メニューをスキップ
HOME > 国際協力人材養成プログラム > 海外インターン体験記
公益財団法人日本ユニセフ協会

国際協力人材養成プログラム

海外インターン体験記

氏名 大倉 瑶子
派遣先 ネパール事務所
派遣期間 2016年6月〜2016年8月
Emergency Unitの同僚と
ネパールオフィスの同僚と

「あれほどの恐怖を体験したのに、また地震が起きたら、どうすればいいか分からない。防災について知りたい。」
「子どもたちが通う学校は安全なのか、情報を得たい。」

約9000人が犠牲になった大地震から1年以上たった今も、ネパールの人々は漠然とした不安を抱えていた。しかし、同時にその不安を取り除くためにも、人々の防災に対する意識は格段に高まったと言える。大きな災害の直後は、今後いかに防災を強化できるかについて、人々の関心も高く、当然政府も政策を打ち出さなければならないという認識が強い。私自身、これまで東日本大震災の復興過程や台風ハイアン後のフィリピンで働く中で、災害は多くの悲しみと苦しみをもたらす一方で、防災上の弱点を自覚し、より安全で持続可能な社会を構築する機会でもあると確信するようになった。

私は2016年6月から8月までの期間、UNICEFネパール事務所のEmergency Unitで地域や学校の防災強化事業に携わった。2015年4月の大地震で亡くなった9000人の内3割は子どもだったが、3万5000棟もの学校が倒壊したことから、地震が土曜日ではなく平日に起きていたら、子どもの犠牲者はさらに増えていたと言われている。UNICEFネパール事務所は、このような地震に対して緊急支援を行っているほか、洪水や土砂崩れなどの自然災害に対する地域の防災力を強化できるよう、プログラムを展開している。

私はこれらの事業のうち、地域・学校ベースで展開されている防災強化プログラムの評価を行い、支援者向けに報告書を作成した。プログラムが展開されている3つの地域でフィールドワークをおこない、政府職員、NGO、学校の先生や生徒など多くの関係者を対象にヒアリング調査やフォーカスグループ(グループ形式でのヒアリング)を実施した。これらの調査によって、プログラムの成果や課題が明らかになった。例えば、プログラムの柱のひとつでもある、季節ごとの災害を明確化する災害カレンダーはどの地域でも非常に役立っているというフィードバックを得た。また頻繁に洪水に見舞われる地域の学校においても、驚いたことに、ユニセフのプログラム実施前は避難路の設定や避難訓練が全く行われていなかったが、徐々に防災教育が広まっていることを確認できた。

フィールドワークに加えて、重要なのはプログラム実施前後に行われたサーベイ調査だった。この調査は、災害に直面したときの行動の知識や準備レベル等について、プログラム参加者の変化を測ることを目的としている。ユニセフを支援する人々や企業、政府は、支援金がどのような事業に使用され、さらにどういう結果が出ているのか、当然のことながら厳しい目でみている。子どもの防災力がいかに強化されたか、これら調査結果を検証し、支援者向けの報告書を作成した。

ネパール事務所では、希望通りのプログラムに携わらせて頂いたほか、国連で働く意義を確認することができ、貴重な3か月を過ごさせて頂いた。このような機会を与えてくださった日本ユニセフ協会とネパールオフィスの皆様に改めて感謝したい。

学校の先生と共に
女性保護NGOの職員とのフォーカスグループ

▲ 先頭に戻る

<< 海外体験記一覧へ戻る

トップページへ先頭に戻る