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公益財団法人日本ユニセフ協会

国際協力人材養成プログラム

海外インターン体験記

氏名 牧野 由佳
派遣先 カンボジア事務所
派遣期間 2015年11月〜2016年1月

私は、大学院修士課程において、カンボジアの学校における月経衛生推進に関する政策・プログラムならびにWASH 環境の調査・分析を行いました。そして、修士課程での学びを実践の場で生かしたいと考えていたところ、UNICEFカンボジア事務所WASH/教育部門でのインターンシップ参加の好機に恵まれました。

開発途上国においては、正しい知識が十分普及していないため、月経(生理)にまつわる様々な迷信・偏見が依然として存在しています。また清潔な生理用品が手に入りにくく、学校において水と衛生(WASH )環境が十分に整備されていないため、月経が女子児童の出席率低下や退学の一因になっていることが示唆されています 。したがって、近年、開発分野において男女間の教育機会格差是正の観点から、女子児童の月経問題が注目を浴びつつあります。

インターンシップでの私の任務は、カンボジアにおける女子児童の月経に関する知識・行動調査ならびに月経教育の実態調査でした。具体的には、カンボジアの3つの州の女子児童220名に対して、質問紙調査やインタビューを実施し、月経に関する知識や学校での月経への対処法、問題点を明らかにしました。さらに教育省、国際機関職員ならびに教員に対するインタビューも実施し、カンボジアにおける月経教育の現状と問題点を把握いたしました。

今回の調査において、カンボジアにおいても他国同様、月経に対する教員、児童の正しい知識の欠如、不衛生でプライバシー、ジェンダーに配慮していないWASH環境が、女子児童が学校において月経対処するうえで大きな障害になっていることがわかりました。調査中にはっ!と気づかされたエピソードとしては、カンボジアの学校のトイレには汚物入れが設置されていないため、汚物入れを設置することで月経に対処しやすい環境を整備することができるだろうと私は単純に考えていたのですが、ある女子児童が「使用済みの生理パッドを他人に見られるのは恥ずかしいので、皆が使用するトイレの中にある汚物入れに使用済みの生理パッドは捨てたくない!」と話していました。このエピソードから、受益者の考え、その土地のコンテクストを十分に理解しないまま、プログラムを立案・実施してしまうと、プログラム立案・実施者の価値観の押しつけになってしまい、なかなかその土地にプログラムは根付かず、人々の真の行動変容にはつながらないという点に気づきました。今回の調査結果を踏まえ、UNICEFカンボジア事務所とカウンターパートが月経対処しやすい学校におけるWASH環境整備を行っていく予定です。
インターンシップ中はWASH、教育セクションから一人ずつスーパーバイザーがついてくださり、異なる専門性を持つ二人のスーパーバイザーから教育・保健・WASHに関する様々な助言を得ることができ、分野横断的に働くことの重要性を実感することができました。さらに、UNICEFは現場に近く、現場の声を政策に反映させやすい機関であることがわかり、現場と政策の懸け橋になりたい私にとってUNICEFは理想的な組織であり、これから経験を積んだのち、UNICEFに是非戻ってきたいと強く思うようになりました。

このような素晴らしい機会を与えてくださった日本ユニセフ協会、UNICEF東京事務所、UNICEFカンボジア事務所の皆様には大変感謝しております。どうもありがとうございました。


  1. Water, Hygiene and Sanitation (WASH):水と衛生
  2. 参考House S, Mahon, T., Cavill, S. Menstrual Hygiene Matters: A Resource for Improving Menstrual Hygiene around the World 2012. Available from: http://www.wateraid.org/what-we-do/our-approach/research-and-publications/view-publication?id=02309d73-8e41-4d04-b2ef-6641f6616a4f
インタビューした女子児童たちと
UNICEFカンボジアが支援している月経教育ブックレットと女子児童たち

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