2025年9月19日東京発
日本ユニセフ協会は、子どもや若者が気候変動を学び、考え、声を上げるためのプロジェクト「ユニセフ気候変動アクション2025」を展開しています。未来のために必要な気候変動対策について、特設サイトや公式SNS、書面を通じて、子ども・若者を中心に全国から寄せられた意見は、311件にのぼりました。国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)に届ける提言書として、これらの意見を、子ども・若者たち自身がワークショップ形式でとりまとめ、成文化する作業を、8月28日(木)にユニセフハウスで行いました。
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「キーワード」を集めよう!
当日は、ユニセフ「国際協力講座」にも参加した日本の高校生・大学生16名がユニセフハウスに集合。最初はみな緊張した面持ちでしたが、自己紹介やじゃんけんゲームなどのアイスブレイクを通して、少しずつ打ち解けた雰囲気に。場が和んだところで、いよいよワークショップが始まりました。

© 日本ユニセフ協会/2025
「キーワード」にマーカーの引かれた、311件の意見
まずは3グループに分かれ、気候変動について寄せられた311件の意見(詳しくは後述)から、それぞれに気になる「キーワード」を拾い出す作業に取りかかりました。
「あつすぎてそとであそべない」「ぼうしやすいとうがぜったいひつよう、わすれない」といった小学生の身近で切実な声から、「国と社会は、皆にも気候変化の深刻さを気付かせるための適切な教育を行う必要がある」といった世界に目を向けた若者の意見まで、一つひとつの言葉に真剣に向き合う皆さん。回答が印刷された手元の紙は、あっという間にマーカーが引かれたキーワードでいっぱいになりました。
続いての作業は、抽出したキーワードの書き出し。次の3つのテーマに沿って分類していきます。
テーマ1 世界や身の回りで起きている変化
テーマ2 国や社会に求めること
テーマ3 自分たちのアクション

© 日本ユニセフ協会/2025
付箋に書き出されたキーワード

© 日本ユニセフ協会/2025
分類を進める参加者たち
午前のセッションを終える頃にはすっかり打ち解けた雰囲気が会場に広がり、昼食時には会話と笑い声が絶えませんでした。
成文化へ

© 日本ユニセフ協会/2025
各グループの発表を真剣に聞く参加者たち
午後はいよいよ、意見を「提言書」としてまとめます。3グループそれぞれが一つのテーマを担当し、すべてのグループの意見が文章に反映されるよう議論を重ねます。時間が足りなくなるほど活発な議論の末、以下のキーワードに代表される内容が整理されました。

© UNICEF/UN0607653/Rich
干上がった川から、わずかに残った水を集める男の子(ソマリア)
テーマ1 世界や身の回りで起きている変化
・猛暑、海面上昇、自然災害
・健康への影響
・社会インフラへの影響
・生活の変化
テーマ2 国や社会に求めること
・教育の推進と情報・意見の共有
・“市民会議”の開催
・中小企業への支援

© UNICEF/UNI841428/Ramasomanana
ペットボトルのリサイクルについて学ぶ子どもたち(マダガスカル)
テーマ3 私たちのアクション
・すべてのアクションの基盤となる「知る/ Know」、「考える/ Think」、「広める/ Share」
・食品ロス問題に関する取り組み
・3R(Reduce〈発生抑制〉、Reuse〈再使用〉、Recycle〈再生利用〉)に関する取り組み
・温室効果ガス削減に関する取り組み
「桜宣言」に込めた思い
成文化されたこの文書をもとに、最終的にまとめられた提言書は、「🌸桜宣言🌸~私たちの気候変動アクション」と名付けられました。
日本では、かつて「入学式」を象徴していた桜ですが、近年では「卒業式」の花として知られるようになっています。世代を超えて愛される桜は、同時に気候変動の影響を映し出し、そして警鐘を鳴らす存在でもあります。参加者たちは、気候変動問題について日本の子どもと若者がまとめたものであることを表すため、またこの象徴的な変化に重ね合わせるため、「桜宣言」と命名しました。

© 日本ユニセフ協会/2025
「桜宣言」をまとめた16名の高校生と大学生
作業を終えた参加者からは、
「知ることが一番大事だと感じました」
「私たちの提言が、気候変動問題解決への一歩になれば」
「この声が小さくても、世界中に届きますように」
といった言葉が寄せられました。
おとなへの提言、そして同世代への呼びかけとしてまとめられた、「桜宣言」。ぜひ全文も、こちらからご覧ください。
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参考:全国から寄せられた声
特設サイトや公式SNS、ユニセフハウスなどの各施設で配布した書面を通じて、日本ユニセフ協会は気候変動に関する以下の2つの質問への回答を募集しました。
設問1 気候変動の影響で、どんなことが、自分や世界の子ども・若者の身の回りで起きている、あるいは起きつつあると思いますか?
設問2 日本や世界を気候変動の危機から守るために、国や社会は、何をしたらいいでしょう?そして、みなさん自身はどんなアクション(行動)を起こしていきたいと思いますか?
北海道から沖縄まで、全国の子ども・若者を中心に、311件の意見が寄せられました。
年齢別内訳

