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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

子ども買春、子どもポルノ等禁止法案、成立!

1999年5月17日
《報道各位》

 財団法人日本ユニセフ協会が96年末より、その実現のために運動を続けてまいりました 「子どもの商業的性的搾取」を犯罪として処罰することを目的とする「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び保護等に関する法律」が、5月18日、ついに国会で成立しました。
 同法案は、自民党、民主党、社民党、公明党、共産党、自由党及び参議院の会の6党1会派による共同提案で3月31日に参議院に提出され、4月27日に参議院法務委員会、翌28日には同本会議で可決、5月14日には衆議院法務委員会、18日には同本会議で可決され、正式に成立したものです。

日本ユニセフ協会の取組み

日本ユニセフ協会は、「子ども買春、子どもポルノ、性的目的のための人身取引」、という「子どもの商業的性的搾取」は、「子どもの基本的人権」の最も深刻な侵害であり、最も有害で搾取的な「児童労働」として、1995年以来、その即時根絶を訴えてまいりました。

1996年末には、「犯罪です、子ども買春」ポスターを1万5千部作成。

7年5月28日には当協会と駐日スウェーデン大使館の共催により、96年8月に開催されたストックホルム世界会議のフォローアップ会議と国際シンポジウムを実施。
同会議には、子どもの性的搾取問題に関して世界的なイニシアティブを取られているシルビア・スウェーデン国王妃閣下もご臨席下さり、国会議員の先生方、メディア関係者、NGOの皆様のご支持を得て、子どもの商業的性的搾取根絶のための特別立法の早期制定を訴える共同アピールを採択。
同6月9日には当協会澄田会長、東郷専務理事が、バールクヴィスト駐日スウェーデン大使、谷垣禎一ユニセフ事務局長(自民党総務局長)と共に、自民党の山崎拓政調会長、橋本龍鵜太郎総理大臣を往訪、上記「共同声明」を手渡すと同時に、本件に関する立法措置の実現を強く訴えました。
このような運動の結果、同年6月には当時の与党三党による本件プロジェクトチームが設立され、翌98年3月には法案骨子が発表され、5月22日には同法案が衆議院に提出されました。
その後、11月には民主党による対案骨子も公にされ、6党1会派による「児童買春問題勉強会」が結成されて、法案の再検討が行われ、本年3月31日に7会派共同提案により参議院に新法案が提出されたのです。

その間、日本ユニセフ協会は 「買春防止」ビデオ(アグネス・チャンさん、マリー・クリスティーヌさんがボランティアで出演くださいました)を作成、成田空港公団のご協力を得て、97年12月より98年5月にかけて成田空港で放映、旅行者に対する注意を喚起、3万部の買春リーフレットの制作・配布、98年4月に法案の早期成立を目指す署名活動(4万人の方のご協力を得ました)、国会議員の先生方への陳情、などの活動を続けてまいりました。

また、昨年(1998年)12月4、5日には「子どもの商業的性的搾取」をテーマとするユニセフグローバルフォーラムを開催。「子どもサイバーポルノ」問題と、子どもの商業的性的搾取根絶を目的とする「国内行動計画」に関して、専門家によるワークショップ(4日)通じて議論を深め、その成果を国際シンポジウム(5日)を通じて広く日本の社会に訴えました。特に国際シンポジウム(日比谷公会堂)には1000名以上の来場者があり、本問題に関する会議としては国内最大のものとなりました。

今後の課題
「子どもサイバーポルノ」

画期的な内容の本法案ですが、その目的を具体的な子どもの保護に制限したため、子どもポルノの定義から「絵」が外され、また子どもポルノの単純所持は対象外となりました。その結果、現在世界的に問題となっているインターネット上の擬似子どもポルノは取締りの対象外となったことは、大変残念なことです。集団としての「子ども」の「基本的人権」という考え方が受け入れられていない日本において、法律は具体的な個人法益の侵害に対処するものという考え方を乗り越えることは難しかったのでしょうが、子どもサイバーポルノ問題に取り組んでいく上での今後の課題となりました。

「国内行動計画」

また、今後は本法案が実効的に執行されるために必要な捜査・公判上の国際協力、被害者のケアの問題などの課題に取り組む必要があります。そのためにも、ストックホルム世界会議で各国政府が策定を公約した「国内行動計画」の速やかな策定作業の開始が日本でも望まれます。実際、「児童の商業的性的搾取に反対する会議」において日本も含めた参加各国は、2000年までに国内行動計画を策定することを約束しています。現在約20カ国がすでに国内行動計画を策定しており、20カ国が検討中です。
日本政府は、2001年5月22日を提出期限とする子どもの権利委員会に対する第2回政府報告書において、日本国内のおける「子どもの権利」実現のための取組みを報告する義務を負っており、その作成過程において市民団体等の意見を積極的に取り入れいることが期待されています。
したがって、当協会としては、上記政府報告書の作成過程における意見表明などを通じて、「国内行動計画」の早期策定を日本政府に求めていきたいと考えております。

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