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報告会レポート

開催報告
こども家庭庁主催・日本ユニセフ協会共催
「令和7年度シンポジウム~こどもの“こえ”を聴く」

2026年3月18日東京

近年、日本国内では「子どもの権利」に対する意識が徐々に高まりを見せ、社会全体でその理解を深め、実現する重要性が増しています。2023年のこども家庭庁創設と、こども基本法の施行を契機に、子どもを“権利の主体”として捉える視点が行政・教育現場・地域社会へも広く共有されました。また、2024年には公益財団法人 日本ユニセフ協会とこども家庭庁が共催する普及啓発キャンペーン「こどものけんりプロジェクト」が始動しました。

Ⓒ こども家庭庁

こうした背景のもと、子どもたちと関わる現場で活躍する方々をお招きし、多様な実践例を通して、子どもの“こえ”を聴くことの大切さや難しさ、これからの取り組みへのヒントについて考えることを目的に、2月26日、日本ユニセフ協会はこども家庭庁と「令和7年度シンポジウム~こどもの“こえ”を聴く」を共催しました。シンポジウム名にもある「“こえ”」とは、音で発せられる声だけでなく、言葉にできない想いや考えなども含めた、子どもたちの気持ちや思い、意見などを指しています。

令和7年度シンポジウム~こどもの“こえ”を聴く

開会挨拶 日本ユニセフ協会 会長 高須幸雄
基調講演 「こどものこえを聴くことと、子どもの権利について」
大谷美紀子 氏 弁護士/元国連子どもの権利委員会委員
パネル
ディスカッション
「こどもの“こえ”を聴く」

ファシリテーター:
竹内 和雄 氏 兵庫県立大学人間学部 教授

登壇者(五十音順):
大谷美紀子 氏 弁護士/元国連子どもの権利委員会委員
小林淳史 氏 町田市子ども生活部児童青少年課 子どもセンターまあち
曽木書代 氏 陽だまりの丘保育園 ひなたの丘保育園 統括園長/公益社団法人 全国私立保育連盟 常務理事/東京都民間保育協会 理事
遠衞孝成 氏 日本放送協会(NHK)コンテンツ制作局第1制作センター(教育・次世代)チーフ・プロデューサー
花田悦子 氏 児童養護施設 報恩母の家 施設長/福岡県児童養護施設協議会 会長/全国児童養護施設協議会 研修部長/こども家庭庁審議会臨時委員(こどもの貧困・ひとり親部会委員)

質疑応答
閉会挨拶 水田功 氏 こども家庭庁 長官官房審議官(総合政策等担当)

開会挨拶「子ども自身が“子どもの権利”を知ることが、子どもの自己肯定感を育む」
日本ユニセフ協会 会長 高須幸雄

Ⓒ こども家庭庁
日本ユニセフ協会 会長 高須幸雄

「こどもの“こえ”を聴く」ことは、子どもの権利条約やこども基本法に基づく、非常に重要な原則の一つです。日本ユニセフ協会をはじめ、多くの団体がさまざまな努力を重ねておりますが、「子どもの権利」に関する理解は、先生方や指導者、家族だけでなく、子ども自身の中でも、まだ十分とは言えない状況にあります。

子どもは、おとなと同じように権利をもっています。自分の思いや意見を口に出すことは、子どもの権利です。それを小さい頃から知ることが、子どもの自信を高め、自己肯定感を育み、将来おとなに成長していくために欠かせない要素だと考えています。しかし、子どもたちが生活するさまざまな場で、子どもの“こえ”におとながしっかりと耳を傾け、子どもたちが「自分の声が生かされている」と感じられる状況は、まだ十分に実現されているとは言えません。「子どものため」という名目で、本人の意見を聞かずにおとなだけで決めてしまうことや、「難しい状況にある子どもだから判断できないだろう」と、意見を表明する場から外してしまうことも少なくありません。しかし、それではいけないのです。

子どもの“こえ”とは、言葉として発せられるものだけではありません。言葉ではうまく表現できなくても、内面に強い感情や思いを抱えている子どももいます。そのような“こえ”を受け止める姿勢が、子どもに関わるすべてのおとなに求められています。また、子どもの“こえ”を聴くことは、常に子どもの言う通りにしなければならないということではありません。希望通りにできない場合も多くあります。その際には、なぜできないのか、意見がどのように生かされたのかを丁寧に伝えることが重要です。そうすることで、子どもたちは「ただ聞かれただけ」で終わることなく、無力感を抱かずに済むのです。