都道府県別内訳
東京都 74件
北海道 45件
栃木県 40件
広島県 36件
神奈川県 18件
岐阜県 12件
埼玉県 8件
鳥取県 7件
愛媛県 6件
千葉県・ 愛知県 各5件
石川県・富山県 各4件
熊本県・大阪府 各3件
茨城県・沖縄県・岩手県・京都府・香川県 各2件
岡山県・三重県・鹿児島県・新潟県・青森県・兵庫県 各1件
未回答 25件
回答の一部紹介(以下、原文ママ)
「おこめがたべられなくなる、アジもたべられなくなる。もとのちきゅうにもどってほしい」
(7歳、東京都、スピノサウルスさん)
「夏があつすぎて外であそべない。日本は、はる・夏・あき・冬があるのに、はるとあきがない」「私は、地きゅうかんきょうについて、なにもしらないので学校でしっかりおしえてほしいです。川のごみをへらしたいです」
(9歳、広島県、日本ユニセフ協会協力者)
「ぜひ考えてみてください。地球の50年後、100年後を、そして、その時、地球と人類が、健全な状態で残っているかを」「ユニセフ、国連のみなさん、どうぞよろしくお願いいたします。どうか私たちの声を、先進国から途上国まで、様々な国に、会議に、届けてください」
(10歳、東京都、マモルンさん)
「法律や決まりを定め、国や団体として動くこと!個人レベルの動きでは間に合わないと思います」
(Instagramコメント投稿者)
「私は現在、日本で働き暮らしているベトナム人です。気候変動の深刻さは母国でも肌で感じてきました。毎年のように襲う洪水や台風は家を奪い、農家は作物を失う不安と闘い、労働者は職を失うことを恐れています。そんな中、子どもたちは通学すら困難になり、未来への希望が遠のいていくのを感じます。日本に来てからは、地震や津波など、自然災害がどの国にも容赦なく降りかかることを実感しました。変わりゆく気候は、日本の子どもたちにも不安を与え、安心して学び育つ環境を脅かしています。このままでは、世界中の未来を担う子どもたちの命と夢が危険にさらされます。だからこそ、国境を越えて協力し、一人ひとりが行動を変える時だと思います。私は日常の中でできる選択を見直し、次の世代のために“今”動き出したいと強く思っています」
(25歳以上、大阪府、DO THI MYさん)
「学校の行き帰りがあつくてとてもつらい。暑すぎて夏休みに友だちとあそぶことができない」「国民にどうしたらいいのかを知らせる。小学生だから学校でとりくめることを、やってみたい」
(11歳、広島県、日本ユニセフ協会協力者)
「自分は関係ないと考えを放棄するのではなく、全員が自分ごととして真摯に取り組まないと状況は変わらないと思うので真面目に考えて行動に移すところまでやって欲しいです」
(20歳、千葉県、あめさん)
「こういう意見を聞くことが大切だと思う。世界には意見を伝えたくても言葉を知らなかったり手段がわからなかったりし伝えられない人がたくさんいると思うので、私みたいにただ平和に暮らしているだけなやつより身近に危機を感じている世界の人々の意見を聞いてほしい。そして、ちゃんと意見をはんえいしてほしい。この意見が誰に届くのか知らないし、多分読みとばされてそうな気がするけど意見を伝えるのは大切。ここまで読んでくれてありがとう」
(13歳、栃木県、ユニセフハウス見学者)
すべての回答は、こちらからご覧いただけます。
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ユニセフ気候変動アクション2025事務局より とりまとめに参加くださった16名の高校生・大学生の皆さん、全国からご意見を寄せてくださった311名の皆さん、そして各地での意見集めにご協力くださった皆さん、本当にありがとうございました!一人ひとりの貴重な声の集大成である「桜宣言」を、今後COP30に届けるべく、ユニセフは準備を進めています。進捗状況は随時、特設サイトにてお知らせいたします。 引き続き、「ユニセフ気候変動アクション2025」へのご関心をお寄せいただけますよう、また共に地球の未来について考えていただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。 |



























