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公益財団法人日本ユニセフ協会

国際協力人材養成プログラム

海外インターン体験記

氏名 井上 保子
派遣先 コンゴ民主共和国事務所
派遣期間 2015年6月〜2015年9月
出張先でヘルスゾーンの担当者とCHWに聞き取り中

私は、修士課程の1年目と2年目の間の夏休みに、ユニセフ・コンゴ民主共和国カントリーオフィス、子どもの生存セクションでインターンさせていただきました。大学院では公衆衛生学を専攻しており、病気の地理的分布を研究しています。本インターンには、現場に資する研究をしたい、現場で必要とされている知識を知りたいという思いから、応募に至りました。

コンゴ民主共和国オフィスは全体で約500名、カントリーオフィスだけでも200名程度が勤務する大規模事務所で、そのうちヘルスセクションは35名前後と最も大きいプログラムセクションでした。

インターンシップにおける私の業務は、母子保健改善のための新しい試みに関するドキュメンテーションでした。コンゴ民は、MDGs4&5のターゲットに到達していません(5歳未満児死亡率(1000出生)はMDGターゲットが60のところ、2013-4年時点で112 ※)。このままでは2030年にも達成できないだろうという見通しに危機感を覚えたコンゴ民政府が、ユニセフを中心とした多機関協同で実施している肝入り事業に関する仕事です。

2013年のパイロット事業開始から徐々に拡大し、現在516のヘルスゾーンのうち15ゾーンで実施しています(2015年9月時点)。さらに今年中に少なくとも13ゾーン追加し、来年までに十倍ほどまで拡大していくことを目標としています。
 私の業務は、このような急激な対象地域の増加に対応するため、今までの経緯や反省点、グッドプラクティスなどを整理し、今後の効率的な事業計画・展開に資する基礎資料をまとめることでした。流通から財政、コミュニティ活動に至るまで多岐にわたる事業だったため、全く知らないことを一から勉強することも多く、非常にインプットの多い日々でした。

日々の仕事としては、関連資料や報告書の分析に時間を割きましたが、他ドナーとのミーティング、政府側のパートナーや実施NGOとの協同ワークショップ、評価インディケーターの見直しワークショップなどにも参加させて頂き、報告書では伝わらない、生の議論を感じ、反映する機会にも恵まれました。

産前検診キットとお産キットを手にする臨月のお母さん

一度だけフィールドトリップにも行く機会を頂き、薬の配布を受けている家庭への訪問や、コミュニティレベルで啓発活動や薬の配布を担当しているコミュニティ・ヘルス・ワーカー(CHW)への聞き取り調査を行いました。ユニセフ職員が現地訪問する際は、なかなかコミュニティまで足を運ぶ時間が取れないため、CHWを保健センターや2次病院に集めて聞きとり調査をすることが多いですが、私は、コミュニティにこちらが出向くよう心がけました。CHWがどのように活動しているのか、お母さんたちに認識されているのかどうか、より実態に近い調査をすることが出来たと思っています。フィールドトリップで得た知見は、セクションチーフを含む数名のスタッフ向けにプレゼンテーションし、ほんのわずかですが還元する機会も頂き、大変充実した滞在になりました。

インターンを通して、どのような研究や知識が現場で必要とされているのかを知り、今後の指針とする、という本来の目的は達成されました。現場で必要とされる知識は日々刻々と変化していきます。非常に深い専門知識よりも、常に視野を広くもち、何かの詳細が必要になった際に短時間で大枠を把握することができる能力が必要とされていると感じました。修士課程2年目を専門分野以外にもアンテナを張りつつ、現場で必要とされる見識を広げたいと思います。

最後になりましたが、このような貴重な機会をくださった日本ユニセフ協会、ユニセフ・コンゴ民主共和国の皆さまに深く感謝いたします。今回学んだことを活かして少しでも子どもたちの健康や生活改善に資する仕事が出来るよう精進したいと思います。ありがとうございました。

※Enquete Demographique et de Sante (Demographic and Health Survey) 2013-2014より

出張報告会で熱弁するスーパーバイザー
家庭に配っている子ども用キットの中身(下痢・発熱・栄養不良対策)

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