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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

ガーナの子どもたち450万人を対象に寄生虫駆除
全国の小・中学校で初めての駆虫薬一斉投与

【2007年2月5日 アクラ発】

教育省ガーナ教育サービスと保健省ガーナ保健サービスは、ユニセフの支援のもと今日(5日)から全国寄生虫駆除デーを展開し、ガーナで初めて、全国一斉に公立小・中学校のすべての子どもに寄生虫駆除プログラムを実施する。

2月12日〜16日の間、ガーナ国内にある公立小・中学校28,000校(幼稚園から中学3年まで)の50万人の生徒が、土壌から感染する寄生虫病の治療を受ける。この寄生虫病はきわめて深刻な健康上の問題を引き起こし、しばしば子どもたちが学校に通うことや授業に集中することの妨げにもなっている。

寄生虫駆除の薬メベンダゾール(500mg)を処方するための研修を終えた校長および保健科の教師が、子どもたちに駆除薬を配り、寄生虫の危険についても教えることになっている。今回2月に実施されるのは、毎年2回実施される寄生虫駆除デーの1回目の試みである。2回目は今年後半に実施され、水から感染する寄生虫病の一つ、住血吸虫症(ビルハルツ住血吸虫症)への治療も行われる予定である。

「寄生虫の駆除は、学校の子どもたちの学業成績の改善に大きな効果をもたらすだろう」と教育・科学・スポーツ省副大臣ホン・クワメ・アンポフォ・ツマシ氏は述べている。

低所得国において、5〜14歳の男女それぞれの約11〜12%が腸内に寄生虫がいると推定されており、これはこの年代の男女がわずらう病気の最大の原因となっている。ガーナは正確な罹患率が出ていないが、調査の結果から国際的な罹患率とほぼ同じだと推定される。

土壌から感染する寄生虫のうち、子どもたちに最もよく見られるのは回虫(かいちゅう)、鞭虫(べんちゅう)、鉤虫(こうちゅう)の3種類である。最初の2つは、寄生虫の卵が入っている土のついた食べ物をよく洗わずに食べて感染する。3つめの鉤虫は、はだしで歩いたときに土の中の幼虫が皮膚を破って体内に入る。

寄生虫病はしばしば深刻な健康上の問題を引き起こし、子どもたちの通学や学習能力に影響を及ぼす。寄生虫は、子どもたちが食べた物から栄養を吸い取り、食物の吸収にも影響を及ぼしながら、必須栄養素を奪い取ってしまう。とくに鉄分などが奪われることで、貧血や栄養不良、成長不良の原因となる。慢性の感染症は、精神的、肉体的な発達を長期的に妨害する可能性もある。もっとも深刻な場合には、死亡することもある。

積極的な衛生習慣を心がけることが、寄生虫病の予防にとって欠かせない。寄生虫の卵は、感染した人の排泄物を介してひろがる。また人の排泄物が戸外に放置される場合、土壌や水のなかで寄生虫が成長する。便器・トイレの使用、食事前の手洗い、トイレの後の手洗い、適正な排泄物の処理、果物や野菜を清潔な水で洗うことなどが、この感染の悪循環を断つために欠かせない習慣である。

調査では、定期的な寄生虫駆除によって小学校の出席率が増加し、学校での子どもたちの学習能力が大きく改善したことがわかっている。処置は簡単であり、費用効率もきわめて高い。いくつかの開発途上国で行われた寄生虫駆除の実施状況についての調査では、最初の5年間で治療にかかる費用の年間平均は(現在の薬品価格で)、住血吸虫症と一般的な土壌からの寄生虫病の両方がある地域で子ども1人当たり50米セント以下、一般的な寄生虫病だけの地域では25米セント以下となっている。

寄生虫病の症状は寄生虫の種類によって異なるが、一般的な兆候としては食欲減退、腹部の膨張や痛み、咳、熱、吐き気、下痢、倦怠感などがある。

寄生虫駆除に先立ち、全国28,000人の教師を対象とした研修が行われ、校長や保健科の教師らが寄生虫病の発見と処置についての実践的な知識を身につけた。また、各学校に駆除薬と、コップや水などの備品を届ける活動も行われた。

2月12日〜16日に、コミュニティの保健看護士が学校での駆除活動をモニターする。2月12日、中央レベルでは教育省と保健省の各大臣、ガーナ教育サービスと保健サービスの局長らがテマ市の学校を訪問することになっている。

全国寄生虫駆除デーは、ガーナ教育サービスの「学校保健教育プログラム」の一環として実施される。主な支援団体のほか、野口記念医学研究所や多くのNGOがかかわっている。全国一斉の寄生虫駆除は、“クリーン・ガーナ”を達成するための‘ガーナ50の努力’のひとつとして企画されたものである。

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