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報告会レポート

毎日小学生新聞 x 日本ユニセフ協会 夏休みイベント
水から見える世界の今
ユニセフハウスから世界の水とつながろう!

2026年7月31日東京

2026年7月25日、世界の子どもたちが置かれている状況を体感しながら学べる施設「ユニセフハウス」(東京都港区)にて、毎日小学生新聞との共催による夏休みイベントを開催しました。毎年夏休みに実施している恒例企画で、今年は小学生とその保護者合わせて30組、60人を超える方々が参加。館内の展示を巡る見学ツアーと、ユニセフ・パキスタン事務所で「水と衛生」分野のマネージャーを務める高橋逸郎さんによる講演を通して、子どもたちが身近な「水」をきっかけに世界とつながる一日となりました。

©日本ユニセフ協会

世界の子どもたちと出会う ―― 見学ツアー

©日本ユニセフ協会

前半は、ボランティアガイドの案内による見学ツアーでした。子どもたちは学年ごとに班に分かれ、「世界の子どもと出会う場所」をコンセプトにしたユニセフハウスの常設展示を見て回りました。水くみのために毎日何時間も歩かなければならない子どもの暮らし、十分な食事がとれず栄養不足に苦しむ子どもたち、学校に通いたくても通えない子どもたちの現状などを紹介する展示の一つひとつを前に、子どもたちはガイドの説明に真剣な表情で耳を傾けていました。

エチオピアの女の子が水くみで一日が終わってしまう様子を再現した展示では、水を運ぶ水がめの重さも体験し、「こんなに重いものを毎日運ぶの?」と驚きの声が上がりました。そのほかにも、南スーダンの子ども兵士の話や、シリアの紛争の影響を受けた子どもの声を取り上げた体験型の展示では、遠い国のできごとを「自分に近いこと」として受けとめていく子どもたちの様子が印象的でした。ガイドとのやりとりの中で、素朴な疑問も次々と生まれたようで、それぞれが世界の子どもたちの暮らしに思いをめぐらせていました。ツアー体験のなかで子どもたちは世界の今に触れ、後半の講演テーマである世界の「水と衛生」への関心を自然と高めていきました。

「水の破産」ってなんだろう? ―― ユニセフ職員の講演

©日本ユニセフ協会

後半の講演では、ユニセフ・パキスタン事務所の高橋逸郎「水と衛生」マネージャーが登壇しました。高橋さんはまず、「水はどこから来て、どこへ行くのか」というクイズから話を始めました。水が気体・液体・固体と姿を変えながら地球をぐるぐると循環する資源であること、そして地球にある水のうち海水が約97%を占め、人が生活に使える淡水はごくわずかしかないことを、クイズや身近な例を交えながらわかりやすく解説しました。日本の家庭では4人家族で1日におよそ770リットルもの水を使っていること、そしてその多くが飲み水ではなく、お風呂やトイレなど「何かをきれいにすること」に使われていることなども、数字を示しながら紹介しました。子どもたちは、自分たちの暮らしと水との深いつながりに、あらためて気づいたようでした。

高橋さんは、実際の現場の写真も見せてくれました。今住んでいるパキスタン北部には、何百年、何千年も前からある氷河が広がっており、その氷が世界の淡水の多くを占めていること。けれども、汚れて黒く見えるその氷を、飲み水やプールの水として利用するのは簡単ではないこと。また、日本の熊本市が世界でもめずらしく、地下水だけで水道のすべてをまかなっていることなど、遠い世界と日本の身近な話題を行き来しながら、水の奥深さを伝えてくれました。

世界の水問題と、ユニセフの現場から

©日本ユニセフ協会

その上で高橋さんは、人口増加や気候変動によって、必要な水の量に対して使える水が足りなくなっていく「水の破産」という考え方を紹介。水を取り入れる「入り口」と、使って汚れた水を自然に戻す「出口」、その両方をきちんと管理することが大切だと語りました。また、世界には、そもそも水が乏しい地域や、水はあっても人口が増えすぎて足りなくなっている地域、これまであった氷河が溶けて水源が失われつつある地域があり、特に中東や北アフリカでは水のリスクが高まっていることを、地図を使って示しました。

