メニューをスキップ

西部・中部アフリカ地域

西部・中部アフリカ地域
子どもの現状と保健分野における課題
~ 命を守る現場から、保健専門官の報告 ~

2025年11月28日セネガル

生まれた瞬間から、命の危険と隣り合わせの子どもたちがいます。西部・中部アフリカ地域では、紛争や貧困、医療体制の不足が重なり、5歳未満児の死亡率が世界で最も高い水準にあります。予防可能な病気や栄養不良が主な原因で、毎年約178万人の子どもが5歳の誕生日を迎えられません。これは、子どもの命に関わる課題の中でも最も深刻な状況の一つです。

西部・中部アフリカ地域事務所による報告書「母子保健分野 スナップショット」は、この地域の子どもたちが直面している命の危機を、データで詳しくお伝えしています。

ユニセフは、こうした幼い命を守るために母子保健の支援を届けており、活動に携わる保健専門官・木多村知美は「適切な医療や栄養、衛生環境があれば、多くの命を救うことができます」と語ります。

ユニセフ西武・中部アフリカ地域 母子保健スナップショット

©UNICEF
ユニセフ西武・中部アフリカ地域 母子保健スナップショット

ダウンロードはこちら

 

 

西部・中部アフリカ地域の子どもの現状と課題

ユニセフ 西部・中部アフリカ地域事務所
保健専門官 木多村知美

ユニセフ 西部・中部アフリカ地域事務所 木多村知美

©UNICEF/Cameroon/Watanda
カメルーンにあるユニセフが支援する病院で、新生児の子どもと母親に語りかける 木多村知美( 西部・中部アフリカ地域事務所 保健専門官)

西部・中部アフリカ地域の概要

西部・中部アフリカ地域は、域内に、ナイジェリア、ガーナ、マリ、セネガル、カメルーン、コンゴ民主共和国等24の国を抱え、世界でも最も厳しい状況に直面している子どもたちが多く暮らしている地域の一つです。

 

小児死亡の現状 

西部・中部アフリカ地域の5歳未満死亡数は、最新の統計では約178万人と推定されています。2000年以降、過去20年以上の間に、死亡数は21%程度減少しました。それでも、世界全体の小児死亡数の40%近くを、西部・中部アフリカ地域の子どもたちが占めます。5歳未満児の死亡率は1000出生あたり約86人とされ、世界で最も高い水準です。5歳未満小児の死亡率だけではなく、妊産婦、死産、新生児、1-59か月児の死亡率でも、世界で最も高い水準です。

子どもたちが亡くなる主な死亡原因は、マラリア、肺炎、下痢に加え、早産児や未熟児の赤ちゃん、そして、出生時に仮死状態で生まれた赤ちゃんが命を落としています。

紛争が起きている国で生まれた子どもたちは、平和な国で生まれた子どもたちに比べ、5歳前に命を落とす可能性が3倍近く高いと言われています。西部・中部アフリカ地域には、世界銀行による分類で、紛争が発生、或いは、制度・社会的脆弱性があると認定されている国が全部で11か国あります。

気候変動の影響も無視できず、域内の子どもたちは、洪水、干ばつ、気候変動による感染症の増加など、気候変動の影響に晒されています。

 

必要な保健医療サービス

© UNICEF/Tchad/ Dejongh
州立病院で生まれた体重3.1kgの元気な女の子と、母親のハニッドさん。赤ちゃんには出生証明書が交付される(チャド)

死亡原因の多くは予防可能であり、適切な医療や栄養、衛生環境があれば多くの命を救う事ができます。

妊娠中の女性が適切な時期に産前健診を受診、助産師さん等の医療従事者が出産の際に介助、産後もお母さんと赤ちゃんの状態を医療従事者が定期的に確認、お母さんとお子さんのニーズにあった母乳育児、予防接種、マラリア、肺炎、下痢にかかった際には、必要な保健医療サービスを受診、日本では当たり前に受けられる保健医療サービスが、全ての女性と子どもたちにとって可能になれば、多くの命が救われます。

域内の国でも、こういった保健医療サービス提供を可能にし、受診率を上げる努力が日々行われています。ただ、脆弱な保健医療システム、紛争地域での保健医療サービス提供、財政不足等の理由から、基本的な保健医療サービスの提供や受診不足が深刻です。加えて、最近の海外からの援助削減が、状況を更に悪化させています。

 

一人でも多くの命を救う為に 

村々を巡回して、子どもの診察と定期予防接種を実施している看護師のクリバリさん。(コートジボワール、2025年2月18日撮影)

© UNICEF/UNI755345/Dejongh
アクセスが難しい地域でも保健医療サービスを届けられるよう、ユニセフは、村々を巡回して、子どもの診察と定期予防接種を実施している(コートジボワール)

アフリカには、共に行動することで大きな変化をもたらすという諺があります。

ユニセフ西部・中部アフリカ地域事務所では、各国の国事務所と協力し、女性と子どもの為の保健医療サービスがアクセスが難しい地域でも可能になるよう、各国政府を支援しています。各国のニーズに応じて、母子保健に関する政策や施策を共に考え、予算を計上、医療従事者の為の研修を共同で開催したり、そして、何より各国の現状、各国が女性と子どもたちの為に行っていきたい施策を多くの方に知って頂けるよう、活動を続けています。

西部・中部アフリカ地域の子どもたちは、日々多くの困難に直面しています。しかし、共に歩む事によって、子どもたちの命を守り、未来を切り拓くことが可能です。

困難な状況にある子どもたちが、生まれ持った権利を守られ、平和に健やかに成長できることを目指して活動するユニセフ。

その活動は皆さまのご支援によって支えられています。

毎月(定額)のご寄付 今回(一回)のご寄付

※最も支援が必要な子どもたちを支え、ユニセフの様々な活動に役立てられています。