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🌸桜宣言🌸
~私たちの気候変動アクション~

2025年8月28日 東京・ユニセフハウス

ユニセフ「気候変動アクション2025」に寄せられた311件の声から
日本の高校生・大学生16名からなる「宣言」起草チームがまとめた
おとなへの提言と同世代への呼びかけ

 

世界や身の回りで起きている変化 

「ユニセフ気候変動アクション2025」に寄せられた声は、私たちが直接経験している変化を含め、5つの大きな変化が起きていることを訴えています。

一つ目は「猛暑」。気温上昇の影響は、農作物の不作や品質の低下、人々の屋外での活動の制限、さらには生物多様性の崩壊など多岐に渡ります。降雨バランスの崩れによる農業用水の減少は植生環境を大きく変え、海面の温度の急激な上昇によって魚介類は生息に適した水温を保つ海域へと移動するなど漁獲量の不安定化や減少につながることで、食物の価格上昇も招いています。

こうした変化は、私たちの健康にも大きな影響を及ぼしています。世界でも、十分な食料や水を得ることができずに栄養失調や脱水症になる子どもが増え、感染症を広める危険があります。熱中症患者が増加するのはもちろんのこと、自律神経が乱れ不安やストレスを感じる人が多くなる可能性も高まります。あまりの暑さのため「外で遊べない」、「プールや海水浴にも行けない」など、屋外活動の大幅な制限による、子どもたちの心身の健康への影響も懸念されます。

次に「自然災害」。以前に比べ局所的に集中する形で多発する大雨は、洪水や土石流の原因となり、人々の生活を脅かしています。反対に、雨が降らなくなっている地域もあり、干ばつや水不足をはじめ様々な被害を引き起こしています。衣・食・住全般にわたって生活基盤が損なわれ、人々から以前のような暮らしを奪っています。

さらに、「海面上昇」は、島嶼部や海岸付近に住む人々から、居場所を奪っています。南極や世界各地の氷山の溶解や氷河の崩壊による人びとの暮らしや農業や工業、水資源への影響も心配されています。こうした変化は、人口の大都市への集中や、地方の過疎化も加速させると言われています。

また、私たちの生活の基盤となる「社会インフラ」への影響も懸念されます。熱中症や感染症の患者が増加し、病床の不足や搬送の遅れなど、医療の崩壊を引き起こす可能性が高まっています。高度にネットワーク化された現代社会では、気温上昇にともなう急激な電力消費量の増加は化石燃料の使用を増大させ、地球温暖化を一層加速し、経済活動にも悪影響をおよぼしかねません。固有の天然資源が限られている日本では、大きな経済損失という形で国益に影響することも忘れてはなりません。

最後に、「生活の変化」。経済損失が大きくなるなど、気候変動の直接・間接的な影響によって、例えば、学校に通えなくなる子どもたちも増えていると伝えられています。教育格差は、社会全体に不利益をもたらします。また、生活基盤の損失や水不足が紛争・戦争の引き金になるなど、気候変動が私たちの社会の成り立ちそのものにもたらす影響の大きさは計り知れません。

 

 

国や社会に求めること

教育の推進と情報・意見の共有
気候変動問題に取り組むには、この地球に住む一人ひとりの意識の向上が欠かせないと考えます。特に、次世代を担う子どもや若者が、気候変動問題を正しく理解することが重要です。周囲を海に囲まれる日本に住む私たちが、他の国々、特にグローバルサウスと呼ばれている国々で起きていることを知り、遠く離れた国々に住む人々ととも気候変動や環境問題への対策で連携してゆくために、これまで以上に、子どもや若者が、オンラインも含め、国境を越えて交流し、情報を共有し、意見を交換できる場を設けていただきたいと考えます。また、私たちの“やる気”を後押しするためにも、これまで進められてきた対策とその成果も含めた気候変動問題に関する正しい情報をわかりやすく発信していただきたいと考えます。

“市民会議”の開催
気候変動問題は、子ども若者だけの問題ではありません。シニアを含めた幅広い世代の一般市民が、子どもや若者の声も聴きながら、「未来」の問題としてだけではなく「現在」の問題として気候変動問題を捉え、議論し、対策を考える場を設けていただきたいと考えます。

中小企業への支援
温室効果ガス排出削減や、イノベーション・技術開発など、民間企業は、気候変動対策でとても重要な役割を担っています。すでに多くの企業が様々な施策を進めていますが、気候変動対策は、必ずしも収益に直結しないため、意識や意欲はあっても“二の足”を踏んでいる企業も少なくないのではないでしょうか。特に、日本の企業の8~9割を占めるとされる中小規模の企業が1社でも多く気候変動対策に参加できるよう、国や事業者団体等による補助金も含めた支援策の一層の拡充を求めます。

 

私たちのアクション

「知る/ Know」、「考える/ Think」、「広める/ Share」ことは、すべてのアクションの基盤です。

啓発イベントやボランティア活動などに参加し、世界の現状や気候変動に関する正しい知識を得ます。そうして得た知識をもとに、自分にできることは何か考えを深め、啓発活動やSNSなどを通じて気候変動の現状や解決策を広め・共有し、同世代のアクションを促します。

食品ロス問題に関する取り組み
食品ロスは、過剰な生産や購入によって引き起こされます。消費されなかった食品が焼却処分されることで環境破壊に帰結します。食品ロスを防ぐため:

 

3Rに関する取り組み
廃棄物(ゴミ)の量を削減するため、3R=Reduce(発生抑制)、Reuse(再使用)、Recycle(再生利用)に取り組みます:

 

温室効果ガス削減に関する取り組み
温室効果ガス排出削減のため、私たちは以下のことに取り組みます:

(了)

 

※タイトル「桜宣言」に込めた思い:日本の多くの地域で、かつて、「入学式」を飾っていた「桜」は、近年、「卒業式」を彩る花になりつつあります。老若男女、誰からも愛される日本の象徴「桜」も、私たちに警鐘を鳴らしています。本宣言文が、気候変動問題について日本の子どもと若者がまとめたものであることを表すため、「🌸桜宣言🌸」と命名しました。

 

🌸桜宣言🌸」起草チーム

青松 莉子(17歳) 小倉 百瑛(19歳) 神谷 友理(15歳) 蒲生 倫矢(16歳)
坂本 歩 (22歳) 澤田 栞 (16歳) 霜島 弘樹(20歳) 髙橋 いお(15歳)
田口 怜央(17歳) 田島 こはる(15歳) 中村 紗莉(17歳) 花木 ひとみ(18歳)
 細川 紗良(17歳) 三森 心美(16歳)  渡邉 真衣(15歳) 他1名

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