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ジャワ島中部、子どもセンターで夢に向かって走り出した子どもたち【2006年12月11日、インドネシア、ジョクジャカルタ発】
9歳のモハンマド・ヒスヤンは、半年前のジャワ島地震によって、ギター以外のほとんどすべてのものを失いました。激しい揺れがジャワ島中部を襲ったとき、モハンマドがやっとの思いで守ることができたもののひとつがこのギターです。この大地震により、5,000人以上が命を落とし、数千戸の家屋が破壊されました。 モハンマドにとって、このギターは単なる楽器以上のものです。モハンマドの父親は半年前の地震で命を落とし、その父親からの贈り物だったこのギターは、父の形見でもあるのです。 ムハンマドはいつかプロのミュージシャンになりたいと思っています。今は、ジョクジャカルタ近郊のウェディ村の子どもセンターで、地震を生き延びた子どもたちを相手にギターを奏でる毎日です。 心の傷を乗り越えて
「僕はドラマーかギタリストになりたいんだ。」と、ムハンマドは話します。彼の純真さや大きな夢とは対照的に、周りでは多くの人が依然としてテント生活をおくっており、インドネシア政府による住居の再建を待っている状態です。 ジョクジャカルタの被災地域で、ムハンマドのようにユニセフが支援する子どもセンターに通っている子どもは、1,500人以上います。これらのセンターの運営は、地域社会の再建に伴って地元の人々に任され、子どもたちが心の傷を乗り越えて前に進んでいけるように支援しています。 安心して遊べる場所やゲームを提供するだけでなく、子どもセンターは、ロールプレイやシミュレーションなど、遊びや教育活動を通して、子ども達が直面する問題について学んだり話し合ったりする場にもなります。 虐待からの保護子どもセンターの中には、特別な訓練をうけた警察官が活動に参加しているものもあります。そんな警察官のひとり、プルワニングシさんは、ウェディ村の子どもたちに、他人を尊重することや薬物におぼれないことの大切さを教えています。また、子どもへの虐待や放置の兆候を見逃さないようにするのも、プルワニングシさんの役目です。 「たくさんの家族がつらい経験をし、子ども達が虐待や暴力の被害に遭いやすい状況になっています。」と、プルワニングシさんはいいます。「だからこそ、地震後に子ども達を保護するのは非常に重要なことなのです。」 地元の人々からのケアや保護を受けて、子ども達のなかで恐ろしい地震の記憶は遠いものになり始め、ひとりひとりが潜在能力を開花させるべく前に進んでいこうとしています。これは、地震で破壊された地域社会を再建していく上で重要なことです。 | |||||||