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プレスリリース

ユニセフ、ガザでの教育支援拡大を発表
33万6,000人の学習とメンタルヘルスをサポート
「すべての子どもに日常と尊厳を、そして未来への道筋を」

2026年1月27日ジュネーブ

スイス・ジュネーブの国連本部で行われた定例記者会見において、ユニセフ(国連児童基金)広報官のジェームズ・エルダーは、ユニセフがパレスチナ・ガザ地区で準備を進める大規模な教育支援キャンペーンの概要を発表しました。

ガザ地区デルバラハの仮設学習センターに通う子どもたち。ユニセフは、子どもたちが学びに戻り、友達と再会し、教育を継続できるよう支援している(パレスチナ、2026年1月8日撮影)

© UNICEF/UNI926393/Eleyan
ガザ地区デルバラハの仮設学習センターに通う子どもたち。ユニセフは、子どもたちが学びに戻り、友達と再会し、教育を継続できるよう支援している(パレスチナ、2026年1月8日撮影)

「Back to Learning(バック・トゥ・ラーニング)~学びに戻ろう」

ユニセフは、今、ガザ地区で、私たちが「Back to Learning(バック・トゥ・ラーニング)~学びに戻ろう」と呼ぶ世界最大級の教育支援活動を拡大する準備を進めています。対象は、33万6,000人の子どもたちです。

これは“あったら嬉しい追加の支援”ではありません。今まさに子どもたちに必要な、緊急の支援なのです。

約2年半にわたるガザ地区の学校への攻撃は、ガザで暮らすパレスチナの子どもたち、という一つの世代全体を危険にさらしています。ガザの学齢期の子どもの60%は、現在対面での学習ができていません。学校の90%以上が損傷・破壊されました。また、幼児教育も崩壊したため、33万5千人を超える5歳未満の子どもたちが、深刻な発達遅延のリスクに直面しています。

この戦争前、ガザ地区で暮らすパレスチナの人々の識字率は、世界でも有数の高さにありました。そして人々は何世代にもわたって、教育を誇りにしてきました。教育が、(この地に住む人々が直面する様々な困難からの)回復力や進歩の源だったからです。その伝統も、深刻な被害を受けました。学校、大学、図書館が破壊され、長年の進歩が消し去られました。

これは単に物理的な破壊にとどまりません。未来そのものが攻撃されたのです。なぜなら、学びを奪われた一人ひとりの子どもが、未来のエンジニア、医者、教師、思想家だったかもしれないからです。彼らは、自分の世界を形作る前に、そのチャンスを奪われたのです。この残酷な戦争の爪痕が残る中で、今こそ、ガザの学校や大学をはじめとする教育施設の再建が、復興課題の最優先事項に位置づけられなければなりません。教育の回復は、子どもたち一人ひとりとガザの可能性を取り戻します。

ユニセフが設置した、ガザ地区デルバラハの仮設学習センター(パレスチナ、2026年1月26日撮影)

© UNICEF/UNI935364/UNICEF State of Palestine
ユニセフが設置した、ガザ地区デルバラハの仮設学習センター(パレスチナ、2026年1月26日撮影)

ユニセフは、本日、数十万人の子どもたちの教育へのアクセスを回復するために、現地の教育関係者や団体、そしてパレスチナ教育省と共に、「Back to Learning~学びに戻ろう」の取り組みを開始します。私たちの方針は、次の通り、至ってシンプルです。

多目的に使用できる、非正規教育のための学習センターを増設します。その施設を使い、子どものメンタルヘルスや心理社会的サポートと並行して学習機会を提供します。地球上で最も複雑な環境の中でこの支援を実施するにあたっては、その運営において透明性を確保し、必要な確認やチェックを徹底していきます。

私たちはパレスチナ自治政府教育省、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)、そしてすべてのパートナーと協力し、すべての子どもができるだけ早く安全な学習環境に戻れるよう努めています。ユニセフは現在、ガザ全域で100以上の学習スペースを支援しています。これらの場では、子どもたちに読み書きや基本的な算数スキルを身につける機会を提供していますが、それと同じくらい重要なのが、遊んだり“一息つく”ことをしたりなど、人間らしさを取り戻せる場として、メンタルヘルスのサポートも提供されている、ということです。

「多くの人が食料や水、住む場所さえ確保することが難しい状況なのに、なぜ教育支援に注力するのか?」と疑問に思う方もいるかも知れません。私たちの答えは、第一に、これはどちらかが優先されるべき話ではない、ということです。現に、ユニセフはこれまでに、防寒用毛布100万枚や数十万着の冬服を届け、ガザ地区全域の70を超える場所に栄養支援施設を開設しています。また浄水場と廃水処理場の再稼働支援は、最重要課題として継続して取り組んでいます。

ガザ地区デルバラハの仮設学習センターで、「やっと友達に会えた」と話す13歳のマサさん。大切な人を失わないことと、学びを続けられることを願っている(パレスチナ、2026年1月8日撮影)

© UNICEF/UNI926388/Eleyan
ガザ地区デルバラハの仮設学習センターで、「やっと友達に会えた」と話す13歳のマサさん。大切な人を失わないことと、学びを続けられることを願っている(パレスチナ、2026年1月8日撮影)

第二に、ガザでは、学ぶことは命を救うことでもあるからです。これらの仮設学習センターの多くは、アクセスが限られているため支援が難しく危険な地域に住む子どもたちに安全で安心できる空間を提供します。その地域に住む人々・子どもたちの生活に必要な、重要な情報を届ける拠点にもなります。センターに通うことで、子どもとその家族は日常を取り戻すことができます。子どもたちを、医療や保健、栄養、保護などの社会サービスにつなげます。ユニセフの支援で設置されるこれらの仮設学習スペースには、安全なトイレや手洗い場も備えています。子どもたちが避難生活を送る場所の多くには、無い設備です。

そして、これは断言できますが、教育支援の需要は圧倒的にあります。これまでに設置した学習センターには、すべて、長い待機リストがあります。ガザの人々は自分たちで、テントや損傷した建物を使って、即席の教室を作り出しています。親の多くが、教育を提供する場所の増設を懇願しています。入れるかどうか分からないにもかかわらず、たくさんの子どもたちがセンターに集まってきています。

子どもたちに日常と尊厳と、未来への道筋を

国際社会がガザの復興と再建に関する議論を進める中、ユニセフの訴えは明確です。すべての計画の中心に、子どもたちを置く必要がある、ということです。ガザの人口のほぼ半数は、18歳未満の子どもたちです。ユニセフの学習センターで子ども一人にかかる費用は、メンタルヘルス支援を含め年間約280米ドルです。今年、残りの約11カ月間で33万6,000人の学齢期の子どもたちにこの支援を届けるためには、8,600万米ドルが必要です。大金に聞こえますが、これは世界中で飲まれているコーヒー代の1〜2時間分にあたる金額です。

ガザは世界でも最も深く根付く識字の伝統の一つを持っています。水道システムを再建する技術者、命を救う医師、次世代を支える教師たち――彼らは皆、誇り高い学びの文化から生まれています。「Back to Learning~学びに戻ろう」は、短期的な視点の支援ではありません。ガザの未来を創り動かす“エンジン”を守るための支援です。そして、それはガザの学校に取って代わるものではなく、学校の完全な復旧への橋渡しであり、すべての子どもが、本当の教室で行われる正規の教育に戻れるようにするためのものです。ガザの未来の灯を絶やさないために、ユニセフは子どもたちに日常と尊厳と、未来への道筋を再び与えることに注力します。この取り組みは、希望を現実に近づけるための、未来を再び築くための方法なのです。

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