公益財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ干ばつ緊急募金 第39報
ユニセフ 『2012年版 人道支援報告書』 発表

【2012年1月27日 スイス・ジュネーブ発】

本日、ユニセフは、2012年に世界25ヵ国以上で子どもたちに対する人道支援活動を行うために必要な資金として、12.8億米ドルの支援を国際社会に要請しました。この支援の対象国には、多くの長期にわたる、もしくは「忘れられた」危機に陥っている国々も含まれる一方で、ソマリアや他のアフリカの角地域の国々における危機への対応が、総額の3分の1近くを占めています。

本日ジュネーブで開かれた「子どもたちのための人道支援報告書(Humanitarian Action for Children report) 2012年版」の発表会で、ユニセフのリマ・サラ事務局次長代理は、次のように述べています。「今、世界の人々の視線は、アフリカの角地域の人道危機に注がれています。しかし、我々はその他にも長期にわたる危機、すなわち「忘れられた」危機が地球上に存在することを忘れてはなりません。」「アフリカのサヘル地域は、かつてないほど大規模な栄養危機に直面しています。それに加え、これはいくつかの例に過ぎませんが、コンゴ民主共和国、チャド、中央アフリカ共和国などの国々も、最も弱い立場に置かれた人々、すなわち子どもや女性たちが生き残っていくために、資金面での支援が必要とされる危機に陥っているのです。」

このユニセフの報告書では、世界中で危機にさらされている、最も弱い立場に置かれた子どもや女性たちの日々の生活が描写されています。そして、彼らの緊急の、そして長期的なニーズに応え、健全な生存と成長の権利を守っていくために必要な資金支援について説明しています。

© UNICEF/NYHQ2011-1379/Warrick Page
パキスタンの洪水被害から2年が経過したが、いまだに増水している川岸で水を汲む女性。

ユニセフがアフリカの角地域で展開する、非常に大規模な人道支援活動にもハイライトが当てられています。同地域に対してユニセフは、生存の危機に瀕する何十万人もの子どもや女性たちの命を救うための支援活動を実施するため、最も高いレベルの緊急対応を発動しました。 報告書はまた、2010年11月に行われたコートジボワールでの選挙や、スーダン共和国からの南スーダンの独立に起因する暴動によって、移住を余儀なくされた子どもたちやその家族のニーズにも触れています。また、パキスタンの洪水によって2年目までに被害を受けた5百万人もの人々や、大地震に襲われてから2年が経った、西半球で最も貧しい国ハイチを再建するための支援活動についても書かれています。

さらに、中東や北アフリカにおける政治的混乱や変化の波について、それらの地域、特に長年にわたって危機に影響を受けているイエメンなどの国々においては、それらが人道的なニーズを生み出していると言及しています。

長期にわたる緊急事態について、ユニセフの報告書は以下のように述べています。「世界中で何百万人もの子どもたちが、何年も続く危機の真っ只中で生きています。これらの緊急事態の中には、メディアや政治の大きな注意を引くものもありますが、国際的にまったく注目されることのない危機も多く存在しています。そして、その多くが、重大な人道的なニーズが人々の知らないところでいとも簡単に見逃されてしまう『忘れられた危機』になっていくのです。」

© UNICEF/NYHQ2011-1019/Kate Holt
ケニアとソマリアの国境付近にあるソマリアの人々のための難民キャンプ。

この報告書では、危機的状況下で死亡や負傷を減らすためには、緊急事態への備えや回復力の強化が非常に重要であることが強調されています。コンゴ民主共和国の東部および北東部の紛争によって、長年にわたって何百万人もの人々が深刻な影響を受け続けていることも紹介されています。

2011年6月現在、150万人以上(うち半数は子ども)が、民族抗争のため移住を余儀なくされました。紛争の影響を受ける地域では、何百万人もの子どもたちが学校に通えず、また、子どもたちに対する大規模な性的暴力などの暴行が蔓延している地域もあります。はしかやコレラの流行も、何百万人という子どもたちの命を脅かしています。

© UNICEF/NYHQ2010-1310/Ramoneda
ユニセフが支援して設置された臨時の学校で学ぶ震災の影響を受けたハイチの子どもたち。

ハイチでは、ユニセフはパートナー機関とともに、2010年に起きた大地震の生存者を支援し続けており、また、最も弱い立場にあるハイチの人々の回復力を高めるために歩みを進めています。ユニセフは、2011年には、家族と離ればなれになっていた2,500人の子どもたちが家族と再会し、また、約86,000人の子どもたちが通うことのできる193校の仮設学校を開設しました。

「我々は2011年の危機対応において、多くの成果を成し遂げてきました。しかし、何百万人もの子どもたちやその家族の、緊急の、そして長期にわたる支援のニーズは2012年も続くのです。ユニセフは子どもたちに対する使命を果たしていくために、資金を必要としています。」サラ事務局次長代理は続けます。「彼らは未来の世代を代表する存在であるだけでなく、最も弱い立場に置かれた、ドナー社会からの寛大で継続的な支援に値する人々なのです。」