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日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ダルフールの子どもたちを栄養不良から守るユニセフの支援プログラム

【2012年3月5日 ダルフール発】

スーダン・ダルフールにある治療用食事センターで深刻な急性栄養不良の治療のために、栄養治療食を食べるムサ・ジャマル・ムサちゃん(1歳)を抱く姉のインティサルさん。

幼い子どもたちにとって、健康診断は決して楽しい経験ではありません。それは、ダルフールに暮らす1歳のヤスミンちゃんにとっても同様です。青い布でできた「はかり」に乗せられ、数秒間宙に吊るされたヤスミンちゃんは、看護師が体重を量っている間、かわいそうなほど大声をあげて泣いていました。

看護師が「5.5キロ」とヤスミンちゃんの体重をメモすると、また別の看護師が満足げにうなずきました。この年齢の子どもにしては軽すぎるかもしれませんが、3ヵ月前に、ヤスミンちゃんが初めてニヤラの南はずれに位置するこの治療用食事センターに運ばれてきた頃と比べると、大きな進歩だったからです。

その当時のヤスミンちゃんは、一目見るだけで栄養不良と断定できてしまうほどやせ細り、下痢と嘔吐により衰弱していました。母親のハリマ・オスマン(22歳)は、そんな娘を前にパニック状態に陥っていました。

「私は、娘のために何をすべきか分かりませんでした。でも、ご近所の方がここに来るよう教えてくれたのです」と、ハリマさんはその当時のことを振り返ります。「看護師さんたちが薬をくれたおかげで、娘は回復しはじめました」。

ハリマさんが言った「薬」とは、実はピーナッツバターのようなペースト状の栄養治療食、「プランピーナッツ」のことです。銀色の小袋に入ったプランピーナッツは、高エネルギーの栄養治療食でありながら、幼い子どもたちが喜んで食べられるような味に仕上がっています。ヤスミンちゃんも、これが大好きになりました。「この子ったら、一日に2パック半も食べるんですよ。」一口一口、プランピーナッツを平らげてしまう我が子を見て、ハリマさんはうれしそうに話します。

プランピーナッツの配布は、ダルフールにおける子どもの栄養不良に取り組むためのユニセフの支援プログラムの一環です。今後数ヵ月間は治療が必要な栄養不良の子どもが増えると見込まれ、プランピーナッツの重要性はいっそう高まるであろうと、食事センター所長のアワティフ・アブドゥル・アジズ医師は考えています。

栄養不良の子どもたちに支援が届くように
© UNICEF Sudan/2012/Ingram
ダルフールにある治療用食事センターで、体重を量られるモハちゃん(生後8ヵ月)。

「もっと暑くなって、多くのコミュニティで食糧供給が不足してくれば、さらに多くの栄養不良の子どもたちがここに運び込まれてくることでしょう」。アブドゥル・アジズ医師はこのように話します。

ダルフールの幼い子どもたちを苦しめる栄養不良は、スーダンが直面する長く厳しい問題の一面にすぎません。毎年、何百何千人ものスーダンの子どもたちが、深刻な急性栄養不良に苦しんでいます。しかしながら、ヤスミンちゃんの命を救ったこうした支援が届けられるのは、ほんの一部の子どもだけなのです。

不作や現在も続く紛争によって避難を余儀なくされた人々に支援を届ける難しさなど、様々な要因によって、この問題はさらに悪化しています。

身近な解決策

しかしながら、幸運なことに、解決策はすぐ身近なところにあります。

過去2年間、子どもたちを取り巻く栄養危機に対して、より効果的な支援が促進され、実質的な効果が見られています。ユニセフの支援によって、政府レベルと州レベルの両方で、保健指導員のチームが編成されました。ユニセフ・スーダン事務所によると、こうした取り組みによって、治療を受けられる子どもの数は増加したということです。

この戦略の要となるのは、コミュニティに暮らす人々です。こうした人々が、栄養不良に苦しむ子どもたちを一番近くの食事センターに連れて行き、手遅れにならないうちに必要な治療を受けさせられるかどうかにかかっているのです。

「ヤスミンちゃんのケースで希望を与えてくれたのは、コミュニティの住民がヤスミンちゃんを必要な治療を受けるように導いてくれたことです」。ユニセフのマーシー・チココ栄養担当官はこう話します。「しかし、プログラムの一環である色々な村へ行って、栄養不良の子どもたちを早めの段階で特定することも、今後さらに強化していかなければならないと、考えています。」

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