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日本ユニセフ協会
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世界の子どもたち

ナイジェリア
「屋外排泄ゼロ」を牽引する
水と衛生(WASH)委員会のボランティアたち

【2016年5月25日  ジガワ州(ナイジェリア)発】

2025年までに、ナイジェリア全土で「屋外排泄ゼロ」を達成することは可能なのでしょうか。北部遠隔地にあるGidan Darge村の、水と衛生(WASH)委員会が道を探っています。

水と衛生分野のパイオニア

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© UNICEF Nigeria/2015

ハビバさん(右端)と、水と衛生委員会のメンバーたち。

ナイジェリアの首都アブジャから、300マイル北東の位置にあるGidan Darge村は、遠隔地の乾燥した土地柄にもかかわらず、水と衛生分野のパイオニア的存在です。

2008年、この村はナイジェリアで初めて、CLTSアプローチ(コミュニティ主導の包括的な衛生アプローチ)による「屋外排泄ゼロ」を宣言したコミュニティの一つになりました。CLTSアプローチでは、すべての家庭にトイレを設置すること、安全な水へのアクセスを確保すること、正しい手洗いを身につけることを目的としています。

行動変容を促すため、地元政府の水と衛生担当官が村を訪れ、ボランティアと一緒に実演指導を行いました。実演指導は、シンプルですがとても影響力があります。たとえば、「屋外排泄地図」の作成では、村人が協力して地図を描き、水を汲む場所や家、実際に屋外排泄を行っている場所を示してもらいます。その後、ボランティアが屋外排泄と病気にどのような関連性があるのかを説明します。そうすることで、雨が降ると、便が近くの水源に流され、最後には各家庭に戻ってきてしまうことが分かるのです。

ハビバ・ウマールさん(35歳)は、コミュニティの行動変容を率いる手助けをしようと、ボランティアに参加した一人です。15人のメンバーが協力して、水と衛生委員会を作りました。

「以前まで、村の至るところに便が残されており、とてもひどい状態でした。自分の家族のため、そして、他のコミュニティを後押しするためにボランティアに参加しました。同じ問題を抱え、子どもたちの健康を守りたいと思う人たちが集まっています」とハビバさんは言います。

ハエがいなくなった村

トイレの脇に立つハビバさん家族。

© UNICEF Nigeria/2015

トイレの脇に立つハビバさん家族。

実演指導からわずか27日後には、すべての家庭にトイレと手洗い設備が設置されました。また、3つの公共トイレが建設され、村は「屋外排泄ゼロ」を宣言しました。

ナイジェリア政府はユニセフと協力し、村に手押しポンプ付の井戸を導入しました。この井戸は、村の人たちに安全な飲み水を供給すると同時に、すべての家庭での手洗いの実践とトイレを清潔に保つことに一役買っています。

しかし、これまでの習慣は一晩で変化するものではありません。何カ月、何年もかかってやっと継続的な習慣となるため、水と衛生委員会のメンバーの活動は続きます。ハビバさんは、トイレや手洗い設備の継続的な利用と維持管理を後押しするため、他のメンバーと共に家々をまわり、進捗状況を見守っています。

ハビバさんたちの努力は、効果を生み続けています。村は目に見えて綺麗になり、トイレも清潔です。村には、子どもや動物の便さえありません。そして、その変化に気づかない人はいません。

「村に来る魚の行商が驚きます」とハビバさんは笑います。「この村には、どこに行っても目にするハエがいないからです」

CLTSプログラムの効果は明白で、近隣コミュニティもすぐに興味を持ち始めました。「同じことができるよう、手伝ってほしいと頼まれました。もちろん大歓迎です!」

信用を得て、行動変容に繋げる

行動の火付け役となるため、ハビバさんたち水と衛生委員会のメンバーは、これまでに26の近隣コミュニティを訪ねました。荒涼とした砂漠地帯に点在している村を訪問するのは、簡単な仕事ではありません。

「人々の行動を変えるには、信用を得る時間が必要なのです」とハビバさんは話します。「最初は、トイレなどいらないと耳を傾けず、変化を拒む人もいます。でも、このような人たちとも粘り強く向き合うことで、最後には変化を生み出すことができるのです」

水と衛生委員会には、井戸の管理や、トイレの点検のために家々をまわること、衛生に関する情報の周知や、資金調達などの役目もあります。各家庭は、毎月100ナイジェリア・ナイラ(50米セント)を寄付し、出来る限りの協力をしています。

「村人から集めた資金は、井戸の修理や衛生設備の改善、基本的な医薬品の購入に充てています」と水と衛生委員会で秘書を務めるイドリス・マラミさんは話します。「保健センターが近くにないので、本当に大きな役割を果たしています」

ジガワ州では、これまでに746のコミュニティが「屋外排泄ゼロ」達成の認証を受けました。政府が計画する、2025年までの州全体での達成にはまだ長い道のりが続いていますが、ハビバさんやイドリスさんのような、水と衛生委員会メンバーの献身的な活動が、不可能を可能にするのです。

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