2025年1月17日ポルトープランス/ニューヨーク発
武装集団による暴力が続くハイチでは、国内で避難生活を余儀なくされている子どもの数が、9月以来ほぼ50%増加し、現在では同国の子どもの約8人に1人に達している、とユニセフ(国連児童基金)は警鐘を鳴らしました。
50万人の子どもが避難民に
© UNICEF/UNI662638/Erol
アルティボニット県ポン・ソンデで武装集団の襲撃を受け、今は避難施設で暮らしている9歳のロニーさん。その襲撃により、3人の子どもを含む70人以上が犠牲となった。(ハイチ、2024年10月10日撮影)
最新の推計によると、ハイチ国内には現在、100万人を超える国内避難民がいます。その半数以上は、緊急に人道支援を必要としている子どもです。
「現在のハイチにおいて、子どもであることは過酷なことです。暴力が人々の生活を破壊し、さらに多くの子どもや家族が家を追われています」とユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは述べています。「子どもは、安全、保護、そして生存に不可欠なサービスへのアクセスを切実に必要としています。私たちは目を背けるわけにはいきません」
長年にわたる政治的混乱と壊滅的な貧困、そして不平等が、ハイチで武装集団の勢力拡大を助長してきました。生き延びる手段、保護される手段がほかにない子どもが、武装集団に加わらざるを得ないケースが増えています。この1年で、子どもの徴兵率は実に70%も増えています。武装集団のメンバーの半数が子どもだと推測されています。子どもの徴兵と徴用は、子どもに対する重大な権利侵害であり国際法に違反しています。
緊急に人道支援が必要
© UNICEF/UNI662616/Erol
武装集団の襲撃をうけたポン・ソンデから、子どもとともに避難してきたタマイラさん(ハイチ、2024年10月10日撮影)
避難生活を送る子どもや若者が、性的なものを含む暴力、搾取、虐待に遭う危険性も高まっており、その数もまた、この1年で1000%増加しています。教育、安全な水、衛生設備、保健医療といった基本的なサービスを得る機会が著しく妨げられ、栄養不良が悪化し、疾病や暴力にさらされる危険性が高まっています。 6,000人近くの人々が飢きんに近い状態で暮らしています。不衛生な避難先でコレラなどの病気にかかるリスクが高まり、コレラの疑いのある症例は8万8,000件近くとなり、この島国の子どもたちに影響を与え続けています。
ユニセフの推定によると、同国でおよそ300万人の子どもが人道支援を必要としています。ポルトープランスの大都市圏だけで120万人以上の子どもが危険にさらされており、状況は悪化の一途をたどっています。住宅地への包囲が試みられた際には、12月にいたるまでのわずか2週間で4万人が家を追われるなど、住民の大規模な避難が起こりました。
ユニセフは、すべての当事者に対して、暴力を終わらせ、武装集団による子どもの徴兵や徴用、性暴力などの子どもに対する重大な権利侵害を直ちに止めるよう、緊急要請を繰り返しています。また、人道支援従事者が、支援を必要とする避難民などの脆弱な立場にあるコミュニティの人々に妨げなく接触できるよう、呼び掛けています。
「ハイチの子どもは、自分たちが引き起こしていない危機の矢面に立たされています。彼らの命を守り、未来を守るために、ハイチ政府と国際社会が緊急に行動を起こすことが必要なのです」とラッセル事務局長は述べました。