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ストーリー

カンボジア
ユニセフ、少数民族の子どもが通う学校の「WASH」を支援
水汲みから解放され、出席率も向上

2025年7月23日クラチェ州(カンボジア)

© UNICEF/UNI630625/Rotzoll
新しくなったトイレのスロープを下る、フィアクトラさん(左)とチャック・チンさん(右)

(カンボジア、2024年6月26日撮影)

カンボジア北東部、メコン川に面するクラチェ州。ここで暮らす13歳のフィアクトラさんにとって、毎日学校に通うことは、冒険に出かけるようなものです。地区で唯一の小学校に通うため、小川を渡り、モンスーンの豪雨に耐え、時にはカヌーを使うこともあります。

トイレが変えた学校生活

校庭のブランコに並んで座る女子生徒たち(カンボジア、2024年6月26日撮影)

© UNICEF/UNI630744/Rotzoll 校庭のブランコに並んで座る子どもたち(カンボジア、2024年6月26日撮影)

最近、フィアクトラさんの学校生活は、大きく変わりました。ユニセフの水と衛生(WASH)プログラムにより、トイレや手洗いなどの設備が改修されたのです。

少数民族の子どもたちが通うこの小学校には、1年生から6年生まで101人の児童が在籍しています。これまでは6年生の児童14人が交代で、飲料やトイレ、手洗いなどに使うための水を学校の井戸から汲み運んでおり、多くの時間と労力がかかっていました。

衛生施設が改修されたことで、学校生活のあらゆる面が大きく変わりました。フィアクトラさんは「これまでは、水を汲んだ大きな重いバケツを、何度も運ばなければならなかったの。水汲みの後はとても疲れてしまって、勉強できる時間が少なかったです。今は、授業に集中できて、学校にいることが本当に楽しいの」と語ります。

 

石けんを備えた洗面所(カンボジア、2024年6月26日撮影)

© UNICEF/UNI630739/Rotzoll
新しい洗面所で、石鹸を使って手を洗う子どもたち(カンボジア、2024年6月26日撮影)

 

給水機からボトルに水をそそぐフィアクトラさん(カンボジア、2024年6月26日撮影)

© UNICEF/UNI630629/Rotzoll
給水機からボトルに水をそそぐフィアクトラさん(カンボジア、2024年6月26日撮影)

 

フィアクトラさんと同い年のティエン・トラさんも「水汲みは本当に重かったし、時間がかかりました。今では、水汲みの代わりに、授業に集中できる時間が増えました」と話します。

狭く暗かったトイレは、男子、女子、障がいのある子どもと、それぞれのためのスペースを備えた、広くて明るい空間に生まれ変わりました。石けんときれいな水、そして大きな鏡を備えた洗面台は、フィアクトラさんら子どもたちの自宅にはないものです。丁寧に手入れされた小さな花壇が、彩りを添えています。

ユニセフなどの支援を受けて完成したトイレ施設(左)(カンボジア、2024年6月26日撮影)

© UNICEF/UNI630631/Rotzoll
ユニセフなどの支援を受けて完成したトイレ施設(カンボジア、2024年6月26日撮影)

「新しいトイレの一番いいところは、女子トイレにある鏡とサニタリーボックスです。手を洗いながら、鏡を見て顔のニキビをチェックしています。家には鏡がないから」

青色のネクタイを付け、きちんとプリーツの入った白いシャツを着たフィアクトラさんは、笑顔でそう話してくれました。

勉強も遊びも、健康も

フィアクトラさんの親友で、妹と一緒に学校に通っているチャック・チンさんは、衛生施設が改修されたことによって起きた、ある変化に気付きました。

「あまり病気にかからなくなりました。以前のトイレは汚くて、石けんもありませんでした。トイレが変わったら、すべてが変わったんです。勉強も遊びも…前よりずっと、元気でいられるようにもなりました」

きちんと編んだ髪を後ろで結んだチャック・チンさんは、微笑みます。

新しい設備は児童らの間に、身だしなみに対する意識も育みました。フィアクトラさんのクラスメイト、ナード・クルッドさんは、見た目を気にするようになったと認めています。「トイレで髪を確認しているよ。教室でカッコよく見せたいからね!」と、ニヤリと笑います。

学校の前でポーズをとるフィアクトラさん(左)とチャック・チンさん(右)(カンボジア、2024年6月26日撮影)

© UNICEF/UNI630627/Rotzoll
学校の前でポーズをとるフィアクトラさん(左)とチャック・チンさん(右)(カンボジア、2024年6月26日撮影)

 

互いに笑顔を交わす生徒たち(カンボジア、2024年6月26日撮影)

© UNICEF/UNI630738/Rotzoll
互いに笑顔を交わす子どもたち(カンボジア、2024年6月26日撮影)

 

保護者の意識も変化、好循環をもたらす

教室の窓から外を眺める生徒たち(カンボジア、2024年6月26日撮影)

© UNICEF/UNI630745/Rotzoll
教室の窓から外を眺める児童(カンボジア、2024年6月26日撮影)

サム・チェア校長は、衛生設備がもたらした変化について、「学校への出席率が10%向上し、児童の身だしなみや清潔さもぐっと改善されました」と満足げに語ります。

「児童は髪をとき、爪を切り、身なりを整えて学校に来ます。保護者の間で子どもを学校に通わせることへの満足度が高まり、子どもたちも、より熱心に授業を受けるようになりました。好循環が生まれています」

サム・チェア校長は、新しいトイレをきれいに保つため、児童がトイレの掃除を交代で担うローテーション制を導入しました。子どもたちの間に、学校環境の改善に対する責任感と誇りを育むことがねらいです。

 

学校での1日を終え、下校する生徒たち(カンボジア、2024年6月26日撮影)

© UNICEF/UNI630760/Rotzoll
学校での1日を終え、下校する子どもたち(カンボジア、2024年6月26日撮影)

ユニセフが支援するこのプログラムは、水利用に課題を抱える地域のWASHの改善において、大きな進歩を遂げています。このイニシアティブを通じて、カンボジア北東部の4州―クラチェ州、モンドルキリ州、ラタナキリ州、ストゥントレン州―にある 22 の多言語教育学校に、給水システム、手洗い施設、トイレが設置されました。これらの地域では長い間、清潔な水と衛生設備の利用が課題となっていました。

地域の 3,800 人以上の子どもたちが、イニシアティブの恩恵を受けています。きれいな水やトイレを使えるようになり、生活が向上しました。ユニセフは、カンボジア政府と協力し、カンボジア全土で、農村部で暮らす少数民族コミュニティの WASH を改善するため、広範な取り組みを支援し、地域の重要なニーズに対応しています。

困難な状況にある子どもたちが、生まれ持った権利を守られ、平和に健やかに成長できることを目指して活動するユニセフ。

その活動は皆さまのご支援によって支えられています。

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※最も支援が必要な子どもたちを支え、ユニセフの様々な活動に役立てられています。

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