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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

ニジェール:多くの子どもたちが今も栄養不良の危険に

【2007年7月31日 ニアメー発】

地域社会がもっとも無防備な状態に陥る霜枯れの季節が始まったが、いまも多くの子どもたちが栄養不良の危険にさらされている。これまでに実施された対応策は、数千人の子どもたちにとって効果があったことがわかっているが、ニーズを抱える子どもすべてが恩恵を受けるためには、対応の規模を拡大させることが必要とされている。

最新の全国栄養調査によると、急性栄養不良の状態にある子どもの割合は全国で11.2%と、2005年10月の15.3%を下回った。さらに重要なことは、2005年10月と比較して、重度の急性栄養不良が半減したということである。

これは、2005年の栄養危機に際して実施された大規模な対策活動の成果である。「これは、何千人もの子どもたちの生命が救われたことを意味している。しかしこれは同時に、さらに多くの子どもたちの生命が危機に瀕しているということも意味している」。ユニセフ・ニジェール事務所の栄養担当主任ノエル・ザグレ氏はこう述べた。

しかし、全国平均の数値からは、以下のような地方別そして年齢集団別に存在している憂慮すべき格差や傾向がわからない。

  • 3歳未満児がもっとも影響を受けており、その15.5%が急性栄養不良である。特に懸念される地域はアガデス、ディファ、マラディ、ジンデルの各県で、過去数ヶ月間に重度栄養不良の3歳未満児が急増している。
  • 8県のうちの2県で、急性栄養不良のレベルが、この水準を超えると緊急事態とされる閾値(15%以上)を超えており、5歳未満児の栄養状態が最近急速に悪化していることが明らかになっている。全体の急性栄養不良率も悪化し、ディファ県で19.6%、アガデス県で17.5%となっている。主要な農業地域とされるマラディ県とジンデル県は深刻な状況にあり、急性栄養不良率が過去6ヶ月間に急増して、それぞれ11.8%、14.2%となっている。
  • 幼い子どもたちの栄養不良率が高いのは、年齢に適した食糧を入手できないこと、食習慣の問題、基本的な保健サービスが不足していることなどが原因である。さらに、大規模で広範囲に広がる貧困のなかで、女性や保護者が子どもの命を守る情報、教育、支援サービスなどを利用できないことも事態を悪化させている。

子どもの栄養状態に関する最新の状況を把握することで、ユニセフとパートナー団体・機関は、これまですでに実施されてきた対策活動を手直しし、霜枯れ時期(7月〜10月)の数ヶ月間に推定約27万5,000人にのぼる子どもたちを対象とした活動を実施することができる。

調査結果を受け、ユニセフは、以下の目的を果たすべく、政府に対する支援(NGO21団体のネットワーク調整)を強化している。

  • ニーズを抱えているが、すでに機能している900カ所の施設やコミュニティの給食センターからの支援をいまだに受けていない子どもたちに対し、栄養療法の規模を拡大する。ユニセフはスタッフ研修、治療用の食品、必須医薬品、身体測定機器、モニタリング、カウンセリングなどを栄養センターに提供する。
  • 世界食糧計画(WFP)との協力のもと、ニアメをのぞく全地域のすべての3歳未満児に、2カ月分のニーズを満たす補助食品を無償で提供する。ディファ県では、同支援策の対象をすべての5歳未満児と妊婦および授乳中の女性に拡大して実施され、駆虫剤およびビタミンAも提供される予定である。
  • コミュニティに根ざした活動を強化し、子どもたちが栄養不良に陥るのを防いだり、栄養不良の子どもを発見して栄養治療センターへの照会を行なう。
  • 栄養不良を防止するための政策やプログラム活動を強化する。特に、完全母乳育児や年齢に適した補助食品・食習慣など、乳幼児のより良い食習慣の保護・推進・支援に重点が置かれる。同時に、ビタミンやミネラルの補給、駆虫やマラリアの抑制なども実施される。
  • 女性や保護者に対して、子どもの命を守るための教育やカウンセリングを行う。

調査を受けて作成された事業勧告案には、以下の事項が含まれている。

  • すべての子どもたちが年齢に適した食糧を得るとともに、年齢相応の食習慣と衛生習慣を身につけ、最良の栄養状態と成長が実現できるようにする。
  • すべての子どもたちが基本的な保健サービスを無償で利用し、最良の生存と成長・発達ができるようにする。
  • もっとも弱い立場にある世帯とコミュニティが、食糧安全保障を向上させ、脆弱性緩和に資する支援策を受けられるようにする。

ユニセフ・ニジェール事務所代表のアキール・アイヤル氏は次のように述べた。「子どもの栄養状態を改善するために、これまでも多くのことがなされてきた。我々は、霜枯れの季節に命の危険にさらされる何千人もの子どもたちを救うため、対策を拡大しなければならない。しかし、現状を改善するには、とくに女性たちがヘルスケアや命を守る知識や措置をもっと利用できるようにすること、とくに女の子たちが教育を受けられるようにすること、そして、農村部と地域社会の開発を継続して支援することが不可欠である」

2007年の年初以来、ユニセフとパートナー団体・機関が治療を行なった栄養不良の子どもは15万2,934人にのぼり、年内に合計37万人の子どもを治療したいとしている。

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