2025年10月16日カブール(アフガニスタン)発
アフガニスタン東部をマグニチュード6.3の壊滅的な地震とその後の度重なる余震が襲ってから1カ月以上が経過した今も、地震を生き延びた21万2,000人を超える子どもが、水と衛生(WASH)に関するインフラの広範な破壊により、命に関わる疾病の集団感染という深刻なリスクにさらされている、とユニセフ(国連児童基金)は本日、警鐘を発しました。

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クナール県で、地震に遭って家を失い、仮設シェルターで暮らす親子。生活用水と飲み水を得るために、一日に何度も小川まで水をくみに行っている(アフガニスタン、2025年10月14日撮影)
水系感染症が集団発生

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クナール県で、仮設シェルターで寝起きをしている家族が、小川で水をくむ様子(アフガニスタン、2025年10月14日撮影)
132カ所の水源/給水設備が破壊され、多くの家庭が安全な飲み水や手洗い設備を利用できなくなっています。トイレの大半が使えなくなり、今では5つのコミュニティのうち4つで屋外排泄を余儀なくされています。生存者の多くはせっけんなどの基本的な衛生用品も入手できていません。このような状況が、地域でまん延している急性水様性下痢症などの水系感染症の集団発生を引き起こす温床となっています。すでに保健医療施設から、さまざまな種類の皮膚発疹、脱水症状、急性水様性下痢症の症例が急増しているとの報告があり、大規模な公衆衛生上の危機を回避するためには緊急の対応が必要です。
ユニセフ・アフガニスタン事務所代表のタジュディーン・オイウェイルは次のように述べています。「地震により家屋が倒壊し、あまりにも多くの命が奪われました。そして今、感染症によってさらに多くの命が奪われる恐れがあります。地震を生き延びた子どもたちは今、谷間の過密な避難民キャンプか、大きな揺れで破壊された山あいの村々の近くにある仮設シェルターで生活しています。そこにはトイレも安全な飲み水もなく、身の回りを清潔に保つ手段もありません。これは健康上の大惨事を引き起こしかねない、悪条件が重なった状況です」
命を守るための支援、資金不足が深刻

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地震の被災者が暮らすSawki Zor Kali避難民キャンプで、給水設備から水をくむ7歳のハリマさん(左)(アフガニスタン、2025年9月25日撮影)
トイレや水道設備が壊れたことにより、避難民キャンプに移っていない多くの被災者、特に女性や女の子たちは、安全でプライバシーの守られた衛生環境を確保できず、ジェンダーに基づく暴力やその他の保護上の懸念が高まるリスクにさらされています。ユニセフはパートナーと連携し、命を守るための以下のような取り組みを行っています。
- 最も被害が深刻な地域への給水車による一時的な緊急対応および水道設備の設置と修復
- 仮設の衛生施設の設置
- 衛生キットの配布
- 感染症の拡大を防ぐための衛生啓発活動
しかしながら、ユニセフが要請している2,160万米ドルの支援資金のうち確保できているのはその半分にすぎず、水と衛生(WASH)分野の支援活動は依然として深刻な資金不足に直面しています。ユニセフはドナーに対し、緊急対応のための資金拠出をただちに拡大するよう、呼び掛けています。地震の被災者のために、水と衛生分野の対応を強化するのは、まさに今なのです。
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ユニセフ「自然災害緊急募金」ご協力のお願い
地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けています。アフガニスタン東部で発生した地震の影響を受けた子どもを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。


