基調講演「こどものこえを聴くことと、子どもの権利について」
弁護士/元国連子どもの権利委員会委員 大谷美紀子 氏

Ⓒ こども家庭庁
弁護士/元国連子どもの権利委員会委員 大谷美紀子 氏

こども基本法が施行され、子ども家庭庁が設立されて以降、各地で「こどもの“こえ”を聴く」ことへの関心が高まり、さまざまな取り組みが進んできました。“こえ”が聴かれることは、子どもの権利条約が保障する重要な「子どもの権利」の一つであり、日本社会の中でこの考え方が広がっていくことは、大変意義深いことです。

私は、なぜ子どもの権利条約が子どもの“こえ”が聴かれることを子どもの権利として保障したのかを考えることが、条約の理念を深く理解することにつながると考えています。

そもそも、「子どもの権利」とは何でしょうか。

日本では「子どもに権利を認めるなら義務も教えるべきだ」「権利を教えるとわがままになるのではないか」といった意見が聞かれることがあります。しかし、子どもの権利とは、国連が定めた子どもの権利条約が保障する、子どもの人権のことです。国連は、世界中のすべての人に保障される人権を定め、その実現に向けたさまざまな仕組みを構築し、取り組みを進めてきました。すべての人に人権があるのであれば、子どもも同様に人権をもっているはずです。一方で、子どもは長い間、心身ともに未熟で弱い、特別な保護が必要な存在として扱われてきました。確かに、子どもにはおとなの保護が必要です。しかし、それは子どもをおとなの管理下に置き、意見を持たせないことを正当化するものではありません。

このような考え方を大きく転換したのが、1989年に採択された「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」です。条約は、子どもを一人の人格、人権をもつ権利の主体として尊重することを、国連に加盟するすべての国の合意として明確に示しました。ここで大切なのは、子どもはおとなと同様に権利の主体であるといっても、おとなになるまでの発達段階では、特別な保護が必要であることに変わりはないということです。

この二つを橋渡しする役割を果たしているのが、子どもの権利条約が定めた「子どもの最善の利益原則」と「意見を聴かれる権利」です。子どもに影響を及ぼすすべての事柄について、何が子どもにとって最善なのかを第一に考え、その際に子ども自身の意見を聴き、年齢や成熟度に応じて考慮することが求められています。この権利は、日本では「意見表明権」と呼ばれることが多いですが、私は「意見を聴かれ、適切に考慮される権利」という表現が、より正確に意味を伝えていると考えています。子どもは、言葉だけでなく、態度や行動など、さまざまな方法で自分の思いを表現しています。おとなは、その“こえ”を丁寧に受け止める必要があります。

また、子どもの意見を聴くことは、子どもの言う通りに決めることではありません。最終的な判断の責任はおとなにありますが、その過程で子どもの意見がどのように考慮されたのかを伝えることが重要です。そして、子どもが意見を言えるようになるためには、安心して考えを述べられる環境が必要です。人と違う意見をもってもいいと認められること、自分の考えを尊重してもらえるという経験が、子どもを支えます。そのために、私たちおとな自身も、自分の考えを表明する勇気を持ち、多様な考え方を尊重し、合意点を見出していく努力が必要です。子どもの“こえ”を聴き、人格をもった権利の主体として尊重することは、子どもだけでなく、すべての人の権利が尊重される社会につながります。

 

パネルディスカッション「こどもの“こえ”を聴く」

続いて行われたパネルディスカッションには、兵庫県立大学人間学部 教授の竹内和雄氏をファシリテーターに、基調講演を行った大谷美紀子氏、町田市子ども生活部児童青少年課 子どもセンターまあちの小林淳史氏、児童養護施設 報恩母の家 施設長の花田悦子氏、公益社団法人 全国私立保育連盟 常務理事の曽木書代氏、NHKコンテンツ制作局第1制作センター チーフ・プロデューサーの遠衞孝成氏が登壇しました。

「こどもの“こえ”を聴く」をテーマに、行政・福祉・保育・メディア・教育と多様な立場から実践と課題が共有され、子どもの思いや表現をどのように受け止め支えるかについて活発な意見交換が行われました。

行政の立場から
町田市子ども生活部児童青少年課 子どもセンターまあち 小林淳史 氏

Ⓒ 日本ユニセフ協会/2026
町田市子ども生活部児童青少年課 子どもセンターまあち

小林淳史 氏

私は行政の立場で参加していますが、本日は現場職員としての経験を基にお話をします。私は2017年に児童厚生員として町田市に入庁し、これまで2カ所の子どもセンターに勤務してきました。

