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日本ユニセフ協会
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サイクロン・イダイ
被害から1年
いまも人道支援を待つ250万人

【2020年3月13日  ベイラ(モザンビーク)/ニューヨーク発】

サイクロン「イダイ」がモザンビークに上陸し、類を見ない自然災害をもたらしてから1年が経過しました。今なお、人道支援を必要としている人々は250万人にのぼり、そのおよそ半数が子どもです。

洪水によって農作物は流され、3,000人以上の5歳未満児が、命の危険も伴う重度の急性栄養不良(SAM)と診断されました。気候危機で最初に犠牲になるのは最も貧しい人々と子どもたちであることを、こうした重度の急性栄養不良の子どもたちが証明しています。

洪水と干ばつがもたらした食糧危機

Ndjenja 避難民キャンプ内にあるユニセフの保健所で、栄養不良の検査を受ける4歳のシンダちゃん。(2020年2月28日撮影)

© UNICEF/UNI310181/Prinsloo

Ndjenja 避難民キャンプ内にあるユニセフの保健所で、栄養不良の検査を受ける4歳のシンダちゃん。(2020年2月28日撮影)

モザンビークは、世界の温暖化にほとんど影響を及ぼしていないにもかかわらず、この1年、気候関連の緊急事態をいくつも経験しました。

2019年3月14日、サイクロン・イダイがソファラ州中央部、およびマニカ州の港湾都市ベイラとその周辺の街を襲い、農地を含む全域が水没しました。そのわずか6週間後、サイクロン・ケネスが北部のカボ・デルガド州を襲い、時速200キロ以上の強風をもたらしました。一方で、南部で起こった深刻な干ばつは、農業と食料問題にさらなる悲惨な結果をもたらしました。

これらすべての出来事により人々は疲れ果て、生活再建のための力は尽き、生活の糧も奪われました。国内の160万人の人々は、十分な食べ物がないと推定されています。

異常気象、今後頻発の予想

モザンビークは、人間開発指数(HDI)が世界で最も低い国の1つで(189カ国中180番目)、人口の46%以上が国の貧困ラインを下回る生活をしています。この深刻な貧困の中で、人々がこうした事態に対応する力をつけるのは困難であり、さらに毎年新たな、そしてより大きな危機の影響を受けるために、復興が一層難しくなっています。

「ユニセフをはじめ人道支援機関は、こうした極端な気象が今後もより頻繁に、より凶暴性を増す形で、モザンビークで発生するだろうと予測し、備えています」とユニセフ・モザンビーク事務所代表のカタリーナ・ヨハンソンは述べました。「したがって、私たちの復興支援には、影響を受けた人々が将来の自然災害に対してより回復力(レジリエンス)を持てるようにする内容も含まれています」

地域社会へ届ける分散型の保健サービス

© UNICEF/UNI310143/Prinsloo

© UNICEF/UNI310143/Prinsloo

発熱の症状があり、母親に背負われてユニセフの保健所にやって来たナタリアちゃん(3歳)とドミニコちゃん(生後6カ月)。(2020年3月4日撮影)

レジリエンスを構築するための策の一つとして、ユニセフは移動式保健チームによる分散型の保健サービスの提供を支援しています。バイクや自転車を主な交通手段として使用し、医療補助スタッフが最も遠隔地の子どもたちのもとに支援を届けます。ユニセフによるサポートと訓練によって、およそ1,700チームが、それぞれの地域社会で活動しています。彼らの活動によって、65万3,000人の5歳未満児が重度の栄養不良の検査を受け、何千もの人々の命が、適切な治療と栄養補給で救われました。

さらにユニセフとパートナーは、障がいのある子どもたちに、心理社会的ケアを提供したり、補助器具を交換したり、コミュニティを基盤とする復興計画を実施したりすることで、障がいのある子どもたちを支援しています。すでに1,000人の子どもたちがこうした支援を受けていますが、障がいのある子どもたちを災害復旧に完全に取り込むためには、やらなければならないことは多く残っています。

ユニセフ、安全な水や予防接種を提供

ユニセフの支援で設置された井戸で水を汲む親子。(2020年3月4日撮影)

© UNICEF/UNI309942/Prinsloo

ユニセフの支援で設置された井戸で水を汲む親子。(2020年3月4日撮影)

サイクロン、洪水、干ばつは、水・衛生施設を危険にさらし、特に子どもたちがかかりやすいコレラなどの下痢性疾患の蔓延をもたらします。

ユニセフはパートナーとともに、100万人以上の人々にワクチンを接種し、約58万人が利用するベイラの給水システムを含む複数の都市給水システムを迅速に復旧することによって、いずれのサイクロンの場合も、被災後のコレラの発生を抑えることができました。

汚染された給水所507カ所の改修と80カ所の新設、飲料水の塩素処理のモニタリング、家庭向け水処理薬品64万8,000本の配布、18万5,000人を対象にしたトイレ建設といった支援は、将来のコレラの流行や水に起因する病気から人々を守ることにつながります。ユニセフはまた、34カ所の再定住地区に、6万1,000人以上が利用できる水と衛生設備を設置しました。

 

サイクロン発生後、ユニセフはパートナーと共に、仮設の学習スペースで教育支援をおこなってきましたが、現在は学校の校舎の再建に焦点を当てています。被災前よりもより良い状態への復興(build back better)を目指し、ユニセフは学校や保健センターなど、損傷した社会インフラが、次にサイクロンが襲っても洪水や強風に耐えうる施設として、より強く再建されるよう支援していきます。

官民、そして個人支援者からの協力を得て、ユニセフは、モザンビーク政府のリーダーシップと市民社会との緊密な連携のもと、大規模な災害対応を行い、何千人もの子どもたちの命を救うことができました。しかし、今後の自然災害から子どもたちを守るためには、継続的な復興支援へのさらなる資金、環境に影響を与えている国々による緩和策の強化、そして開発途上国への適応が必要です。

 

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マラウイ、ジンバブエでの支援

サイクロン・イダイは、隣国のマラウイやジンバブエにおいても、家屋や生計手段を破壊し、影響を与えました。ユニセフはマラウイにおいて、21万9,195人の子どもを含む73万1,879人の被災者に支援を提供しました。マラウイ政府は最近、国家レジリエンス戦略を推進しており、ユニセフは現在、被災したコミュニティに焦点を当てた回復力(レジリエンス)を構築する取り組みを支援するために、国家レベルおよび地域レベルで協力しています。

ジンバブエにおいて、サイクロン・イダイは、129,600人の子どもを含む27万人に影響を与え、すでに不安定だった人道状況を悪化させました。ユニセフは、マニカランド州の被災地域で、子どもや女性を対象にした予防接種、子どもの保護、安全な水へのアクセス、基礎教育、HIV/エイズと共に生きる人々への治療などの支援を行ってきました。


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