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日本ユニセフ協会

プレスリリース

ユニセフ事務局長、ブルキナファソ訪問
「最も大きな損失を被るのは子ども」
西アフリカ・サヘル地域への支援訴え

2025年6月21日ワガドゥグ(ブルキナファソ)

3日間の日程でブルキナファソを訪れたユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルは、国際社会に対して、情勢不安や避難、気候変動によって生活が一変した西アフリカ・サヘル地域の子どもを保護するための緊急の行動を取るよう求めました。

ブルキナファソ東部ファダングルマに設置された「子どもにやさしい空間」を訪問するユニセフのラッセル事務局長(ブルキナファソ、2025年6月20日撮影)

© UNICEF/UNI820248/Adamou
ブルキナファソ東部ファダングルマに設置された「子どもにやさしい空間」を訪問するユニセフのラッセル事務局長(ブルキナファソ、2025年6月20日撮影)

最も大きな損失を被るのは子ども

今回の訪問でラッセル事務局長は、保健や教育、子どもの保護に関する主要な課題に取り組む政府、パートナー、若者の取り組みを視察するとともに、国際社会に対し、子どもの命を守り生活を改善するための、実績ある施策を支援するよう呼び掛けました。

訪問を終えたラッセル事務局長は、「サヘル地域は今日、子どもにとって最も過酷な場所の一つでありながら、そこに世界の関心が向くことはほとんどありません」と述べました。

ブルキナファソ東部ファダングルマにある国内避難民の住居群(ブルキナファソ、2025年6月20日撮影)

© UNICEF/UNI820237/Adamou
ブルキナファソ東部ファダングルマにある国内避難民の住居群(ブルキナファソ、2025年6月20日撮影)

治安が悪化している中央サヘル地域(ブルキナファソ、マリ、ニジェール)では、290万人以上が避難を余儀なくされており、その約半数は子どもです。コミュニティや学校、保健センター、給水所が攻撃を受けていることから、子どもたちは、栄養不良や疾病、児童婚、武装集団への徴兵・徴用などの危険にさらされています。

暴力は中央サヘル地域から近隣諸国に広がり、避難民の増加、経済的困窮、限られたリソースへの負担の増大を招いています。気候変動に伴う干ばつと洪水の繰り返しは、食料不安や苦難を助長しています。

中央サヘル地域全体で急性栄養不良に苦しむ 5 歳未満の子どもの数は、 2015 年の220 万人から2023 年には 600 万人へと、2 倍以上に増えています。現在、250 万人以上の子どもが、命を落とす危険性の高い栄養不良の形態である「消耗症」に陥るリスクにさらされています。

何百万人もの子どもが学校に通えておらず、学ぶ機会を失っています。8,000 校以上の学校が、攻撃や治安悪化により閉鎖されています。

ラッセル事務局長は次のようにも述べました。「サヘル地域は、紛争、気候災害、慢性的な資金不足が相互に影響しあってもたらされる最悪の事態を象徴しています。危機は放置されれば、悪化するということを、私たちは肝に銘じるべきです。そしていつだって、最も大きな損失を被るのは子どもたちです」

中央サヘル地域の子どものために、より多くの支援を

大きな課題が残るものの、一定の成果も見られます。ほとんどの子どもが予防接種を受けており、地域保健員は、遠隔地に暮らす子どもにも支援を届け続けています。

ユニセフとパートナーは、コミュニティと協力するとともに中央サヘル地域の各国政府を支援し、学校を開き、何百万人もの子どもにワクチンや栄養、安全な水、社会的保護など必要不可欠なサービスを提供しています。

ラッセル事務局長はブルキナファソの首相、外務大臣、保健大臣および教育大臣と会談し、政府が保健・教育・子どもの保護分野への投資を拡大したことに、感謝の意を表しました。

ユニセフが支援する「子どもにやさしい空間」で、心理社会的なケアを受ける14歳のイブラヒムさん。父親が殺害され、自身も暴力を受けたことでトラウマを抱えている(ブルキナファソ、2025年6月20日撮影)

© UNICEF/UNI820231/Adamou
ユニセフが支援する「子どもにやさしい空間」で、心理社会的なケアを受ける14歳のイブラヒムさん。父親が殺害され、自身も暴力を受けたことでトラウマを抱えている(ブルキナファソ、2025年6月20日撮影)

また、ラッセル事務局長は、ココロゴの農村地域でユニセフが支援するプログラムを視察しました。このプログラムでは、栄養や水と衛生に関する取り組みが効果的に組み合わさって地域の回復力を支え、子どもの命を守っています。事務局長はまた、東部の町ファダを訪れ、ユニセフが支援する、暴力から逃れてきた数千の国内避難民の家族のための施設を訪問しました。

そこでは、マリアムさんという女性から、かつて家族で暮らしていた村に武装した男たちがやってきて、目の前で夫が殺害され、7人の子どもを抱きかかえて逃げた、という話を聞きました。

「マリアムさんのように、家族や子どもたちは苦しみや困難に直面しています。にもかかわらず、人々が、わずかしかないものを互いに分け与え助け合い、最善を尽くしている姿に、胸を打たれました。しかし、彼ら自身だけの力では限界がある上、現地の支援ニーズが急速に高まり資金が追い付いていません」(ラッセル事務局長)

西部・中部アフリカでのユニセフの活動資金は、世界的な資金援助の急激で大幅な削減により、35%減少すると見込まれています。ユニセフは今年、中央サヘル地域の最も脆弱な子どものため、4億8,970万米ドルの人道支援資金を国際社会に求めています。しかし、2025年6月時点で、その7%未満しか集まっていません。

困難な状況にある子どもたちが、生まれ持った権利を守られ、平和に健やかに成長できることを目指して活動するユニセフ。

その活動は皆さまのご支援によって支えられています。

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※最も支援が必要な子どもたちを支え、ユニセフの様々な活動に役立てられています。

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