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HOME > 特集:栄養不良 > 【連載特集】世界の栄養不良、微量栄養素欠乏 第二回
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栄養不良になるってどういうこと?

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連載 第2回 「世界の栄養不良、微量栄養素欠乏」

第2回_01 / 02

■微量栄養素欠乏・エチオピアの場合

日本

(質問・藤原美典さん )
こんにちは、ユニセフ子どもネットの藤原美典です。 ミャンマーでは、ビタミンB1欠乏による乳幼児脚気が深刻な問題であると 錦織さんのお話からよく分かりました。 エチオピアではどんな微量栄養素欠乏が深刻なんですか?

エチオピア風景
© UNICEF/ HQ03-0276/Indrias Getachew
エチオピア

<岡村恭子>エチオピアは内陸国で(やっぱり海が恋しくなります…)、地形的にヨード欠乏症がとても起こりやすい国です。 ちなみに、子どもの人口の70%近くがヨード欠乏症です!!ヨード欠乏症がもたらす問題の深刻さから考えると、いまだに70%が欠乏症というのは、本当に受け入れがたい状況で、今、一生懸命ヨード添加塩の普及を進めていますが、これまたエチオピア特有の問題がいろいろあって… 

ヨード欠乏症が、発育や知能の発達、赤ちゃんの流産・死産等に深刻な問題があることは皆さんご存知だと思います。一人の人間が一生に必要なヨードの量はたった小さじ一杯とも言われていますよね。ところがエチオピアでは子どもの70%がヨード欠乏症です。甲状腺肥大が起こっている子どもも40%と推定されています。ネパールでもたいがい大きな問題でしたが、ここに来て本当にありえない!と叫んでしまいました。でもよく考えてみると、本当はありえない状況ではなくって、エチオピアやネパールのように土壌からヨードをとれない土地では、ヨード添加塩が普及されていないとまぁ当然というような結果なのです。

日本

(質問・rsaekiさん )
ではなぜ、ヨード添加塩が普及されていないのでしょうか。 ヨード添加塩は途上国のほとんどで普及していると聞いていますが・・・ 

エチオピア

<岡村恭子>
エチオピアはヨード添加塩の促進を比較的早くに始めた国で、1998年には家庭における使用率が80%にまで上がっていました。塩は今のエリトリアの地域でヨード添加されて普及されていたのですが、エリトリアとの国境紛争等、政治的な混乱によって、一気に手に入らなくなってしまい、2005年の調査では使用率4%にまで下がってしまいました。幸いエチオピアの他の地域、アファールというところで、塩が自国生産できることがわかり、塩の生産自体は始まったのですが、その地域は一年中気温が40度とか45度、最も気候などの条件が厳しいと言われている所です。産業や道路等ももちろん発達していなくて、小さな製塩業者が細々と塩を生産しています。ヨード添加を始める場合、通常は初期費用等を提供する場合もありますが、その後の経常費用は社会的利益ということで説得をして業者負担にする、または市場価格への統合となります。エチオピアではこれがうまくいっていません。アファールがあまりにも生活条件の厳しい地域であるため、小さな製塩業者がヨード添加費用を負担するのを拒否し、また、ビジネスチャンスと見た他の地域の大きな業者が幾つか入ってきたため、小規模業者が市場のシェアを完全に奪われるという危機感のあまり、政治問題にしてしまったからです。今、保健大臣以下が国家の重要事項として交渉を進めていますが、こんなに深刻な問題でも、なかなか思うように話し合いは進みません。政治経済が子どもの栄養状態に直接的な影響を与えている例の一つですが、アファールの人達の暮らしも大切にしつつ、危険にさらされている70%の子ども達を一刻も早く守るということを基本ラインにして、現実的な解決策は何かを考えています。

■アフリカとアジアの栄養不良、違いと共通点は?

日本

(質問・tmoriさん )
ユニセフハウスの展示場でボランティアをしています。アフリカ型とアジア型、南アジア型の栄養不良の違いはあるのでしょうか。たとえばアフリアや南アジアなどは貧困やジェンダー(の不平等)の問題が深く絡んでいる。東南アジアなどは、微量栄養素欠乏症などが多いとかで分けられるのでしょうか。

ミャンマー

<錦織信幸>
tmoriさん、メッセージありがとうございます。
ミャンマーにおいてももちろんジェンダーの問題はありますが、おっしゃるとおり現れ方、栄養や健康問題に与える影響、程度の大きさには違いあるように感じます。

栄養不良の現れ方についての地域はある程度は傾向があると思います。たとえばアフリカの方が大規模な消耗症の発生がアジアよりは多く、南アジアでは成長不良と低出生体重がかなり際立っているなど。 東南アジアは発展の様相がかなり多様でミャンマーと隣国のタイやマレーシアとを比べるのは容易ではありません。比較的貧しい国の中でもミャンマー、ラオス、カンボジア、ベトナム、どこをとっても独特の問題や発展の様相を持っているのでなかなか一般化は難しいように感じます。 微量栄養素の問題も食文化と密接に関わるので、必ずしもアフリカかアジアかという分類では一口にいえないと思います。

ということで、お答えは Yes or No という感じですが、いかがでしょうか。

次回予告 第三回連載では、ミャンマーとエチオピアの子どもたちが食べている日々の食事を

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ミャンマー 錦織信幸(にしきおりのぶゆき) UNICEFミャンマー事務所 保健・栄養担当プログラム・オフィサー 錦織信幸(にしきおりのぶゆき) エチオピアから UNICEFエチオピア事務所 栄養担当専門官ニュートリション・スペシャリスト 岡村恭子(おかむらきょうこ) 岡村恭子(おかむらきょうこ) エチオピアから