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*ダノン・スタッフレポート  「マリの少女と井戸まで水汲みに・・・」 ダノンウォーターズ  オブ  ジャパン株式会社
マーケティング部 部長 森永博子さん
マリでは、水汲みは女の仕事であるという。

遠くをまぶしそうに見つめる大きな瞳が印象的な少女。

 日本人の感覚だと10歳くらいに見えるが、13〜14歳という。正確な年齢はわからない。歳を数えることを教わってないからだ。井戸まで何分くらい?何キロくらい?という質問にも答えられない。学校に行ってないので時間の数え方や、距離の単位も知らない。6人から10人くらいの兄弟姉妹の中で、この村の場合、学校に行っているのは数人という。
 少女は大きなポリバケツを頭にのせて、歩き出した。バケツは身長130センチくらいの背丈には大きく映る。空ならばと、バケツを頭に乗せ途中歩いてみたが、ほんの5分くらい歩くだけで頭上に持ち上げた腕の筋肉が痛む。

多くの農村では、掘り穴式の井戸を使わざるをえない

気温48度。炎天下の中、道のないワダチを永遠歩いていく。井戸らしきものは前方に全く見えず、頭がくらくらしてくる。
歩くこと30〜40分、約3キロと思われる距離を行くとようやく井戸らしき場所にたどり着くも、あまりにも非衛生的な状態の井戸に驚く。回りには囲いも何も無く、手で掘っただけで、動物の糞やゴミや虫や雑菌が入り放題!こんなに苦労して歩いてきたのに、こんなに汚れた水しか手に入らないなんて、ついて行ったものはみなショックを受ける。
 帰りは同じ48度の中を、また30〜40分。今度はしかも重たい水が入っている。小さな少女にとっては、まっすぐに天に向けてバケツをささえるのがやっとの腕の長さ。これを一日に4回くらい繰り返すという。今日だけでない。昨日も、明日もあさっても。
水汲みはつらいですか?の質問に、「やっぱりつらい」と答え、学校に行きたいですかの質問にも「行きたい」と答えた。

洗濯をする少女たち・・・

下校途中の女の子たち
他の村であった下校途中の女の子たち

 別の井戸の周りで5〜6人で洗濯をしている少女たちに会った。身長は先ほどの水汲みの少女と同じ120〜130センチ。年齢は12歳〜14歳くらい。
 彼女たちは、遠くの村を指差し(距離にして3キロくらい?)、そこから井戸のある場所に洗濯をしに来ているという。洗濯は母親の手伝いとして重要な仕事で、全員で30枚くらいのシャツやズボンを、井戸からくみ出した濁った水に石のような石鹸を器用にこすり付けて手洗いしている。皆手馴れた様子で、リズミカルに手もみ洗いをし、1メートルから1.5メートルくらいの高さの木に洗い終わった衣類を干している。聞けば一日弁当持参で洗濯に来ているらしい。

遊牧民の子どものお弁当
遊牧民の子どものお弁当
 

弁当を見せてとお願いしたところ、見せてくれたのは、アルミ製のボールにビニール袋に小分けにされたミレットの粉と砂糖、それに粉ミルク、これらをお昼になったら水を混ぜて食べるらしい。
彼女たちの母親の手伝いは、洗濯だけではない。薪ひろい、ミレットをつぶすなどの食事の準備、小さい赤ちゃんの世話・・・。大家族の家事一切について責任のある母親を娘たちが手伝う。娘たちの手伝いがないと、母親が済ませなければならない家事仕事が立ち行かなくなる。だから娘たちを学校に行かせたがらない。学校に通わせるにあたり、女子よりも男子が優遇されるのかと考えていたが、単純にそういう理由ではなさそうだ。
洗濯の少女たちは楽しそうに見えたので、楽しいですかと聞いたところ、「つまらない」との答え。やっぱり水汲みや洗濯より、学校に行きたいとのこと。

 今回出会った少女たちは、水汲みも洗濯もそれ以外の家での手伝いも、運命だと思って受け入れているようだった。楽しくないしたいていは辛いし、でもこれをやらなくていいのならどんなにいいかとか、休みたいとかは思っていないようでした。でも彼女たちの瞳はあくまでも純粋で、とってもピュアな笑顔を返してくれる。清潔な水が出る井戸をひとつでも多くマリの人々に届け、水汲みや洗濯の少女たちの笑顔がひとつでも増えることを願う。

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