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ジャワ島地震情報 第10報
幼い命、破傷風と闘う

【2006年 6月19日 インドネシア ジョクジャカルタ】

4歳のダニは、インドネシア・ジョクジャカルタ郊外のオボール村で地震に遭い、避難する時にくぎを踏んでしまったために破傷風に感染しました。

4歳のダニは病院のベッドに弱々しく横たわり、どこか落ち着かない感じです。ダニは母親のジニに付き添われて、既に4日間この病院に入院しています。

ダニの住むジョクジャカルタ郊外のスレマン県・オボール村は、5月27日の地震によって、瓦礫の山と化しました。ダニの父親は、落ちてくるレンガから身体を張って娘を守りましたが、不運にも幼いダニは、逃げる途中でさびたくぎを踏んでしまったのです。

その後数日間、ダニは高熱、発作に襲われ、そしてついには口から泡をふくほどの危険な状態になりました。隣人たちの助けもあり、ダニの母親は幼いダニを村の診療所に連れて行き、医師の診断により、ただちにダニはジョクジャカルタの病院に送られることになりました。ダニの症状は破傷風によるものだと診断されました。破傷風は、初期の段階で適切な治療が施されないと、命をも脅かす恐ろしい病気です。

地震の被害を受け、劣悪な生活環境にある人々の中には、これまで確認されているだけで、ダニも含めて60人の破傷風感染者がいます。既に、破傷風に感染した人の3分の1が命を落としました。地元の保健当局は、破傷風による感染者数・死亡者数はこれから急激に増えるのではないかと危惧しています。

瓦礫の中での生活環境は劣悪

地震により、生活環境が破壊され、地震の生存者の間では特に、感染症が蔓延しやすくなります。医療サービスが救急治療で手一杯なために、軽傷患者の治療はたびたび後回しにされます。

今のところ、水と衛生の状況は多くの被災地域で悪く、かなり多くの生存者が仮設避難所で生活し、厳しい生活を強いられています。

「今回の地震規模の災害では、緊急に治療が必要な患者が殺到し、傷を治療した後、適切な殺菌や予防接種をしないで、急いで包帯を巻いてしまいがちなため、手当てを受けた人々が破傷風にかかりやすくなってしまいます。」ユニセフ保健担当官、ブライアン・スリプラハストゥティはいいます。

病気の危険を減らすために

ユニセフは、ジャワ島中部の被災地域の村一帯で、はしかの予防接種キャンペーンと並行して、無料で破傷風の予防接種を始めました。

ジョクジャカルタ中部のべセスダ病院に運ばれ、ダニの苦しみはやっと終わりました。医師や看護婦は迅速に対応し、足の傷を消毒し、感染を抑えるために抗生物質を処方して、さらに、ダニの抵抗力を高めるための注射をうちました。

ダニの症状は急速によくなり、もうすぐ家に戻る許可がおりそうです。もちろん、「家」に帰るということは、地震後のジョクジャカルタでは、比喩的な表現にすぎません。実際には、ダニの家族はビニール製の防水シートの下で生活し、本当の家を建て直すためのさらなる援助を待っている状態です。

政府の保健当局や被災地で活動する支援機関は、破傷風の大規模な流行を抑えるために必死に活動しています。ユニセフは先頭にたって、州保健局と協力し人々の意識を高めるためのキャンペーンを立ち上げようとしています。

このキャンペーンの目標は、予防接種の重要性を強調すること、人々が破傷風の兆候に気づくことができるようにすることの二つです。また、ユニセフはジャワ島中部の被災地域にある村々で、はしかの予防接種キャンペーンと並行して、無料で破傷風の予防接種を始めました。

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◇ 募金のお願い ◇

 ユニセフは、ジャワ島地震に被災した子どもたちのための緊急支援を行っています。
皆さまのご協力をお願いいたします。
(募金の受付は9月末日までとさせていただき ます。)