2026年4月22日ニューヨーク発
本日、国連本部で行われた会合「Humanitarian Dialogue – Humanitarian Priorities for Children in 2026(仮訳:人道対話-子どものための人道的優先課題2026)」において、ユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルは以下のとおり発言しました。

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国連本部で開催された会合「Humanitarian Dialogue – Humanitarian Priorities for Children in 2026(仮訳:人道対話-子どものための人道的優先課題2026)」の様子(ニューヨーク、2026年4月22日撮影)
重大な権利侵害を受ける子どもたち

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白ナイル州にある国内避難民キャンプで、コルドファン州から避難してきた家族が寝起きする仮設の住まいの様子(スーダン、2026年2月15日撮影)
世界中で、子どもたちは前例のない深刻な暴力や剥奪、そして住む場所を追われる状況に直面しています。
2024年だけでも、国連は4万1,000件以上の子どもに対する重大な権利侵害を確認しました。これまでで最も多い件数です。悲しいことに、2025年も同様の傾向が見られ、子どもたちが、自ら始めたわけではない戦争の代償を払い続けていることが浮き彫りになっています。
紛争当事者が国際的な規範や戦争のルールを顧みないケースは、ますます増えています。新たな技術の登場により、戦い方も変化し、攻撃はより速く、より頻繁で、より致命的なものとなっています。特に、子どもたちが暮らし、学び、遊ぶ人口密集地域で、その影響が顕著になっています。
現在、紛争地域における子どもの死傷者の約70%は爆発性兵器によるものです。スーダンでは、今年これまでに報告された子どもの死傷者のうち、爆発物を搭載した武装無人機(ドローン)によるものだけで約80%を占めています。
同時に、不可欠な公共サービスも攻撃の対象となっています。学校、病院、電力網、水や食料の供給システムは、単なる巻き添え被害ではなく、攻撃や戦闘の中で標的そのものになりつつあります。
保健や栄養といったサービスが途切れれば、子どもたちが特に深刻な影響を受けることを、私たちは知っています。その最も明白な例の一つが、悪化の一途をたどる飢餓の危機です。
現在、26カ国の約3,800万人の子どもが、緊急に栄養支援を必要としています。その中には、約1,000万人の重度の栄養不良の子どもが含まれています。彼らは命の危機に瀕しているのです。

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首都モガディシュにある病院で、治療を受けている子どもの母親から話を聞くユニセフのラッセル事務局長(ソマリア、2026年3月26日撮影)
先月、ソマリアを訪れた際、極度の暑さの中を何日も歩き、食料と水が不足して体が衰弱し始めていた子どもを抱えて、治療センターにたどり着いた何人もの母親に会いました。
多くの家族は、紛争や干ばつによって作物や家畜を失い、栄養の糧を奪われていました。さらに、中東での紛争による食料価格や燃料価格の高騰が、こうした人々の苦境に追い打ちをかけています。
最も胸を締め付けられる光景の一つは、栄養不良の子どもが横たわるベッドがずらりと並び、我が子に生き延びてほしいとただただ願う母親たちが、不安そうに見守っている姿です。
これは本質的には、食料が不足しているという問題ではありません。紛争を解決し、人道アクセスを確保するための政治的な行動がとられているかどうかです。飢きんや飢餓は防ぐことができます。ただしそれは、早い段階で行動し、目の前の現状だけでなく、飢饉を引き起こす要因に向き合った場合に限られます。
子どもたちは、空腹に苦しんでいるだけではありません。性暴力を含む危害から守るための仕組みも、失われつつあります。

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南キブ州のユニセフが支援する病院で、出産の時を待つ17歳のレーヌさん(仮名)。性暴力被害により妊娠し、家族から非難されたトラウマを抱えている。出産後は、再び学業に戻ることを望んでいる(コンゴ民主共和国、2025年11月20日撮影)
コンゴ民主共和国では、昨年、暴力が最も激しかった時期に、30分に1人の子どもが性的暴行の被害に遭っていました。
こうした数字の背後には、性的暴行を受けた一人ひとりの子どもがいます。その一人がレーヌ(仮名)です。彼女はレイプを受け、妊娠した後、家族から名誉を汚したと非難されるというトラウマを経験しました。彼女は私たちにこう語りました。「今望んでいるのは、無事に出産することだけです。そして、その後は勉強を続けたい」と。彼女は襲われた当時、中学2年生でした。
彼女の言葉は、想像を絶する苦しみと同時に、逆境に立ち向かう強さ、そして彼女のような子どもたちを今すぐ支えなければならないという必要性を、私たちに突き付けています。
教育を受けることができなければ、子どもたちは学びの機会だけでなく、安全や支援につながる機会を失い、そして日常という感覚を取り戻すこともできなくなります。
学校の90%が損壊したガザでは、65万人以上の子どもが、2年半以上学校に通えていません。ガザの子どもたちは、レーヌと同じように次のように話してくれました。
「テントでも、仮設でもない、本物の学校がほしい。もう一度、安全だと感じられる場所がほしい」
子どもを守るための人道支援体制には、ますます大きな負荷がかかっています。資金は減少し、支援を届けるアクセスは制限され、人道支援に携わる人々自身も攻撃の対象となっています。
ニーズが資金を上回り続ける中、人道支援組織は、本来あってはならない選択を迫られています。具体的には、栄養治療の頻度を減らし、保護サービスを縮小し、安全な学習スペースの利用を制限せざるを得ないのです。
子どもたちにとって、これは「些細な修正」ではありません。生きるか死ぬか、回復か悪化か、その分かれ道なのです。
子どもの命を守る政治的決断と資金投入を

