安全な水を世界の子どもたちに

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nepia千のトイレプロジェクト
ユニセフの取り組み

©日本ユニセフ協会/2007/Hisashi

ユニセフは、世界中で、コミュニティと協力して手押し式井戸を建設しています。 こうした支援は、子どもたちにすぐに良い結果・効果をもたらしています。 子どもたちの健康状態が改善され、より多くの子どもたちが学校に通いはじめています。 コミュニティの人々に基礎的な衛生知識の普及や技術指導を行うことで、子どもたちの死亡やその地域の「貧困」状況を劇的に軽減させることができています。

井戸が出来る前・・・井戸が出来た後・・・

© UNICEF
「井戸が出来て、毎日学校に行けるようになったんだ。たくさん勉強して、お医者さんになるんだ。」
セーラム、11歳/エチオピア

「たくさん勉強して、大きくなったら、お医者さんになりたいんだ。」と話すのは、 セーラム、11歳。 かつて、セーラムは、学校に満足に通えずにいました。 水くみに毎日何時間も費やさなければならなかったので、学校を休んでばかりいました。
「毎日学校に行きたい」・・・。セーラムのそんな願いは叶ったのです。
なぜって?村に井戸ができたからです。

「水くみは僕の仕事でした。川の上流まではとても遠くて、片道2時間の 道を3往復して家族全員が必要な水を毎日くみに行かなければなりませんでした。 道中ハイエナに襲われて亡くなった女性の話も聞いていたから、 水くみに行くのはとても怖かったんだ。」セーラムは続けます。
「でも、今では近くに井戸が出来たから、もう遠くまで水くみに行かなくても 良くなったし、学校にも毎日通える。大好きな科学の授業にも 出席できるようになりました。」
エチオピアは、安全な飲み水と衛生施設の普及率が最も低い国のひとつです。 安全な飲み水を手に入れられる世帯数は全体のたった31パーセント。 衛生を保つ基礎的な衛生施設(トイレ)が使える世帯数はさらに低く、17パーセントです。

ユニセフの水と衛生プログラム、「井戸」

ユニセフは水の問題を子どもの権利の問題と捉え、開発途上国で支援事業を行っています。 プログラムの中心となるのは「井戸」の普及。「井戸」は清潔な飲み水を提供することで 子どもや家族の命と健康を守るだけでなく、女性と子どもを水くみの重労働から解放します。
「井戸が出来る前、コミュニティは多くの問題を抱えていました。」 自治体のリーダー、アサファ・アダモ氏は語ります。
「水源までの道中、野生動物に襲われて女性が亡くなるという悲しい出来事も ありました。水くみに何時間も費やさなければならない子どもたちは、 学校に満足に通えませんでした。 そして、苦労して手に入れた水でさえ決して安全とは言えず、 子どもたちは汚れてた水を飲んで、下痢を繰り返したり、赤痢や コレラにかかるなど、命の危険と隣り合わせでした。」

井戸、それは希望の循環

タガセ・ハリブ氏、29歳は、環境保護のエキスパートで、 水と衛生プログラムにおけるリーダー的存在です。 子どもたちや家族が健康でいるためにはどうしたらいいのか。 ハリブ氏は、村人たちを集めて定期的にレクチャーを行っています。
「井戸が出来て、下痢による脱水症で命を落とす子どもたちの数は著しく減りました。 水くみに行かなくてよくなったことで、子どもたち、特に女の子たちの就学率が上がりました。 水くみの重労働から開放された女性たちの中には、所得を得るための 仕事をはじめるものも出てきました。」タガセ氏は続けます。
「たったひとつの井戸が村の人たちの生活を大きく変えました。 “井戸が起こした奇跡!”変化の様を、人々は奇跡だと言っています。」

ユニセフは、今後、1550の井戸を新たに建設し、安全な飲み水にアクセスできる人たちの 割合を、今の30パーセントから40パーセントにすることを目指しています。
「ユニセフが村に井戸を掘ってくれました。その井戸から希望が循環し始めています。」 アダモ氏は言います。

「希望の循環がずっと続いていくように、村の人たちみんなで、 井戸を守っていきます。それは私たちの責任ですから。」


ユニセフは井戸の建設のほかに、雨水をためるタンク、それにトイレや手洗い場を作っています。
また、脱水症状から子どもの命を守るため、からだに吸収されやすいORS(経口補水塩)と呼ばれるパッケージを届けています。

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