2025年3月3日ニューヨーク/アンマン(ヨルダン)発
ガザ地区への支援物資の搬入停止は、必死に生き延びようとしているガザ地区の子どもとその家族に壊滅的な結果をもたらす、とユニセフ(国連児童基金)は警鐘を鳴らしています。
支援物資の搬入は不可欠
© UNICEF/UNI751043/Nateel
ガザ北部のアウダ病院に、ユニセフ支援の緊急医療用品、小児用医薬品、新生児用キットなどが供給され、毎日100人以上の外来患者を診察できるようになった(パレスチナ、2025年2月20日撮影)
ユニセフ・中東・北アフリカ事務所代表エドゥアルド・ベイグベデルは、次のように述べています。「昨日発表された支援制限は、民間人の命を守る活動に深刻な影響を及ぼします。人道支援を継続的に拡大するためには、子どもたちにとって極めて重要な命綱である停戦が保たれること、そして支援物資が自由に届けられることが不可欠なのです」
停戦の第一段階では、ユニセフとそのパートナーは、より多くの必需品を搬入し、より多くの困窮する子どもに支援を届けることができました。今年1月19日から2月28日までの間、命を守る物資を積んだユニセフのトラック約1,000台がガザ地区に乗り入れ、清潔な水、保健医療に関する物資、ワクチン、治療食、その他の物資を届けました。これは、ユニセフがそれ以前の6週間に運んだ支援物資の量の3倍以上の増加となります。
ガザ地区への人道支援物資の搬入量は増えても、子どもたちを取り巻く状況は依然として極めて深刻です。寒さを十分に防ぐ服や毛布、避難所、保健医療ケアがなかったため、この1週間で、新生児7人が低体温症で亡くなったと報告されています。こうした予防可能な死は胸が張り裂けるような悲しみをもたらし、より多くの支援が切実に必要であることを痛感させます。
ガザ地区各地の子どもや家族は、十分な食料、薬、身を寄せる場所もなく、生き残るために必死に闘っています。36の病院のうち、機能しているのは19施設のみで、それも限られた範囲での稼働にとどまっています。保健医療体制は、過度な負担のためにすでに限界をはるかに超えています。
停戦開始以来、ユニセフとパートナーは、現地で人道支援の拡大に取り組んできました。以下は一例です。
- 15万人の子どもに暖かい服を、7万世帯に24万5,000枚の防水シートを配布
- 2万5,000人以上に不可欠な保健医療ケアを提供
- 遠隔地で暮らす50万人近くへの水の供給量を増やし、極めて重要な淡水化プラントを含む水インフラの修復を実施
- 急性栄養不良に苦しむ2,600人以上の子どもの治療
- 少なくとも10万人の子どもを含む19万5,000人以上に人道的現金給付を実施
国際法遵守と停戦維持を
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ガザ地区北部のジャバリアで、ポリオワクチンの投与を受ける子どもたち。下水からポリオウィルスが検出されたため、接種対象のすべての子どもたちへのワクチン投与を目指している(パレスチナ、2025年2月23日撮影)
さらに、ユニセフとパートナーはこの1週間で、60万人以上の子どもにポリオの集団予防接種を実施しました。同様に、少なくとも1万4,000人の子どもが定期予防接種を受け、致死性および感染性の疾病のまん延を防ぐことができました。
「停戦は、命を守る支援を大幅に拡大することを可能にしましたが、ガザ地区の状況は壊滅的というレベルを超えているのです。停戦は維持されなければなりません。さらなる苦痛と命の喪失を防ぐために、より多くの支援が認められなければなりません」(ベイグベデル代表)
ユニセフは、国際法に基づく義務を完全に尊重するよう、当事者に緊急に呼び掛けています。これには、人々が切実に必要とする基本的サービスの提供と複数の検問所を通じたガザ地区への人道支援物資の円滑な流入を確保し、すべての人質を解放し、最終的には恒久的な停戦を実現し家族と子どもへの極めて重要なサービスの再建と提供を可能にするよう、迅速かつ有効な措置を講じることが含まれます。