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プレスリリース

『Gaza's Silent Threat(ガザの静かな脅威)』
ユニセフ・ドキュメンタリー映画 10月24日世界ポリオデーに 日本語字幕版 公開

2025年10月24日東京

戦火に包まれたパレスチナ・ガザ地区で、2024年夏に行われたポリオ予防接種活動を追った、ユニセフ(国連児童基金)のドキュメンタリー映画『Gaza's Silent Threat(ガザの静かな脅威)』。今年8月に公開された本作の日本語字幕版を、10月24日の世界ポリオデーにあわせて、YouTubeにて公開しました。

2024年夏、ガザでは25年ぶりにポリオ感染が確認されました。ユニセフはパートナーと共に、ポリオの脅威から子どもたちを守るため、ガザ全域で2回にわたる集団予防接種を実施。戦禍の中でのこの予防接種活動は、世界で最も危険かつ困難と言われました。

本作は、予防接種活動を率いる医師ユニス・アワダラと同僚たちが、すべての子どもにワクチンを届けるべく、危険と隣り合わせの現場で奔走する様子を通じて、戦争が子どもの健康に及ぼす影響、戦闘地域で支援を届ける難しさ、そして過酷な状況下で奮闘する支援従事者たちの姿と連帯の力を伝えています。

『Gaza's Silent Threat(ガザの静かな脅威)』(約32分)

本作は、多言語の字幕または音声(英語、アラビア語、中国語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語、ポーランド語、ポルトガル語)で公開されています。詳しくはユニセフ本部の特設ページ をご覧ください。

作品紹介

© UNICEF/UNI847590/Hardly Skills

家族を深く愛する父であり祖父でもある、医師ユニス・アワダラ。彼は今、人生最大の使命に挑んでいます――戦火が続くパレスチナ・ガザ地区で、60万人の子どもたちにポリオワクチンを届けるという、想像を絶する挑戦です。

戦闘が続く地域でワクチンを届け、すべての子どもに接種することは、人道支援の中でも最も困難かつ緊急性の高い任務のひとつ。卓越した技術、揺るぎない勇気、そして不屈の精神が求められます。

© UNICEF/UNI847594/Hardly Skills

2023年10月以降、軍事作戦によって、ガザでは医療・水・衛生インフラの8割以上が破壊され、ポリオのような感染症がまん延しやすい危機的状況が広がっています。度重なる治安の悪化、物資の不足、保健医療へのアクセスの困難――そんな過酷な状況の中でも、ユニス医師とその仲間たちは、ポリオの脅威から子どもたちを守るため、ガザ全域で緊急の集団予防接種を展開しています。

本作は2024年夏、世界で最も危険かつ困難とされた予防接種活動の現場にカメラが入り、撮影されました。しかし、単なるワクチン接種の記録ではありません。戦争が子どもたちの健康に及ぼす深刻な影響を描きながら、極限の状況下でも互いを支え合い、命を守ろうとする家族や医療従事者たちの勇気と絆に、深い敬意を捧げる作品です。

登場人物紹介

Dr. Younis R. Awadallah (ユニス・R・アワダラ)

ユニス・R・アワダラ

© UNICEF/UNI847588/Hardly Skills
ユニセフ・パレスチナ事務所の保健専門官で医師のユニス・アワダラ

ガザで生まれ育ったユニス・アワダラは、母子保健、予防接種、乳幼児期の発達の分野で40年以上の経験を持つ医師で、公衆衛生の専門家です。保健政策の立案、予防接種体制の強化、そして危機下にある地域での緊急対応の指揮をとるなど、重要な役割を果たしてきました。

2010年から2021年まで、アワダラはユニセフ・パレスチナ事務所の保健専門官としてガザで勤務し、母子保健プログラム等の支援、予防接種サービスの向上において中心的な役割を果たしました。2024年には、予防接種およびコールドチェーン管理担当の保健専門官としてユニセフに復帰し、緊急の保健医療支援に取り組んでいます。

ユニス・アワダラは、本予防接種事業でのリーダーシップが評価され、TIME誌の「2025年版 保健・健康分野で最も影響力のある100人」に選出されました。

 

Fairuz Abuwarda (フェイル―ズ・アブワルダ)

フェイルーズ・アブワルダ

© UNICEF/UNI847175/Hardly Skills
ユニセフ・パレスチナ事務所職員 フェイルーズ・アブワルダ

フェイルーズ・アブワルダは、人道支援と開発の分野で15年以上の経験を持ち、世界でも特に困難な状況下で活動してきた専門家です。10年前にユニセフ職員となり、緊急支援、乳幼児期の発達支援、支援プログラム管理など、さまざまな役割を担ってきました。

現在、ガザ北部でユニセフの現地コーディネーターとして活動しているフェイルーズは、複数の分野にわたる緊急および開発支援の実施を統括し、弱い立場にある子どもたちと家族を支えています。ポリオワクチンの集団予防接種では現地での活動を率いて、極めて困難なアクセス状況や情勢不安の中でも、命を守るワクチンを子どもたちに届けることに尽力しました。

 

制作

 10月24日は「世界ポリオデー」

ガザ地区で昨年実施された、ポリオ集団予防接種(2回目)の様子。(パレスチナ、2024年10月19日撮影)

© UNICEF/UNI668488/El Baba
ガザ地区で昨年実施された、ポリオ集団予防接種(2回目)の様子。(パレスチナ、2024年10月19日撮影)

「世界ポリオデー」は、ポリオの根絶に向けた取り組みや、その重要性を広く伝える日です。

生涯にわたり、まひを引き起こす可能性のある感染症――ポリオ。主に5歳未満の子どもに影響を及ぼすこの感染症の治療法はなく、予防することが唯一の手段です。ポリオワクチンを複数回接種することで、子どもを一生涯にわたって守ることができます。

ユニセフもその一員である「世界ポリオ根絶推進活動」(GPEI:Global Polio Eradication Initiative)が発足した1988年当時、世界では125か国以上で推定35万件のポリオ症例が報告されていました。世界中での予防接種の取り組みにより、現在、症例数は99%以上減少し、野生型ポリオが報告されている国はわずか2カ国にまで減りました。しかし、ポリオ根絶の達成まで決して油断はできません。一人でも感染した子どもがいる限り、世界中のすべての子どもたちがポリオ感染の危険にさらされているのです。

2024年のガザ地区におけるポリオ予防接種キャンペーンは、「世界ポリオ根絶推進活動」(GPEI:Global Polio Eradication Initiative)の支援のもと、パレスチナ保健省、ユニセフ、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)、世界保健機関(WHO)、そして数えきれないほどの人道支援関係者、医療従事者、地域の啓発活動者たちの協力によって実施されました。

 

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