さらに高橋さんは、2022年に国土の広い範囲が浸水したパキスタンの大洪水を取り上げ、家や畑、家畜を失った人々が長期間の避難生活を強いられたこと、汚れた水による下痢などの病気が子どもたちの命を脅かすことを伝えました。こうした緊急時に、ユニセフがまず安全で清潔な水を届ける支援を行い、その後は政府と協力して水道などのサービスを復旧させていくこと、そして日本のユニセフ協会に寄せられた募金がその活動を支えていることを、現場で活動する立場から具体的に語りました。

高橋さんは、ご自身が水不足の国で家族と暮らした経験にも触れました。かつて暮らしたエチオピアでは、水道の水が週に2回ほどしか出ず、大きなタンクに水を貯めて生活していたこと。ついには「おしっこのときは水を流さない」というルールが家庭にできたこと。そんな体験談に子どもたちは驚きながらも、水があることが当たり前ではないことを実感していました。そして高橋さんは、「水はたくさんあるように見えて、実は限られた貴重な資源。だからこそ、大切に、そして楽しく使ってほしい」と子どもたちに呼びかけました。

活発な質疑応答 ―― 子どもたちの声

©日本ユニセフ協会

質問コーナーでは、「今ユニセフでやっていることは?」「私たちにできることは?」「一番早く水がなくなる国はどこ?」「現地で一番苦労したことは?」「世界で一番水に困らない国はどこ?」など、子どもたちから次々と質問の手が挙がり、予定の時間が足りなくなるほどの盛り上がりを見せました。高橋さんは一つひとつの質問に丁寧に答えながら、水は「ある・ない」だけでなく「どう管理するか」が大切であること、そして「まずは知ること、そして覚えたことを友達に伝えたり、おとなに聞いてみたりすることが、自分たちにできるいちばん大切なこと」だと伝えました。

こうした質疑応答を通して子どもたちは、自分たちにも世界の問題に関われることがあると気づいた様子でした。また保護者からも、水資源の管理や現地の状況について踏み込んだ質問が寄せられ、おとなにとっても学びの多い時間となりました。

世界とつながる、これからの一歩 

©日本ユニセフ協会

「かわいそう」という一面だけでなく、笑顔で暮らし、家族と仲良く過ごす子どもたちがいるという現実も見てほしい――高橋さんが伝えたメッセージは、参加した子どもたちにとって、世界との関わり方を自分なりに見つける大切なきっかけとなりました。

プログラムの最後には、日本ユニセフ協会広報室から参加者へ感謝の言葉が贈られました。高橋さんの話を通じて、水の大切さや、遠い国の子どもたちの暮らしを身近に感じられた一日となったこと、そして今日感じたことをぜひ家族や友達に話してほしいとの思いが共有され、会場は温かな拍手に包まれました。

夏休みのひととき、ユニセフハウスから世界へと視野を広げた子どもたち。ここで感じたことや抱いた「なぜ?」が、これからの学びや暮らしの中で、世界とつながる確かな一歩になることが期待されます。


 

 

 

 

 
夏休みのひととき、ユニセフハウスから世界へと視野を広げた子どもたち。ここで感じたことや抱いた「なぜ?」が、これからの学びや暮らしの中なかで、世界とつながる確かな一歩になることを願っています。

なお、講演で取り上げられた「水の破産」については、ユニセフ・マンスリーサポーター限定の広報誌『ユニセフニュース』夏号でも特集し、より詳しくご紹介しています。ご家庭でも、水をめぐる世界の課題について、親子で語り合うきっかけにしていただければ幸いです。

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