私が普段行っている活動として、大きく二つご紹介します。一つ目の「子ども委員会」では、小学3年生から高校生世代までが主体となり、児童館の来館者が楽しく過ごすためのルールづくりや、イベントづくりを行っています。おとなが仲介に入ることもありますが、基本は子どもたちの話し合いを見守る立場です。二つ目の「まちだ若者大作戦」という町田市の補助金事業では、例えば、ダンスイベントをやりたい、高校生が受験をするときに分かりやすい情報が詰まった図鑑を作りたいなど、子どもたちの「やりたい」を形にする支援をしています。

私が大事にしているのは、子どもの「やりたいことの純度」を下げないことです。子どもたちの「やりたい」という“こえ”を実現させようとしておとなが関わると、こうした方がいい、行政的にはこう整えた方がいい、という考えが入ってしまいます。そうすると、子どもは「それは自分のやりたいことではない」と感じて立ち止まってしまいます。おとなが良かれと思って介入しすぎることで、子どもの“こえ”の純度が下がってしまう。そのバランスがとても難しいと感じています。

課題だと感じていることは、「もっとこうしたい」「こうなったらいいな」を伝えられる子どもがいる一方で、言葉で表現するのが苦手だったり、心の中では思っていても伝えることが苦手だったりする子どもたちの“こえ”には十分耳が傾けられておらず、また耳を傾けること自体が社会に広がっていないことです。

「こどもの“こえ”を聴く」ことには、型がありません。現場では、一つひとつ“オーダーメイド”で、子どもの“こえ”を拾っています。子どもと向き合うことを、時間をかけて丁寧に行うことが、私にとっても、さまざまな立場にあるおとなにとっても必要なことだと感じています。

福祉の立場から
児童養護施設 報恩母の家 施設長 花田悦子 氏

Ⓒ こども家庭庁
児童養護施設 報恩母の家 施設長 花田悦子 氏

私は今日、自分の声ではなく、子どもたちと家族の“こえ”を届ける思いでお話しします。

児童養護施設は児童福祉法で定められた施設で、生活環境上、養護を必要とする子どもたちをお預かりしています。全国607カ所、約2,200人の子どもたちが施設で生活しています。子どもたちは措置権という行政の決定のもとで入所し、自分の気持ちに気づいていなかったり、気持ちを対等に聴いてもらったことがなく自分の考えをもつことを諦めていたり、表に出すことが苦しいために気持ちに蓋をしていたり、そもそも自分に気持ちや考えを表す権利があることを知らなかったりします。そういった子どもの「“こえ”にならない“こえ”」に、日常的に触れています。

私たちは生活の中で選択肢を示し、一緒に考え、最後は子どもたち自身が決めるということを大切にしています。子どもが自分で選んだ結果だからこそ、その後の失敗も自分のものになります。失敗しても、また一緒に考えればいい。子どもが選択する機会を、どれだけおとなが度量をもって「失敗してもいいよ」と言ってあげられるかが重要です。おとなが先回りして失敗させないことが、結果的に子どもの成長の妨げになってしまうこともあるし、それでは子ども自身も納得できません。また、できない時には、その理由を丁寧に説明し、健全に諦め、次の方法を一緒に探します。日々の小さな“こえ”を丁寧に聴き続けることが、「子どもの権利」を大事にすることだと考えています。

「子どもの権利」は児童福祉に関わる者にとっては常識ですが、社会全体のおとなに広がっておらず、より発信していく必要性を感じています。「どうしたら子どもたちが“こえ”を出せるようになるのか?」という課題に、若い人たちがより関わることで、子どもたちも近い世代の人になら“こえ”を出せるということもあると思います。世代を超えた皆さんで、共に一歩踏み出すことが、社会が変わることにつながるのだと感じています。

保育の立場から
公益社団法人 全国私立保育連盟 常務理事 曽木書代 氏

Ⓒ こども家庭庁
公益社団法人 全国私立保育連盟 常務理事 曽木書代 氏

保育の現場で子どもたちと関わる立場からお話しします。

私たちは子どもの興味関心に寄り添い、子どもも職員も生き生きと過ごせる園を目指して保育をしています。子どもたちが今何を感じ、何を思い、何をしたいのかを一緒に考えていくことが大切です。また、子どもたちと同じように、保育士にも思いや願いがあります。それらに耳を傾けながら、保育環境も整えることで、子どもたちがより豊かな体験をできるよう工夫を続けています。

