2026年2月24日ジュネーブ/エルサレム発
ユニセフ(国連児童基金)パレスチナ事務所広報チーフのジョナサン・クリックスは、2月24日にジュネーブで行われた国連の定例記者会見にエルサレムからオンラインで参加し、ガザ地区の復興・再建に子どもたちの視点を取り入れるためのユニセフの新たな取り組みについて、以下のとおり説明しました。

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ガザの子どもが「私たちが望むガザ(The Gaza We Want)」イニシアティブの一環として描いた一枚の絵 (パレスチナ、2026年2月24日撮影)
「私たちが望むガザ(The Gaza We Want)」

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避難生活を送る14歳のシャサさんは、住みたい理想の家を絵に描いたことで希望が持てるようになった(パレスチナ、2026年2月23日撮影)
2年以上、ガザ地区の子どもたちについて人々は語り続けてきました。子どもたちの死や負傷が報じられ、その苦しみが伝えられてきました。
しかし、あまり注目されてこなかったのは、はるかに単純でありながら、何より重要なこと、すなわち、子どもたち自身の声です。そのためユニセフは「私たちが望むガザ(The Gaza We Want)」イニシアティブを立ち上げました。私は本日、ガザ地区全域の子どもたちが耐え抜いてきたことだけではなく、彼らが今、何を求めているのか、その一部をお伝えいたします。
「私たちが望むガザ」イニシアティブは、ガザ地区の復興と再建をめぐる子どもたちの意見を捉え、ガザの子どもたちが自分たちの未来に何を望んでいるのか、というこれまで欠けていた重要な視点を明らかにするものです。
子どもたちが何を優先し、どのように考えているのかを記録することで、このイニシアティブは子どもを中核に据えた復興、再建、政策立案に資するとともに、ガザの未来をめぐる意思決定への子どもたちの実効性ある継続的な参加が重要であることをあらためて強調します。
私たちはパートナーたちと共に、ガザ全5県に暮らす、障がいのある子どもを含む、5歳から18歳までの子どもや若者と対話を行いました。計1,603人の子どもがわかりやすく答えやすいように作成された質問への回答を完了しました。さらに少なくとも1万1,000人の子どもが、創造的なさまざまな活動を通じてこの取り組みに参加しました。いずれの活動も、安全性と自主性を確保して設計されたものです。なお、いかなる子どもにも、暴力体験を思い起こさせるようなことはしていません。
子どもたちには、尊厳とはどのようなものか思い描いてもらいました。
そして好みの、自然に使う方法で、自分のことを表現してもらいました。たとえば、近所や公園の絵、がれきやリサイクル素材でつくった模型、詩、短編の物語、手紙などです。また、訓練を受けたファシリテーターの支援のもと、グループでの壁画制作や寸劇、簡単なアンケート調査にも参加しました。
これらの絵や詩は、象徴的なものではありません。それは、クレヨンや段ボール、そして勇気で表現された、れっきとしたデータであり証拠です。年齢も地域も異なる何千人もの子どもが、それぞれ別々に、しかし驚くほど似通った風景――木々、学校、病院、清潔な街路、遊び場――を描くとき、それは偶然ではありません。これは彼らから世界への、直接的な訴えです。子ども時代を取り戻したい、と。
3週間前、ガザ地区のデルバラハにあるユニセフの仮設学習センターで、15歳の女の子ハラさんに会いました。彼女はこう語りました。「学校に行けないことで、勉強にとても大きな影響が出ました。教育は私の未来にとって大事なので、安全な生活を夢見ています。安心して暮らせる家、自分の部屋、そして、学んで成長できる良い学校が欲しいです」。

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デルバラハの仮設学習センターに通う15歳のハラさんは「将来は薬剤師になりたい」と話す(パレスチナ、2026年1月31日撮影)
ハラさんは、私がガザで何度も耳にしたことをひと言で端的に言い表してくれました。子どもたちは、ちゃんとした家が欲しい、安全が欲しい、そして学校の勉強机に戻りたいのです。すべての意思決定者は、その声に耳を傾け、最優先事項として考えるべきです。これは、決して特別な要求ではありません。子ども時代にとっての基礎的なことなのです。
子どもたちの描く未来はガザそのもの
「私たちが望むガザ」の取り組みを通じて、子どもたちは、自分たちが失ったものだけではなく、これから何が必要なのかを伝えてくれています。そして何よりもまず必要とされているのは、居場所と安全です。子どもたちが心の底から願っているのは、夜通し眠れることと、恐がらずに学校まで歩いていけること――ただそれだけの当たり前のことなのです。しかし停戦が始まって以降、ガザ地区ではすでに135人を超える子どもが死亡したと報告されています。
第2に、子どもたちはテントではなく、「本物の学校」を望んでいます。しっかりした壁と屋根があり、安全だと感じられる学校。机やトイレ、飲料水、図書室、遊び場のある学校。避難してきた家族を受け入れる「シェルター」としての場所ではなく、子ども時代を再開できる場所としての学校です。ガザの子どもたちにとって、学校は「日常」であり、「安定」であり、「可能性」を意味しています。
第3に、子どもたちは静かで清潔で安全な病院を望んでいます。「恐怖を感じる」場所ではなく、子どもたちが不安を覚える場所ではない病院です。彼らは繰り返し、身体的な治療とともにメンタルヘルスに関する支援を求めています。私もこれまで、身体の傷は癒えても恐怖が消えない子どもたちに、あまりにも多く出会ってきました。
子どもたちは、爆撃が止んでもトラウマは癒えないことを知っています。
第4に、遊びは贅沢品ではありません。特に幼い子どもたちは明確に訴えています。公園、浜辺、運動場。安全に遊べる場所が必要です。遊びこそが、戦争によって奪われたものを取り戻す手段なのです。

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ラファに住む13歳のサミさん。「家に帰ることと、ガザを再建するのが僕の夢」(パレスチナ、2026年2月23日撮影)
子どもたちは夢や願いを語るだけにとどまりませんでした。ガザ地区再建を主導するおとなたちに向けて、スケジュールや優先順位も提示してくれたのです。
子どもたちが示した優先順位は、以下のとおりです。
・まず必要なのは、安全、避難場所、学びの場、こころのケアの応急処置
・次に、恒久的な住まい、学校、公園、診療所
・その後には、大学、産業、文化センター、そして記憶や追悼のための場所
これは、喪失、そして希望を知る子どもたちが描いた、復興に向けた道筋です。これほどの不確実性の中を生き抜いてきた子どもたちが語る言葉の明確さを、無視することはできません。子どもの声を置き去りにした復興は、子どもたちを裏切り、ガザをも裏切ることになるでしょう。
14歳のマイヤールさんの声もお伝えしたいと思います。「私たちが望むガザ」の議論の中で、彼女はこう語りました。「生活は本当に大変でした。どんな子どもも、こんな経験をするべきではありません。私が望むガザは、病院や学校、安全な建物がある美しい場所です。私は戦争でけがを負って、とてもつらい思いをしました。空襲の音を聞くたびに恐くなります。でも『私たちが望むガザ』の活動に参加しているときは、頭の中がとても楽になりました」。
子どもたちの声に耳を傾けることは、選択肢ではありません。信頼できる確かな復興に向けた、最低基準なのです。なぜなら、ガザの子どもたちが描く未来は抽象的なものではなく、彼らが望み、そこで育つ権利を持つガザそのものだからです。


























