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財団法人日本ユニセフ協会




バングラデシュ・サイクロン第4報
被災者の半数は子ども

【2007年11月20日 ダッカ発】

© UNICEF/Abir Abdullah/Bangladesh

サイクロン・シドルがバングラデシュ沿岸部に上陸し、沿岸部の貧しい地域の人々の命を奪ってから4日以上がたちました。最新の政府発表によれば、死者数は約3,000人とされていますが、援助機関からは5,000人以上との推計も出ています。

被災者の半数近くは子どもで、そのうち推定40万人は5歳未満です。数字はまだ出ていませんが、子どもは犠牲者の多くをしめているとみられています。多くはおぼれたり、倒れてきた木でけがをした子どもです。寒くなっていく中、子どもや女性は医薬品や食料、衣服やシェルターなどの命をつなぐ物資を緊急に必要としています。又、特に子どもたちが感染しやすいコレラや赤痢などの汚れた水を原因として発生する病気を予防するため、安全な水や衛生設備の提供も急務です。

ユニセフ・バングラデシュ代表のルイ・ジョージ・アーセノーは、パトゥアカリ県にある村を今朝訪問し、すさまじい被害を目の当たりにしました。

「河岸にあるチャルカリ村は、3kmにわたって完全に流されていました。一軒の家も、木も、建物もありません。穀物も、インフラも、人々の生活も完全にやられてしまいました。ここに生活していた子どもや家族は食料とシェルターを必要としています。食料やシェルター、現金による支援は、このような場所へ迅速に届けなければいけません。また、彼らの生活を再建するために、長期的な支援も必要とされています。」アーセノー氏は言います。

数百の村々が文字通り、跡形もなく破壊されました。国のいたるところで電力供給が止まり、通信手段がとざされました。

© UNICEF/Kathryn Seymore/Bangladesh

家屋や、公共施設、学校、道などのインフラへの損害も甚大です。政府の災害対策により、沿岸部15県の約320万人の人々が安全な場所へと避難しました。このうち多くの人々が自分の家を失い、国内避難民となっています。被災地の90%の家は全壊したとみられています。

これらの推計は、過去3日間の現場での救援活動に基づくものですが、被害の全貌が明らかになるにつれ、拡大するものとみられます。現在までに、中心部から離れた多くの地域にはまだ入ることができていません。バングラデシュ軍や人道支援機関は、きわめて過酷な状況の中、緊急に必要とされる人道支援を被災地に届ける努力をしていますが、それでも生存者のための食料や水が不足しています。現在、計732の医療チームが被災地で活動しています。

学校や教育施設への被害の全容は明らかになっていませんが、これまでに792校が全壊、4,393校が半壊したことがわかっています。

ユニセフの支援活動

ユニセフは、保健、水と衛生、教育、栄養、子どもの保護の分野で子どもや女性のための救援活動を支援しています。

  • ユニセフは、井戸の修復、被災地への給水活動、貯水容器の配布を支援しています。
  • 感染症を予防するための医療物資の備蓄は十分ですが、ユニセフは、予防接種用のワクチンの保冷チェーンの再構築とワクチンの再備蓄を支援します。又、ユニセフはWFPとともに、食料や高カロリービスケットを最も被害の大きかった5県で配布しています。
  • 被災地の子どもたちは深刻な精神的ストレスを抱えています。多くの子どもが家を失い、家族と離れ離れになりました。伝統的なサポートやケアはもう機能していません。子どもたちの長期的な生活のため、精神的サポートが欠かせません。ユニセフは、研修を受けたNGOパートナーと共に、避難所などで心理社会的支援を行う予定です。そこでは、レクリエーション活動や弱い立場にある子どもたちを見守る活動を行います。
  • ユニセフは、被害の大きかった6県で3万人の子どもに長期的な心理社会的サポートを提供する準備をすすめています。NGOパートナーと共に、避難し、家族と離れ離れになって、ストレスを抱えた子どもたちを特定する調査を実施しています。備蓄していたレクリエーションキットを使って、NGOパートナーや研修を受けたファシリテーターによる支援が行われます。又、精神的な傷を抱えた子どもたちを専門機関へ照会する制度をたちあげます。
  • ユニセフは、10,000セットの家族用キット(シェルター用資材、調理器具、衣服など)を調達しているほか、ビニルシートや乾燥食品(非常食)もニーズに応じて追加調達します。フレーク状にしたお米、パフライス(あられ)や糖蜜などの乾燥食品が通常使われています。ユニセフは、乾燥食品を調達・配布するための資金的支援を提供する準備をととのえています。

資金のニーズ

当面の緊急支援活動に必要な資金は、2,355,000米ドル(約2億6,000万円)と推定されています。被害の全容が明らかになり、必要となる支援が判明次第、必要な資金額は修正される予定です。

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◇ 募金のお願い ◇

ユニセフは、世界各地で発生している洪水や地震などの自然災害の被災者のために、緊急・復興支援活動を行っています。日本ユニセフ協会では、ユニセフが各地で実施する自然災害への緊急・復興支援活動を迅速に支援するため、自然災害緊急募金を受け付けています。
皆様のご協力をお願い申し上げます。