちの命の問題を最優先に

「ユニセフは、子どもの権利を実現するために働いています。先住民族の子どものたちは、往々にして、社会的に弱い立場におかれる傾向があります。」 ユニセフ・パラグアイ事務所のアナ・ラモス事業補佐官は語ります。「ユニセフ・パラグアイ事務所は、様々な支援活動の中で、特に、子どもの出生直後の健康問題を重視しています。わたしたちは、全ての子どもたちが、安心してきれいな水を利用し、良好な栄養状態を保ち、設備の整った保健サービスを利用できるようになることを目指しています。」

世界中で、1億人以上の人々が、安全でない貯水源の水を利用しています。その結果、毎日、何千人もの子どもたちが、下痢や感染症で命を落としています。

パラグアイでユニセフが提供している雨水の収集・貯蔵を通じた飲料水供給システムは、人々の命を守るだけでなく、パラグアイの人々に、持続可能な開発や教育問題のような、他の重要な課題についても考える機会を提供しています。そしてこれは、今後、パラグアイの人々、特に子どもたちが置かれている状況を改善してゆくために、欠かせない過程なのです。

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