ユニセフは、すべての子どもの権利、特に最も不利な立場にある子どもたちの権利を実現することを目指し、世界約190の国と地域で活動をしています。その活動の柱となるのが、ユニセフが4年毎に策定し、ユニセフ執行理事会で決議される「ユニセフ戦略計画(UNICEF Strategic Plan)」です。
© UNICEF/UN0152818/ |
今年が初年度となる「ユニセフ戦略計画2018-2021年」は、2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指すとともに、すべての子どもが公平な機会を得られる未来の実現に向けて、2021年までに達成すべき成果を明らかにしています。
「ユニセフ戦略計画2018-2021年」では、ユニセフの支援活動における、5つの目標分野(生存と成長、教育、子どもの保護、水と衛生、公平な機会)と分野横断的な優先課題(ジェンダーの平等、人道支援)が示されています。それぞれの分野・課題ごとに、現状と2021年に目指すべき成果がデータをもとに明確に示され、その達成のためにとるべき手段が記されています。これらをもとに、ユニセフの国事務所は、国内のニーズを考慮しつつ、当該国政府と協議・合意のうえ、子どもたちとその家族を対象にした支援プログラムを作り上げます。そして、日本ユニセフ協会を含む、世界34のユニセフ協会も、本事業計画で示されている目標の達成に向けて、広報・アドボカシー活動および募金活動を各国で行います。
「ユニセフ戦略計画2018-2021年」は、「生存と成長」、「教育」、「子どもの保護」、「水と衛生」、「公平な機会」の5つの分野に焦点を当てています。これらは互いに関連しあっているため、ひとつの分野への取り組みが他の分野の成果にもつながります。
~すべての子どもが、命を守られ健やかに成長できる
世界では、毎年260万人の赤ちゃんが生後ひと月以内に命を落としており、そのうち100万人は生まれたその日に亡くなっています。
貧困、環境、医療従事者の不足などによって適切な保健ケアが受けられなかったり、妊産婦の健康や幼い子どもの発育に必要な栄養が十分に摂れないなどで、何百万人もの子どもたちが生きるチャンスを奪われ、健やかな成長を妨げてられています。
ユニセフは、支援プログラムを通じて、2021年に下記の成果を含む目標達成を目指しています。
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もっと詳しく> ユニセフの主な支援分野 : 保健
~すべての子どもが、教育を受けられる
2015年時点で、6,100万人の小学校学齢期の子どもたち、6,200万人の中学校学齢期の子どもたちが、学校に通えていません。
子どもたちは、地理的な要因、経済状況、ジェンダー、障がい、紛争や災害による影響によって、子どもたちは学校に通ったり、適切な教育を受ける権利を奪われています。
ユニセフは、支援プログラムを通じて、2021年に下記の成果を含む目標達成を目指しています。
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もっと詳しく> ユニセフの主な支援分野 : 教育
~すべての子どもが、暴力や搾取から守られる
2016年時点、最大10億人の子どもたちが、性的暴行を含む、何らかの暴力や有害な慣習を経験している。女の子や女性については、約7億5,000万人が児童婚を、2億人以上がFGM/C(女性器切除)の慣習を強いられています。
社会規範、文化的慣習、地域内の紛争や避難によって、各国で暮らす子どもたちの安全や健康的な暮らしが脅かされています。
ユニセフは、支援プログラムを通じて、2021年に下記の成果を含む目標達成を目指しています。
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もっと詳しく> ユニセフの主な支援分野 : 子どもの保護
~すべての子どもが、安全で清潔な環境で暮らす
2015年時点、世界では21億人が、安全に管理された飲み水を使用できず、このうち1億5,900万人は、湖や河川、用水路などの未処理の地表水を使用しています。また、3億人以上の子どもたちが、国際的な基準値(PM2.5)の6倍以上の、大気汚染レベルが最も高いとされる地域に暮らしています。
気候変動、環境汚染、無計画な都市開発、有害物質に対する知識の欠如などにより、何百人もの子どもたちが、有害な環境下で暮らすことを強いられています。
ユニセフは、支援プログラムを通じて、2021年に下記の成果を含む目標達成を目指しています。
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もっと詳しく> ユニセフの主な支援分野 : 水と衛生
~すべての子どもが、人生において公平な機会を得る
3億8,500万人の子どもが極度の貧困下で暮らしています。その他にも、地理、紛争、差別、疎外、その他の障壁によって、世界の何百万人もの子どもたちが、不平等、剥奪、何世代にもわたって続く貧困状態を強いられています。
ユニセフは、支援プログラムを通じて、2021年に下記の成果を含む目標達成を目指しています。
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もっと詳しく> 世界子供白書2016 : 一人ひとりの子どもに公平なチャンスを
「ユニセフ戦略計画2018-2021年」では、前回の4カ年計画(2014-2017年)に引き続き、「人道支援」、「ジェンダーの平等」の2つを分野横断的な優先事項としています。
ユニセフは、支援現場での経験はもちろん、過去の事業計画や一連の状況評価の成果を踏まえ、この2つの優先事項をユニセフのあらゆる活動に密に組み込むことが、すべての支援分野において、持続的な成果を出し続けるために最も効果的な方法であると考えています。加えて、危機に直面しているコミュニティがしなやかな回復力をもち迅速に復興すること、女性や女の子が本来持っている力を十分に発揮できることは、すべての持続的な発展の基本です。
もっと詳しく
ユニセフ戦略計画(2018年-2021年)が目指す成果は、SDGs、子どもの権利条約とも密接にかかわっています。下記は、5つの目標分野と、SDGs/子どもの権利条約との関わりを表した図です。(クリックで拡大してご覧いただけます)
©日本ユニセフ協会/2018 |
5つの目標分野 |
SDGs |
子どもの権利条約 |
子どもの生存と成長 |
目標2、目標3、目標5 |
第6条、第24条 |
教育 |
目標4、目標5 |
第28条、第29条 |
子どもの保護 |
目標5、目標8、目標16 |
第19条、第34条、第35条、 |
水と衛生 |
目標6、目標11、目標13、 |
第24条 |
公平な機会 |
目標1、目標5、目標10 |
第2条、第23条、第26条、 |
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