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日本ユニセフ協会
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12月1日は「世界エイズデー」
毎日320人の子どもがエイズで死亡
命を救う治療を受けられるのは半数のみ
検査と治療に深刻な地域格差

【2019年11月26日  ニューヨーク/ヨハネスブルグ(南アフリカ)発】

本日ユニセフ(国連児童基金)が発表した、子どもとHIV/エイズに関する世界の状況報告によると、2018年、エイズ関連疾患で死亡した子どもと若者は1日に約320人、1時間に13人に相当する数に上りました。

毎日、子ども320人がエイズ関連死

生後1カ月半でHIVに感染していると分かった女の子。(2019年8月撮影)

© UNICEF/UNI211836/Schermbrucker

生後1カ月半でHIVに感染していると分かった女の子。(2019年8月撮影)

限られた予防努力に加えて、抗レトロウイルス薬による治療を受ける割合が低いことがこれらの死亡の主な原因であり、2018年、HIVと共に生きる0-14歳の子どもで命を守る抗レトロウイルス薬治療を受けたのはわずか54%に留まります。

「世界でHIV/エイズとの闘いは大きな進展を見せていますが、過去の栄光にすがってはなりません」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。 「子どもや若者の検査と治療の取り組みを怠ることは、彼らにとっては生と死にかかわることで、私たちは彼らのために“生”を選ばなくてはなりません」

データは、HIVと共に生きる子どもの治療へのアクセスには、深刻な地域格差があることを示しています。南アジアは91%と最も高く、続いて中東・北アフリカ(73%)、東部・南部アフリカ(61%)、東アジアおよび太平洋(61%)、ラテンアメリカとカリブ海諸国(46%)、そして西部・中部アフリカ(28%)となっています。

また報告によると、赤ちゃんへのウイルス感染を防ぐために、母親が抗レトロウイルス薬治療を受ける割合は世界で上昇しており、10年に満たないうちに44%から82%に達しました。ただし、地域間の格差はいまだ残っており、東部・南部アフリカが最も高い割合(92%)を示し、続いてラテンアメリカとカリブ海諸国(79%)、西部・中部アフリカ(59%)、南アジア(56%)、東アジアおよび太平洋(55%)、中東・北アフリカ(53%)となっています。

200万人の赤ちゃんの母子感染を予防

HIV/エイズの認知を向上させるためのプログラムで、HIVと避妊について学んだチャドの19歳の女の子。(2019年3月撮影)

© UNICEF/UN0294581/Frank Dejongh

HIV/エイズの認知を向上させるためのプログラムで、HIVと避妊について学んだチャドの19歳の女の子。(2019年3月撮影)

「まだまだ道のりは長いですが、母子感染を防ぐためにより多くの妊婦に抗レトロウイルス薬治療を施すことで、約200万人の子どものHIV感染を防ぎ、100万人以上の5歳未満の子どもの死亡を防ぐことができました」とフォアは述べました。 「小児治療でも同様の進展が求められています。子どもと母親の間の格差を埋めることで、HIVに感染した子どもの寿命を大きくのばし、生活の質を大幅に高めることができます」

他にも、報告には以下のデータが示されています:

  • 2018年、0〜9歳の子ども約16万人が新たにHIVに感染し、この年齢層のHIV感染者総数は110万人に達しました。
  • 2018年に感染した5歳未満の子ども8万9,000人が妊娠または出生時、7万6,000人が授乳中に感染しました。
  • 2018年、若者の世代では男の子5万人、女の子は14万人が新たにHIVに感染しました。

公衆衛生上の脅威であるHIV/エイズを終わらせるために、ユニセフは政府とパートナーに次のことを求めています。

  • 子どもや若者のHIV検査と治療データを改善し、この弱い立場に置かれた世代のニーズによりよく応えられるようにする。
  • 効果的かつ革新的な取り組みに投資し、それを実施することで、HIVと共に生きる子どもや若者の検査と治療に関する根強い格差を早急に解消する。

「HIVの感染リスクにさらされているすべての子どもを検査し、治療することに失敗した場合、子どもの生活と未来が犠牲になります」とフォアは述べました。「子どもたちの人生の最初の20年の生活の質を守り、改善していくためには、HIV/エイズの予防と治療に取り組むための十分な資金と資源が欠かせません」

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