日々の子どもたちのつぶやきを、職員がいかにアンテナを張り「聴こうとして聴いているか」が、現場では重要です。そのつぶやきを拾って子どもからさらに詳しく聴き取り、さらには「みんなに話してみる?」と問いかける形で広がっていきます。計画通りに物事を進める方が楽ですが、子どもの“こえ”に耳を傾けることで、その日の活動が大きく変わったとしても、柔軟に変化させることこそが保育の専門性の見せどころだと考えています。

また、社会が変化していく中で、「おとなの思いは、大きなお世話ではないか」「これは子どもにとって大事なことなのか」と、常に迷いながら実践を重ねています。でも、この迷うことこそが大切です。自分の言うことを聞いていれば正解という考えは危険で、自分にとっての正解と他者にとっての正解は違うかもしれない、ということをいつも自分自身に問いかけています。例えば、子どもの喧嘩にもその子たちなりの考えがあるので、いかに丁寧に見守って待てるか、おとながジャッジするのではなく、子どもと一緒に考えることを心掛けています。

課題として感じていることは、現場で何か困りごとがあったとき、上に相談する流れになりがちなことです。しかし、子どもに関わることの答えは、子どもの中にしかないことが多いです。日頃から職員には、まずは子どもに聴いてみようと話しています。また、現場には十分な時間の余裕がなく、職員が何を思い、何を感じ、何をしたいと思っているのか、職員同士で話し合う時間が持てないことも課題です。子どもに対する適正な職員の配置も含めて、改善が必要だと感じています。

しかし、そんな山積みの課題の中には、可能性も眠っています。私自身、「何のために保育をしているのか?」という目的や、「子どもと一緒にワクワクする保育をしたい」という原点を忘れずに大切にしながら、これからもぶれずに突き進んでいきたいと感じています。

メディアの立場から
NHKコンテンツ制作局第1制作センター チーフ・プロデューサー 遠衞孝成 氏

Ⓒ こども家庭庁
NHKコンテンツ制作局第1制作センター チーフ・プロデューサー 遠衞孝成 氏

教育番組や子ども向け番組を担当しています。子ども向けSDGs番組の「あおきいろ」では、出演する子どもたちだけでなく、Eテレの他番組のキャストや各界の著名人に「今、子どもたちに必要なこと」を考えてもらい、日本ユニセフ協会様とも協力しながら、世の中に発信しています。また、子ども向けニュース番組の「週刊情報チャージ!チルシル」では、子どもたちにも関わる社会問題やニュースを取り上げ、当事者となる子どもたちの“こえ”を伝えています。他にも、「世界子どもの日」がある11月には、子どもたちが主人公となって、みんなでより良い未来を考える「スゴEフェス」という特番を生放送で届けています。

「週刊情報チャージ!チルシル」では、子どもたちの視点を社会に届けることを大切にしています。台本は渡さず、出演する子どもたちをおとなと対等な参加者として扱い、対話を重ねながら番組を作っています。子どもを一人ひとりの意見を尊重し、おとなも自分の意見を伝えながら、一緒に考える場をつくることが大切だと思っています。

また、子どもたちが小学校高学年ぐらいになり、「もっと社会がこうなればいいのに」「自分の身の回りがこうなればいいのに」という思いをもつようになったときには、社会についての基礎的な情報が必要になってきます。世の中で今起きていることを知り、子どもたちが“こえ”を上げるための情報を、確実に、そして正しく伝えることを心掛けています。

課題に感じていることは、子どもの権利や子どもの“こえ”を聴くことについての認識が、社会全体へ広がっていないことです。これまでのさまざまな取材を通して、子どもに関わるどの問題を扱っても、子どもたちの本音に向き合える本当に信頼できるおとなが近くにいない、“こえ”が出せないときに気づいてくれるおとながいない、という課題に行きつきます。またメディアとして、こうしたテーマを継続して発信していくことの難しさも感じています。

子どもたちが「“こえ”を発信していいんだ!」という雰囲気を醸成すること、そのためにそうした番組を作り続けることが、メディアに課された大きな役割だと感じています。

教育の立場から
兵庫県立大学人間学部 教授 竹内和雄 氏

Ⓒ こども家庭庁
兵庫県立大学人間学部 教授 竹内和雄 氏

私は元中学校教員です。昭和は「指導」によって学校の秩序を保つ時代でしたが、現代は不登校児童の増加や、ソーシャルメディアとの向き合い方等、教育現場での課題も多様化し、指導から「支援」の時代に変わってきています。例えば、児童相談所での虐待相談の推移を見ても、2009年くらいまでは身体的虐待が多かったところ、今は身体的虐待が減少し、心理的虐待が増加しています。

