メニューをスキップ
財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

イラク:新しい学用品が子どもたちのもとへ

【2007年2月14日 アンマン発】

何百万もの通学用バッグ、本、鉛筆、その他の必要な学用品がイラクの小学生に届けられる。これはイラク教育省とユニセフが、欧州連合の支援を受けて企画した全国学校備品支援によるものである。

この支援はイラク国内のすべての小学校を対象とし、6〜11歳の何百万人もの子どもたちに基本的な学用品を提供することを目的としている。学用品は主に首都バグダッドから配布されるが、地方政府にも直接届けられ、最も遠隔地にある学校にも配られることになる。そして2学期が始まる前に、教室に到着する予定である。

しかしユニセフは、子どもたちが学校内外でこれまで以上に保護される必要があることを強調している。イラクの教育制度はきわめて不安定な状態にあり、多くの学校が通常の授業が行われていない。というのも、イラクでは暴力行為がつづき、1990年代を通じて教育制度に十分に投資されなかったため、教員の不足や学校の建物の破壊という悪影響が生じている。

現在の不安定な状況で、通学自体が生命の危険にさらされる地域では、家族が子どもを学校に行かせるかの選択を迫られている。英国セーブ・ザ・チルドレンの最近の推定では、80万人以上の子どもたちが通学していない(2004年には60万人だった)。これらの子どもたちはなんらかの支援や保護がないかぎり、教育を受ける権利をも逃してしまう、とユニセフ・イラク事務所長ロジャー・ライト氏は述べている。

「イラクの親や教師たちは、これまで長い間自由を奪われてきたが、子どもたちを教育したいというゆるぎない意思を持ってきた。しかし現在の治安悪化は、彼らをぎりぎりの選択に追いやっている。イラクの教育システムにはこの危機を乗り切るためのかなりの投資と関心が必要だ」

ライト氏は、もっとも困難な状況下でもイラク政府は教育を最優先してきたことを賛辞した。過去2年間に、破壊された159校の校舎と800校の給水・衛生施設が修復され、3万人の教師が再教育を受け、基本的な学校教材がイラクの子どもたちに直接配布された。これらは、ユニセフとユネスコ、欧州連合などのパートナーの支援によるものである。

「このような困難で先行きが不透明の時期にこそ、教育が子どもたちと未来を守る最良の方法だと信じている。イラクの学校は、子どもたちが学ぶための刺激的で楽しい環境を維持することがきわめて重要だ」とイラク教育省のクダイル・アル−クザイ氏は語った。

しかしそのために、政府が特にバグダッドや周辺地域で行う活動にはより多くの支援が必要だとも述べている。かなり多くの家庭(2003年以来180万人以上、2006年だけでも64万人)が国内難民となっているため、学校によって生徒数が足りないところや、一方で生徒数が多すぎて困っているところなどがある。

ユニセフは国際社会に対し、現在の緊急事態の中、イラクの教育制度を維持するためにはより多くの支援を呼びかけている。そのひとつは、通常の学校教育を受けることのできない子どもにとって、頼みの綱となっている斬新な学習プログラムの推進である。

ライト氏は、学校が学びの場としてだけでなく、イラクの回復にとっても重要な場となるよう希望を持ってもらいたいと述べた。ユニセフが支援したプロジェクトは、学校をきっかけとして給水、衛生施設、ヘルスケアなど地域の社会サービスを修復し、地域社会開発を推進しようとするものであり、イラクの多くの場所で実施されている。また学校は、暴力や強制移動によって影響を受けた子どもたちに心理的なサポートを行う最良の場であり、イラク社会の安定と回復の中心ともなる。

「学校はイラクの家庭にとって希望の象徴である。われわれは力を尽くして、イラクの学校の門戸をあけつづけ、子どもたちを歓迎するとともに彼らの安全を守らねばならない」

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る