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ガザに設置された、ユニセフ支援の仮設学習センターの様子(パレスチナ、2026年3月11日撮影)
2026年、ユニセフは世界の7,300万人の子どもに支援を届けるために77億米ドルの資金を要請しています。国連人道問題調整事務所(OCHA)の報告書「世界人道概況(Global Humanitarian Overview)」と歩調を合わせ、ユニセフの「子どもたちのための人道支援計画(HAC)」の規模は、昨年より25%縮小しています。これは、ニーズが減ったからではなく、残念ながらリソースが減少しているためです。しかし、人道支援活動の優先順位を付ける上で、保護と教育を二の次と見なしてはなりません。ユニセフは、これらは命を守るものと捉えており、実際にそうであると信じています。
ここで、皆さんから拠出いただいている柔軟な資金(使途を限定しない資金)の重要性は、いくら強調してもしすぎることはありません。この資金のおかげで、国際社会の関心があまり向けられていないアフガニスタン、ブルキナファソ、ハイチなど、活動資金不足にあえいでいる危機を含め、最も緊急性の高いニーズを優先することが可能になります。
これにより、災害が発生した際に即座に行動することも可能になります。例えば、昨年ミャンマーで壊滅的な地震が発生した際、世界各地で起きているさまざまな人道危機に対応する柔軟な資金である「Global Humanitarian Thematic Funding(世界の人道危機に対応するためのテーマ別資金)」を活用し、数時間以内に緊急支援を開始することができました。
ガザでは、この資金を用いて、停戦後に活動を急速に拡大することができ、飢きんを回避するのに役立ちました。
しかし、ユニセフのGlobal Humanitarian Thematic Fundingに寄せられた資金は、2025年は7,520万米ドルにとどまり、ユニセフに寄せられた全資金の4%にも至りませんでした。これは、通常予算、柔軟な資金、共同基金を組み合わせた、バランスの取れた資金構成が重要であることをあらためて示しています。
昨年には、私が今お話しした多くの課題に対応できるよう、人道支援システムを改革するためのいくつかの取り組みが始まりました。
ユニセフは、人道支援システムをより効率的で、より説明責任のあるものとし、より確実に成果を届けられるよう、これらの取り組みに全面的に関わっています。
私たちは、各国政府や現地の担い手とのパートナーシップを強化し、彼らが支援の最前線の対応を担えるよう支えるとともに、現地の人道支援能力強化への投資を拡大しています。
例えば、現在レバノンで起きている危機においては、水・保健・教育を管轄する各省庁と連携し、避難してきた人々やその受け入れ地域社会に必要な社会サービスを提供しています。また、国の社会保護制度を通じて、障がい者がいる世帯への現金給付も行っています。
私たちは、事前の備えと予測に基づいた行動への投資を増やし、1ドルが生み出す効果を最大限に高めることで、子どもたちへの支援の成果を拡大させています。
それでもなお、減少するリソースを効率化によって補うことには限界があります。
何よりも、改革は子どもを保護し、命を守り、人道支援の根幹をなす原則を堅持するものでなければなりません。
私たちは、この局面が求める緊急性、リソース、そして政治的意志をもって対応しなければなりません。
それは、紛争を解決し、人道アクセスを確保するための政治的行動であり、早期警戒体制への投資を意味します。また、人道支援活動に必要な規模の資金を投入することも意味します。
最後に3つの明確なお願いがあります。
- 第一に、国際法の尊重を取り戻さなければなりません。この容認できない規模の重大な権利侵害を新たな当たり前、「ニューノーマル」にしてはなりません。
- 第二に、子どもたちがどこにいようとも直ちに支援を届けられるよう、柔軟かつ迅速な資金提供が必要です。
- 第三に、今日、ますます狭まりつつある人道対応の枠組みからこぼれてしまう子どもたちを、決して見捨ててはなりません。そのためには、子どもたちが頼りにしているきわめて重要なサービスを維持し、危機の根本原因に対処するため、より多くの資金投入が必要です。
最終的に問われているのは、子どもたちが日常的に攻撃され、避難を強いられ、飢えにさらされる世界を、私たちが受け入れるのか、それとも力を合わせて子どもたちを守る行動を取るのか、という選択です。
私たちの活動の真価は、子どもたちに生きる機会、学ぶ機会、そしてより良い未来を望む機会を与えられているかどうか、で測られるのです。

























