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公益財団法人日本ユニセフ協会

国際協力人材養成プログラム

海外インターン体験記

氏名 辻井 一晃
派遣先 インド デリー事務所
派遣期間 2017年9月〜2017年12月

2017年9月から12月まで、ユニセフ・インド/デリー事務所のジェンダー専門官の下でインターンをさせて頂きました。学部ならびに修士ともにジェンダーと開発を学び、修士論文ではインド/チェンナイにて現地調査を実施した経緯もあり、それらを活かしたいとインターンに臨みました。頂いた経験の中から、主な2点を下記致します。

1点目はハルヤナ州政府が実施するBeti Bachao, Beti Padhao (女児を生かし、女児に教育を) 案件への技術支援でした。インドの中でも、ハルヤナ州は特に男児に対する女児の数が少ないことが案件の背景です。Child Sex ratio (0-6歳の男児1,000人に対する女児の数) は、約1,000(女児が男児と同数) となるべきところ、インドは917、ハルヤナ州は834と特に女児が少ない状況です1。女児・女性の社会的価値を相対的に向上させる為、本案件は女児・女性がより生きやすく、平等に権利を行使できる社会創りを目的としています。具体的には (1)公共空間における女児・女性の安全改善、(2)学校における子どものジェンダー平等に関する理解の促進、(3)ジェンダーの視点を理解したメディア関係者の増加、(4)ジェンダーの視点を理解した公務員の育成という、4つの活動領域から成っています。

2017年9月の段階では全てが計画段階で、州政府が担当者不足ならびにジェンダー関連案件に不慣れなこともあって案件全体が遅れ気味にて、ユニセフからの一層の支援が必要とされる状況でした。州政府やNGOと良好な関係を構築し、(1)ならびに(2)に関して事前調査を実施し詳細な計画をすることが出来たため、年始からの実施開始に目途を付けることが出来ました。(1) に関しては、公共空間の安全性を定性・定量的に評価し、比較的安全ではない場所をいかにより安全に出来るかという政策提言を目的としたsafety auditの実施地区を決定しました。(2) に関しては小学校4校での事前調査を通して、両親がそれぞれ家庭内の仕事にどれくらいの時間を費やしたいるのかを男児および女児に記録してもらい、家庭内の性分業への意識付けを行い、女児・女性の社会的地位に関する認識の変化をアンケートを通して把握しました。レビューに基づき、教師への依頼内容やアンケートの内容等を改善しました。

2点目はMasculinity (男性らしさ) に関するワークショップを開催しました。同事務所としても初の試みでしたが、女児・女性へのより効果的な支援の為に、男児・男性により関与することが必要ではないかとの問題意識から、インド国内で男児・男性を対象とした取組みを行う7つのNGOを招待してワークショップを企画しました。各NGOとのネットワーク構築ならびに、同事務所として適切な取り組み方に関して、各NGOから率直な提言を頂き非常に有益でした。例えば、教育の現場で、ネットボールやトレッキングといった体育の授業を通して、女児・女性の能力や社会的価値に対する男児の意識や理解を改善した諸事例は、ユニセフが取り組むライフスキル教育の内容をより充実させる上で参考となりました。

今回のインターンシップでは、ユニセフの活動に関する具体的な理解に加え、性暴力・性差別やジェンダーと教育に関する理解や対応に関する知識、プロジェクト管理やコーディネーションのスキルアップなど、数多くのことを学ばせていただきました。

私のキャリア形成に理解を頂き、出来る限りの経験を積める様に種々仕事を任せて下さった上司を始め、ユニセフ・インド/デリー事務所のスタッフの皆様、案件関係者の皆様、日本ユニセフ協会、UNICEF東京事務所、そしてご支援をくださった皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。今回の経験を活かし、自身の専門性を研鑽し、より良い社会の実現に役立てる人材となるよう、引き続き努力する所存です。

州政府と小学校訪問
ディワリという祭事の時期に、同僚とオフィスにて

  1. Government of India. (2011) 2011 Census of India, available online at http://www.censusindia.gov.in/2011-Common/CensusData2011.html, accessed 5th January 2018.

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