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財団法人日本ユニセフ協会




バングラデシュ・サイクロン第3報
目撃者が語るサイクロンの大規模被害

© UNICEF/HQ07-1700/Noorani
崩壊した自分の家の前に立つ女性とその夫、子供。

ユニセフ広報官のザフリン・チョウフリーは、バングラデシュ南部、バリサル県のユニセフ担当官トウフィク・アーメッドからの電話報告に基づいて、サイクロン「シドル」の被害状況を伝えています。

【2007年11月19日 バングラデシュ、バリサル発】

風は夜中じゅう鳴り響き、雨がシーツにしみてきました。次の朝、トウフィク・アーメッッドは地元の人々を訪ねるために出かけました。そこで彼は、サイクロン「シドル」の影響でバングラデシュの沿岸地方が破壊的な被害を受けたことを知ったのです。

それは静かな朝でした。いつもは忙しい街中に不自然な静けさが漂っていました。アーメッドはバリサル県保健局長、バセット医師と共にいくつかのひどく被災した地域に向かう道路を歩いていきました。嵐の間、ほぼすべての木々は根こそぎ折られ、その多くが道路に散らばるように倒れていたので、道路の両側がよく見えず、一歩でも進むのは容易ではありませんでした。

若い家族の死

© UNICEF/HQ07-1702/Noorani
サイクロンで崩壊した家を建て直すために屋根を拾う母親とそれを手伝う少女

その少し後、何人かの地元の男性が泥の中を手探りで作業している所にたどりつきました。何をしているのかと尋ねられると、彼らは前夜に吹き飛ばされた屋根を探しているのだと答えました。彼らにもう家はなく、ただもし屋根を見つけることができれば、それが唯一の雨しのぎとなるのです。

二人は工事現場に到着し、そこで三人の犠牲者が列になって並べられているのを目のあたりにしました。アリ・ホセイン25歳、彼の妻ポピー20歳、そして8ヶ月の息子アドゥナンは、豪雨で倒れた木によって家が押しつぶされ、その中で亡くなりました。

隣に住んでいた人達は家から逃げ出しましたが、この夫婦は幼い子どもを外の暴風雨から守ろうとしたのです。木が倒れた時、彼らは嵐がおさまるのを待って家にいました。その次の朝、何人かが協力してその木を取り除き、2時間以上かけて三人の遺体を家から出しました。通りすがりの人たちは、その衝撃的な光景に立ち尽くしていました。

「水の壁」

その後の道中、アーメッドとバセット医師は地元の果物を売る人に会い、彼の話を聞きました。彼は、果物をたくさん貯蔵した店を守るため、嵐が止むのを待つことにしたと言います。すべての果物と所有物を包み終え、それらが吹き飛ばされないように小屋の屋根に結び付けようとしていたとき、彼は激しい音を聞きました。

肩越しに振り返ると、木々よりも高い水の壁が急に押し寄せてくるのを目撃したのです。お金の入った袋を取りに行ったとき、既に水は膝の位置まできていました。そしてそこから抜け出そうと振り返ったとき、彼はもう完全に水の中にいたと言います。最初の波が去って少しだけ体が出たとき、彼は必死に、唯一水の上に出ていた中央道路に向かって泳ぎました。やっと中央道路にたどり着き、そこでしばらく、アーメッドとバセット医師に会うまで座っていたと言います。

目撃者たちは、より海に近い方は風景が完全に変わってしまったと言います。ボーラの海岸線は一掃され、静寂に保たれています。村々は完全に流されてなくなってしまいました。海のすぐ横の村、ジョイナガルには、かつて500軒の家が建っていたとは想像もつきません。

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