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日本ユニセフ協会

プレスリリース

コンゴ民主共和国イツリ州での暴力激化
130 万人以上の子どもが学校に通えず
ユニセフ、「教育の緊急事態」と警鐘を鳴らす

2025年5月29日ブニア(コンゴ民主共和国)

紛争の激化やコミュニティ間の闘争、そしてそのために余儀なくされる避難により、コンゴ民主共和国東部のイツリ州では、多くの子どもが教育を受ける機会を奪われている、とユニセフは本日警鐘を鳴らしました。

イツリ州の村に住んでいた13歳のブルースさん(左)は、紛争下で家族と離ればなれになり、1年以上もブニアの街を一人でさまよっていた。現在は里親のもとで暮らしている(コンゴ民主共和国、2024年12月17日撮影)

© UNICEF/UNI711760/Benekire
イツリ州の村に住んでいた13歳のブルースさん(左)は、紛争下で家族と離ればなれになり、1年以上もブニアの街を一人でさまよっていた。現在は里親のもとで暮らしている(コンゴ民主共和国、2024年12月17日撮影)

 130 万人以上の子どもが学校に通えず

イツリ州ブニアにある避難民キャンプの様子(コンゴ民主共和国、2025年2月18日撮影)

© UNICEF/UNI762332/Wamwami
イツリ州ブニアにある避難民キャンプの様子(コンゴ民主共和国、2025年2月18日撮影)

今年に入ってから290校以上の学校が損傷または全壊し、新たに13万人の子どもが授業を受けられなくなっています。これにより、同州で学校に通えない子どもの総数は130万人を超えています。

2025年1月から4月にかけてイツリで激化した暴力により、10万人以上が避難を余儀なくされ、その半数が子どもでした。4カ月間で、少なくとも205人が命を落とし、誘拐、暴行、性暴力、武装集団による徴兵・徴用など、子どもに対する重大な権利侵害が、前年同期に比べて32%増加しました。

ユニセフ・コンゴ民主共和国事務所代表のジョン・アグボルは次のように述べています。「当初から、私たちはこの国の東部の危機を『保護の危機』と呼んできました。しかし、これは『教育の緊急事態』でもあることは明らかです。イツリでは、暴力と紛争が子どもたちの学ぶ権利を打ち砕き、武装集団に徴兵されたり、搾取や虐待を受けたりする危険性が非常に高まっています」

イツリ州ブニアにあるユニセフ支援センターで、チェスで遊ぶ子どもたち。この支援センターでは、武装グループから解放された子どもたちに対して、家族との再会や心のケア、職業訓練などを支援している(コンゴ民主共和国、2024年12月16日撮影)

© UNICEF/UNI711781/Benekire
イツリ州ブニアにあるユニセフ支援センターで、チェスで遊ぶ子どもたち。この支援センターでは、武装グループから解放された子どもたちに対して、家族との再会や心のケア、職業訓練などを支援している(コンゴ民主共和国、2024年12月16日撮影)

イツリ州、北キブ州、南キブ州、タンガニーカ州を含むコンゴ民主共和国東部全域では、紛争の影響を受けて学校に通えない子どもの数は 180 万人を超えています。

ユニセフは、イツリにとどまり、緊急支援を提供し、コミュニティのレジリエンスを支えています。ユニセフとそのパートナーは、2025年1月以来、女の子130人を含む武装集団と関わっていた267人の子どものコミュニティへの再統合を支援してきました。2万3,800 人以上の子どもが、「子どもにやさしい空間」を通じてメンタルヘルスと心理社会面の支援を受け、900人近くの性暴力のサバイバーが、医療や心理的支援、教育へのアクセス、社会経済的再統合などの包括的なケアを受けました。

しかし、緊急に資金が追加されなければ、これらの取り組みは頓挫する恐れがあります。

 

資金不足で支援活動が制限

「ユニセフは危機に対応するために全力を尽くしていますが、ニーズは膨大であり、私たちのリソースは十分ではありません。早期学習や、避難民や不就学の子どものための代替教育システム、メンタルヘルスと心理面の支援、そして基本的な保健医療サービスを優先する長期的な解決策への投資が、極めて重要です。これらは決してぜいたくなことではなく、必要なものなのです。これらは、子どもたちが尊厳持ち安心できる環境の中で成長し、その可能性を最大限に発揮するためのチャンスに繋がるのです」(アグボル代表)。

イツリ州では、就学前教育が特に遅れており、3歳から5歳までの子どものうち、早期学習プログラムに登録しているのはわずか4%であり、多くの子どもが生涯にわたる発達の基礎を欠いています。5歳未満の子どもの半数以上が慢性的な栄養不良に陥り、危機をさらに深刻化させています。2024年、ユニセフはイツリで1万8,600人以上の重度の急性栄養不良の子どもの治療に従事しました。2025年の目標は3万8,700人以上ですが、主に資金不足のため、現在、栄養サービスが行えている保健区域は3分の1にすぎません。

ユニセフは、コンゴ民主共和国東部における危機に対応するため、5,700万米ドルの支援資金を国際社会に対し要請しています。これまでに3,560万米ドルが集まりましたが、あと2,200万米ドル不足しています。

困難な状況にある子どもたちが、生まれ持った権利を守られ、平和に健やかに成長できることを目指して活動するユニセフ。

その活動は皆さまのご支援によって支えられています。

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※最も支援が必要な子どもたちを支え、ユニセフの様々な活動に役立てられています。

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