そのような時代の変化の中で、「こどもの“こえ”を聴く」ことの重要性がますます高まっていると感じています。

こども家庭庁が掲げる「こどもまんなか」という考え方は、子どもの意見を聴くことがすべてだと勘違いされやすいですが、それだけではありません。子どもの“こえ”におとなが気づき、そこに向き合い、そして必要な施策を考えていかなければならないのです。

弁護士/元国連子どもの権利委員会委員 大谷美紀子 氏

Ⓒ こども家庭庁
弁護士/元国連子どもの権利委員会委員 大谷美紀子 氏

登壇した皆さんの共通の課題として挙がっていたのが、「子どもの権利についての認知と理解が広がっていない」ということ。日本が子どもの権利条約を批准して32年になりますが、実際は十分に社会に広がっているとは言えないのが現状です。こども基本法ができ、こども家庭庁ができた今が、チャンスだと感じています。本日これだけの方が参加し関心をもってくださる中で、どう熱が下がらないように取り組みを拡大していくのかを考えていかなければなりません。

また、先程「子どもに聴いてみよう」「子どもの中にしか答えがない」という話がありましたが、「子どもは問題解決のパートナー」という考え方に私も共感しています。子どもから見て足りていないと思う事柄を聴き取り、一緒に取り組んでいくことが必要だと思います。また、子どもが利用することのできる支援につながるツールを、子ども自身が知らないという課題についても、子どもたちが普段どこから情報を得ているのか、どこからならアクセスできるのかを、子どもたち自身に聴き、共に改善していくことが大切だと思います。

若者の中には、子どもの権利条約や「こどもの“こえ”を聴く」という考え方に触れてきた人たちもいます。若者は、おとなでありながら子どもに近い存在でもあり、子どもよりも発信できる立場にあります。そうした若者も含め、世代を超えて取り組みが広がっていくことに期待をもっています。また、SDGs(持続可能な開発目標)は社会に広く浸透しましたが、「子どもの権利」はまだ十分に知られているとは言えません。企業や自治体も、SDGsと同等の熱量で「こどもの“こえ”を聴く」ことを当たり前に口にする社会になるよう、メディアが役割を果たしてくれることを期待しています。

 

閉会挨拶「子ども自身が“子どもの権利”を知ることが、自己肯定感を育む」
こども家庭庁 長官官房審議官 水田功 氏

Ⓒこども家庭庁
こども家庭庁 長官官房審議官 水田功 氏

こども家庭庁は発足してまだ3年ですが、子どもたちの“こえ”を聴き、子どもたちにとって何が最も望ましいのかを常に考えながら、行政を進めています。また、日本ユニセフ協会様と協力し、日本における「子どもの権利」の正しい理解と普及を通じた子どもたちのウェルビーイングの向上を目指すキャンペーンである「こどものけんりプロジェクト」を展開しています。

現状の課題は、こうした取り組みをいかに広げていくかという点です。国として対応することはもちろん、NPO、施設、学会、メディアなど、さまざまな立場の方が協働し、それぞれの方法で発信し、それらがさらにつながっていくことで、日本全体へと広がっていくことが期待されます。

今後も心を一つにして、「子どもの権利」や「子どもの“こえ”を聴くこと」の普及に、共に推進していければと考えています。

 

“こえ”のうた
「こどものけんりプロジェクト」テーマソング

© NHK

すべての子どもがもつ大切な権利として「子どもの権利条約」でも定められている子どもの“こえ”を聴くことをテーマにした「“こえ”のうた」。
“こえ”は、一人ひとりの気持ちや意見、ありのままの価値、そして権利のたとえです。すべての人は生まれながらに“こえ”をもっていて、その人だけのかけがえのないものである、というメッセージが込められています。

シンポジウム会場で流し、多くの参加者から反響のあった楽曲「“こえ”のうた」は、こちらの「こどものけんりプロジェクト」特設サイトより、複数のバージョンをお聞きいただけます。

* * *

また、「こどものけんりプロジェクト」の授業や活動で活用できる動画教材や指導案を集めたサイト「先生のためのツールボックス」は、こちらからご覧いただけます。

 

 

困難な状況にある子どもたちが、生まれ持った権利を守られ、平和に健やかに成長できることを目指して活動するユニセフ。

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