2025年9月24日キンシャサ(コンゴ民主共和国)発
コンゴ民主共和国で新たに、エボラ出血熱への集団感染が発生したことを受け、国連児童基金(ユニセフ)は同地域の子どもと家族を守るため、政府およびパートナーと連携して支援を強化しています。現在、約4万5,000回分のエボラワクチンがカサイ州へ向けて輸送されている最中です。

© UNICEF/UNI860575/Mulala
エボラ出血熱の感染拡大に対応するため、首都キンシャサからカサイ州へ向けて、緊急支援物資を発送する様子(コンゴ民主共和国、2025年9月8日撮影)
カサイ州へ、ワクチンなど支援
コンゴ民主共和国では9月4日にエボラ出血熱の集団感染が宣言されて以来、47件の感染例と疑い例が報告されており、うち14件は子どもです。すでに25人が命を落とし、うち12人は子どもです。

© UNICEF/UNI860582/Mulala
キンシャサで、エボラ出血熱が流行しているカサイ州へ向けて、栄養物資や生活必需品の発送準備をするユニセフのスタッフ(コンゴ民主共和国、2025年9月8日撮影)
ユニセフ・コンゴ民主共和国事務所代表のジョン・アグボーは次のように述べました。「1回のワクチン接種が、子どもと家族を守るための一歩となります。ワクチンは、政府が主導するエボラ出血熱の感染拡大防止策のなかでも、最も強力な手段の一つです。しかし加えて子どもたちには、感染した場合の医療ケア、トラウマに対処するための支援、学んだり遊んだりできる安全な場所、そして自分や家族を感染症から守るための正しい知識も必要です」
現在、感染のホットスポット(流行地域)はカサイ州ブラペであり、隣接するムウェカ、ムシェンゲ両地域も危険に晒されています。既に、感染者や感染源に接触した1,048人以上が特定されており、経過観察下に置かれています。
ユニセフのチームはカサイ地域で、保健省や他の国連機関、現地のパートナーと協力し、昼夜を問わず支援を続けています。最前線の医療従事者と最もリスクの高い人々へのワクチン接種事業が強化される中、2万回分以上のエルベボワクチンが既にカサイ地域に到着しています。ユニセフは、すべての接種分が効果を保つよう、輸送中のコールドチェーン(低温物流システム)の適切な維持を確保しています。
ユニセフはワクチン以外にも、患者のケアをサポートし、学校や病院、および「子どもにやさしい空間」における衛生対策の強化、そして家族が、命を守るための情報を確実に受け取り、適切な予防措置を取れるよう支援しています。専門チームはまた、この病気の影響を受けた子どもに対し、心理社会的支援と子どもの保護サービスを提供しています。
今回の流行は、1976年にエボラ出血熱のウイルスが初めて発見されて以来、コンゴ民主共和国で発生した16回目の集団感染です。カサイ地域における前回の集団感染は、2008年から2009年にかけて発生しました。この地域は国内でも最も脆弱な地域の一つであり、課題の多い医療体制、安全な飲料水への限られたアクセス、医薬品の不足、劣悪な衛生環境により、同地域に暮らす家族はすでに、極めて厳しい状況に置かれています。
アグボー代表は次のように付け加えました。「このような疾病の集団感染は、即時の対応とともに、世界的な備えがいかに重要であるかをあらためて認識させてくれます。世界的な連帯、そして強固な公共サービスと緊急システムに投資することは、今の子どもたちを守るだけでなく、次に訪れる危機から子どもたちを守るのにも、役立つでしょう」


























