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公益財団法人日本ユニセフ協会

国際協力人材養成プログラム

海外インターン体験記

氏名 松本 ふみ
派遣先 ガーナ事務所
派遣期間 2017年9月〜2017年12月
女子の中学校修了における障壁に関する調査での、生徒とのディスカッション

2017年9月から12月まで、ガーナのアクラ事務所、教育セクションでインターンをさせていただきました。

他のサブサハラ・アフリカ諸国に比べると政情が安定しており、今や中進国に分類されるガーナ。一方その地域格差は深刻で、それは教育分野でも同様のことが言えます。小学校の就学率(GER)は118.21%1と高いものの、就学年齢(6歳)以降の就学が珍しくなかったり、学校による教育の質のばらつき、Education for Allとは程遠い修了率や進学率など、課題も山積しています。英語を公用語としながら約80もの現地語を持つことも、教育政策の国家的普及にとって障壁となっています。

UNICEFガーナ事務所の教育セクションでは基礎教育(就学前教育、小中学校)のアクセスと質改善を主な目標としてプログラムが策定・実行されていました。私が携わらせていただいた活動は主に2点あります。

1つめは、mobile School Report Card (mSRC)という学校における情報管理ソリューションの普及活動です。私が前職でIT企業の技術営業をしていたことから、教育現場でのIT活用に関心を持っており、当活動に携わらせていただきました。就学人数や生徒・教師の出席状況等の情報を校長が週次でアプリに入力することで、その情報を学区・郡・州・中央政府の役人がチェックし、意思決定に反映することができます。導入済みの地域ではチェック機能が働くことによる教師の勤怠状況の改善や、それによる生徒の学習パフォーマンス向上が既に報告されています。私はmSRCに関連するドキュメント(例:紹介のためのパワーポイント資料、ドナーへの報告書、フィールドトリップの報告書)作成や、教師向けトレーニングのモニタリングを実施させていただきました。

2つめは、女子の中学校修了における障壁に関する調査です。特に女子の中学校修了率が低いある郡での調査を実施し、1週間ほどで生徒、教師、コミュニティのオピニオン・リーダー(例:学校管理委員会やPTAのリーダー、宗教指導者)、コミュニティの住人に対し情報収集を行いました。私の修士研究のテーマがガーナ南部の中学校中退に関して、と非常に類似のものだったので、研究の過程や結果の類似点や違いがとても興味深かったです。実際の調査では、家庭の貧困や学校への遠さ等、男女共通の障壁と共に、女子に顕著な課題(例:教師からのハラスメント・暴力、設備の不十分さにより学校で月経に対応できない、プライベートな悩みを共有できる女性教師が少ない)も提示されました。また教師の無断欠席や不十分な指導時間、指導の質の低さ等は、私自身の研究(教師へのインタビューが主な情報収集手段)では浮かび上がってきませんでしたが、生徒の学びに非常に影響の大きい問題だと言えます。

インターンシップを通じて学んだことは、主に2点あります。

1点目は、UNICEFフィールドオフィスの仕事内容を内側から知ることができました。UNICEFの役割や仕事はある程度理解しているつもりでしたが、実際内側に入ってみると、スタッフの方がこなしている仕事の多様さと難しさに驚きの連続でした。またNGO・二国間援助機関・開発コンサルタント等、開発業界のステークホルダーとの関わりも幅広くあり、大学院を修了してすぐのタイミングで各々の役割を身近に学ばせて頂く機会を持てたことは、今後のキャリア構築においても非常に貴重なことだと思います。

2点目はUNICEFフィールドオフィスでは政府レベル、コミュニティレベル双方との深いコミュニケーションが可能だということです。例えば女子の中学校修了に対する障壁を調査した際は、実際コミュニティの方に聞いた課題を郡のリーダーの方々に伝えるという機会がありました。第三者のUNICEFが介在することで、政府とコミュニティの対話が促進され、それによって課題解決に向けて動くことが出来るということを学びました。

最後に私を暖かく受け入れてくださったUNICEFガーナ事務所の皆様、インターンシップの機会を下さった日本ユニセフ協会の皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。今後も国際教育開発業界で活躍できる人材になるために、日々努力を重ねていきたいと考えております。

教師がmSRCのトレーニングでアプリの操作を実践している様子
私の送別会も兼ねて、セクションメンバーがチームランチを催してくれました

  1. http://uis.unesco.org/country/GH [Accessed 26 Jan. 2018].

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